【したたかなアトレティコ】チャンピオンズリーグround16 2nd リヴァプールvs A・マドリード

サッカー戦術分析
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1st leg はアトレティコが先勝。リヴァプールがビハインドを抱えたまま戻ってきたアンフィールドに。ホームリヴァプールの猛攻が始まる。その猛攻を鉄壁シメオネアトレティコがどう戦うのか非常に楽しみな1戦。

リヴァプールはこの試合の前にプレミアリーグでとうとう初黒星を喫してしまった。ここまで勝ち続けたことは素晴らしい記録であり、たかが1敗しただけだが、不安を少し抱えながらこのビックマッチを迎えることに。

雨が降り注ぐ中、
世界最高峰のビックマッチが始まった。

アトレティコのボール非保持

いきなりチャンスを作ったのはアウェーのアトレティコだった。フェリックスが一列落ちて中盤でボールを引き出すと、ワンタッチで反転。ジエゴ・コスタがゴメスの背後から斜めのランニング。そこへフェリックスからスルーパスが入り、完全にリヴァプールの背後を取り、開始1分も満たない時間でファーストシュートまで持ち込んだアトレティコ。

リヴァプールはここ最近の不安要素でもある背後を簡単に取られてしまった。このシーンだけでなく、アトレティコはリヴァプールの背後を取り続ける。オフサイドになってしまうシーンもあったが、コレア、フェリックス、コスタがまずは背後を取り続ける。

圧倒的にリヴァプールがボールを握り、アトレティコが4-4-2でブロックを敷いて耐え忍ぶ展開が続いた。

アトレティコはいつもの様にといった感じで、4-4-2で自陣にブロックを敷いてリヴァプールの猛攻に耐え忍ぶ。中盤とライン間をギュッと閉めて、縦に横にコンパクトなブロックを作りリヴァプールに縦パスを入れさせない様にする。ボールを保持されても、ブロックの外側でボールを回させる。

外側へ外側へ誘導して、クロスを上げさせて中でボールを跳ね返す。どんなに崩されても最後は中央を固めてクロスを跳ね返し続ける。GKオブラクも前半だけで、3本のビックセーブ。組織、個人共に、最後の局面では集中力高く、リヴァプールの猛攻を耐え忍ぶ。

フィルミーノとチェンバレン

対するリヴァプールもアトレティコの守り方は頭の中にしっかり想定していただろう。鉄壁の4-4-2に綻びを入れたのが、チェンバレンとフィルミーノだった。

まずはフィルミーノ。彼らしく、一列落ちてボールを引き出す。中盤と最終ラインの間(ライン間)でボールを引き出す。無理にでもこの位置で受けるシーンもあり、鉄壁に亀裂を入れようと努めていた。彼がボールに触れるとやっぱりリヴァプールにリズムが生まれる。ライン間で受けるフィルミーノを経由することでハーフスペースが空いてチェンバレンのドリブルするスペースも生まれた。

次にチェンバレン。前半から非常に良い入りをした。良い時のチェンバレンが帰ってきた様な。ボールを持ったら、自分から積極的にアクションを起こすドリブルだったり、2列目から追い越してボールを引き出す動き。シュートも積極的に放つ。裏だけでなく、ハーフスペースでもボールを受ける、アトレティコに掴まらない動きをし続けるチェンバレン。ボディブローをアトレティコの鉄壁に打ち続ける。

狙い通りの先制点!

前半も残りわずか。リヴァプールの狙いが詰まった先制点が生まれる。アトレティコのプランとしては前半スコアレスで上々だったが、そのプランをぶっ壊したリヴァプール。

インサイドハーフ2人の特色活かされた崩しだった。まずは右サイドからチェンバレンがプレーメーカーになりサラーと右サイド深くを抉っていく。そしてクロスをあげると中で合わせたのはワイナルドゥムだった。

彼の高さが活きたシーン。3トップにはマークがいくのは当然。誰もがゴール前は3人にマークが行く所に、そこにもう一枚ワイナルドゥムの高さが入り、狙い通りにフリーになりヘディングで合わせて先制点を奪ったリヴァプール。

この他のシーンでもクロスに対してはワイナルドゥムは中に入り高さを活かし、ゴール前に厚みを持たせた。後半残りわずかにも、ミルナーのクロスに対してフリーでヘディングするシーンもあり、狙いは存分に見えた。

サラーの存在で綻びを生ませる!

先制点にも現れていたのが、サラーの大外からの突破だ。彼はこの試合、アトレティコのブロックの大外でボールを引き出し、そこから何度も仕掛けるシーンが印象的だった。いつもならば、右SBのアーノルドがオーバーラップして深い位置からクロスをあげるシーンも多く見られたが、彼のクロスはアーリークロスが多かった。それはサラーがサイドに立ち位置を取り。ボールを引き出し、仕掛けていたからだ。

大外でフリーでボールを受けると流石の存在感を放ったサラー。これにより、アトレティコの強固なブロックにも少しづつ綻びが。何度も仕掛けるサラーを無視することが出来なくなり始め、ボディーブローの様にダメージを与える。大外で受けることで、SBが釣り出されて、ハーフスペースが空きだして、そこにチェンバレンとフィルミーノがボールを触るシーンも。

対面していたアトレティコの左SBロディも1人ではサラーの突破を簡単には止められずに、それをカバーする様にCHがカバーに入る。サイドを深く抉った時には、アトレティコのゴールを隠す動きは流石の速さだが、そうなると今度はバイタルエリアのスペースが空き出し、そこでボールを引き出し、ミドルシュートを放つリヴァプール。

リヴァプールは非常にアトレティコを分析して、準備してきたことが分かるシーンがあちらことらに。

成功率よりも、回数!

リヴァプールの攻撃は完結で早い!というのがこの試合の印象的だった点。アトレティコのブロックの中には中々入れない状態は続いたが、この試合はブロックの外でボールを回す時間は少なく、サイドのサラーとマネにボールが入りとブロックが敷いてあっても、ボールを下げて攻撃を展開し直す事はせずに、外から早く攻撃を完結させていった。成功率よりも回数を選んだ。

サイドからクロスを上げ続け、悪い状態でも、出来るだけゴール前でのプレーを選択したのだろう。縦に早く。ゴール前に早く。

それに伴い、アンカーをファビーニョではなく、ヘンダーソンを起用した意図も汲み取れる。ファビーニョの長所である長短織り交ぜる展開力ではなく、ヘンダーソンの強度を選んだ。サイドに入ったら悪い状況下でもそのまま攻撃を完結させる狙いがあった為に、カウンターを受けるリスクも増す事を踏まえてヘンダーソンを選んだのかもしれない。

しっかり起用に答えるヘンダーソン。ボール非保持の局面と、トランジションの面での貢献度は大きかった。最近の試合ではカウンターからの失点が多かったリヴァプールだったが、90分の中ではほとんどアトレティコにカウンターをさせなかった。それが出来たのは帰ってきたキャプテンの存在は大きかった。カウンターになる前にボールを奪い返したり、味方が戻る時間を稼ぐ仕事も担っていた。

ヘンダーソンのお陰で、リヴァプールがハーフコートゲームで完全にアトレティコを押し続け、攻め続ける展開へと。

リヴァプールの狙いをまとめると…

アトレティコはゴール前に4-4-2の中央圧縮のブロックを敷いてくる。それを踏まえて、スペースの空く大外にサラーを張らせ、ガンガン仕掛けさせる。段々とサラーが気になり始めて、SBがサラーにアプローチにくる様になると、ハーフスペースが空き出し、そこにチェンバレンのドリブルやランニング、フィルミーノがボールを引き出す。サラーを1人では手に負えなくなると、CBやCHがカバーに入り、今度はバイタルエリアが空く。積極的にミドルシュートも放つ様に。また、ワイナルドゥムの高さも活かす。3トップには厳しいマークがくる事を逆手に、フリーになる選手が出てくる。それをワイナルドゥムに担わせた。これが全て詰まっていたのが先制点だった。

そして、ヘンダーソンのアンカー起用は、トランジション起用。この試合は得点の確率よりも、回数を選んだ為に、カウンターを受けるリスクも増した為、ヘンダーソンを起用。サイドに入ったら、出来るだけ早くゴールに迫る為に、ファビーニョの展開力よりもヘンダーソンの質を選択した。

後半に入ると攻撃のスピード、テンポは更に増し、追加点を奪って一気に決着を付けにかかるリヴァプール。

しかし、そこに立ちはだかったのが最大の壁。

GKオブラクだった!

どんなに崩されてもオブラクがいる!

この試合のMOMはGKオブラクだった。それほど、リヴァプールのシュートをビックセーブし続けた。一番ユニフォームが汚れていたのはGKオブラクでそれが全てを物語っているだろう。失点はしたものの、彼ではなかったら、アトレティコはもっとやられてもおかしくないシーンが盛りだくさんだった。組織化された守備に加え、最後の最大の砦としたGKオブラクがリヴァプールの前に立ちはだかり続けた。

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リヴァプールは完全に息の根を止める事が出来ずに時間だけが過ぎていく。圧倒的にボールを握り、攻めまくっているのはリヴァプール。シメオネも変化を加えるべく、ジエゴ・コスタを後半早々に交代してジョレンテを投入して、2トップをコレアとフェリックスの速い2トップに変更。もちろん交代させられたコスタはベンチに戻ってブチギレ。この2トップだけで、カウンターを完結させるシーンもあったりと攻撃面では多少の効果はあったのかなと思ったが、守備の貢献度の方が断然高かった。コレアは前からプレスをかけ続け、ファンダイクにちょっかいを出し続ける。2トップにボールが入れば、攻めるというよりも、少しでもボールをキープしてリヴァプールに攻撃する時間を少しでも減らし感じだった。

試合終了間際にはフェリックスがゴール前でファールを受けてFK。キッカーはロディ。サイドからキックをペナへ蹴り込み、サウールがヘッドで合わせてゴールイン!シメオネも喜びのあまりピッチに入るが、これは明らかなオフサイド!なんてドラマティックな決着だと思ったが、そうはならなかった。

そして90分で決着を出来なかったリヴァプール。なんとか耐え忍んだアトレティコ。90分で終わらない死闘。まだまだドラマはここからだった。

したたかなアトレティコ

延長に入り、足が止まったのはアトレティコだった。それはそうだろう、あれだけのリバプールの猛攻を90分守り切っただけすごい。エネルギー消費は半端ない中での延長は辛かっただろう。延長に入りアトレティコはトリッピアーに代えてヴルサリコを投入。トリッピアーよく走りました!

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延長開始4分ワイナルドゥムが右サイドをドリブルでぶっちぎる。まだこんなパワー残ってるのかよ!そんなスピードとパワーで一気に右サイドをえぐる。そのままクロスをあげるとゴール前は2vs2の同数。流石のアトレティコも戻れず。フィルミーノが頭で合わせて、一度はポストに跳ね返されるもしっかり押し込んでリヴァプールが追加点!これで2戦合計でリヴァプールがリードした。これで完全にホームリヴァプールがこのまま勝ち上がりか。やっぱり強いなリヴァプールと思った人たちが大半だったでしょう。しかし、まだ終わらないのがこの試合。

アトレティコはリヴァプールにリードを広げられた形になったものの、やらなきゃいけない事が明確になった。1点取ってしまえば、アウェイゴールで逆転できる状況は変わらない。残り時間もまだ25分ある、まずは1点を取りに行く。その事をピッチの選手はしっかり認識して戦っていた。まだ諦めない。逆にリヴァプールはリードしたものの、もしアウェイゴールを奪われれば形勢逆転される。3点目を取りに行くのか。このまま、2-0で試合を終わらせるのか。よりリスクを取れなくなったのはリヴァプールだったかもしれない。そんな迷いもあったのか、アトレティコの気迫みたいなものが凄かったのか分からないが、アトレティコにチャンスが転がってくる。

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リヴァプールGKアドリアンにバックパスが入る。そのボールをクリア?パス?かは分からなかったが、そのボールがプレスをかけるフィリックスに入る。ゴール前でボールが溢れてきたフェリックス。一気にチャンスシーンに。フェリックス自分で行くのかな?と思いきやジョレンテにパスを送り込む。ファーストタッチが少し足元に入ってしまったものの、カットインから右足を振り抜く。ボールはそのままゴール右隅に吸い込まれる。

これで形勢逆転!この1点で一気に状況をひっくり返してアトレティコがリードする展開に。さぁどうするリヴァプール。再び得点が必須になったリヴァプールには焦りも見え始め、ミスも目立つように。

切り札はいるのか?

アトレティコはフェリックスに代えてモラタを投入。フェリックスはなんか見ないうちに、落ち着いたというかチームプレーをより熟知したという印象を受けた。若々しい強引さも良さだが、この試合に関してはチームプレーに徹した。わざとファールをもらって時間を作ったり、確実なプレーを選択する事が多かった。彼の1番のストロングである個の突破力はそんなに見られなかったが、貢献度は大きかった。成長しているのか、丸くなってしまったのかは分からないが、この試合に関しては効いていた。

アトレティコはこの時間帯にモラタが入ってくる。1人で時間を作れる選手はこの展開では非常に有難いだろう。もし、得点を奪えなかったら、モラタだはなく、ベンチに座るルマルやカラスコといった個人で局面を打開できる選手を投入したのかもしれない。リヴァプールにはそんな切り札的な存在がベンチにはいたのか?この選手を入れたこうやって攻めるんだ!と分かりやすいメッセージとなる選手はいたのだろうか?

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延長は目まぐるしく得点が動く状況だったが、アトレティコのブロックの硬さ、集中力は落ちなかった。1点を返した事で、エネルギーもみなぎり、さらに強固になる。焦るリヴァプールに対して、焦らずに対応を続けるアトレティコ。決してファールはしない。危ない局面では無理をせずに距離を詰め続け、密着マークをする。そしてここ!という時には強度を出してボールを奪い去り、カウンターを狙う。

そして延長前半終了間際にカウンターが炸裂する。自陣ゴール前でフィルミーノのボールを奪い去り一気にカウンター。ジョレンテとモラタ2人でカウンター。ボールをキープするモラタはスピードを上げすぎずに、確実にボールを前進できる進路を選んでドリブルで持ち運ぶ。そしてペナ付近に近づくとジョレンテに横パス。再びジョレンテが右足を振り抜き、追加点!同点に追いつくアトレティコ。それよりもリヴァプールにのしかかるアウェイゴール。

締めのヒメネス

2-2-で延長後半へ。アトレティコは4枚目のカードを切る。延長に入ると1枚交代カード増えるからね!ここでコレアに代えてヒメネスを投入。前線の枚数を減らしてヒメネスを投入すると言う事は、残り15分守り抜け!と言うシメオネの明確なメッセージ。

再び円陣を組む両チーム。両監督が熱く熱くチームを鼓舞する。最高峰の本気のぶつかり合い。いいゲームです。ブチギレていたジエゴ・コスタもチームメイトに声をかける。アトレティコの団結力を感じた。

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攻めなければいけないリヴァプール。5バックになってさらに強固なブロックを敷いたアトレティコ。リヴァプールはファンダイクを前線に張らせるパワープレーに出るが、焦りと疲労も生じて中々ゴールに迫れない。リヴァプールが時間をかければアトレティコはペナの中に11人が戻り身体をはる。そしてアトレティコのしたたかさは変わらない。

トドメの3点目が入る。
延長後半ロスタイムにモラタがカウンター。モラタがGKとの1vs1を確実に流し込み、逆転となる3点目を奪い去った。試合はこのまま終了。延長で両チーム合わせて4点入る乱打戦。アトレティコがround8に進出を決めた。

終わり

非常にハイレベルな目が離せないゲームでした。胸熱でした。リヴァプールの設計された、アトレティコの鉄壁の4-4-2に綻びを入れる攻撃。シュート30本以上を打ち込む猛攻は凄まじかったですね。

アトレティコのしたたかさ、自分たちを信じる力、諦めない力も素晴らしかった。不用意なファールをしない。1人で無理をせず、味方のサポートが来るのを待ってからボールを奪いに行く。クロスに対してはアプローチにいった際は両腕を後ろに組んでハンドにならないように徹底。判定に対してもイライラせずにすぐに自分の持ち場に帰る。やらなきゃいけない事への徹底ぶり。ファールを受ければ少しでも時間を作ってリヴァプールをイライラさせる。そう言うことも重なり、リヴァプールのイライラがつのるシーンもあったし、最後は集中が切れてしまうシーンもあった。

自分たちの仕事を静かに遂行するように。シメオネに与えられた仕事を信じて、確実にプレーし続けたアトレティコ。お見事でした。

リヴァプールが絶対的な強さを示すアンフィールドでアトレティコが逆転勝利。これぞチャンピオンズリーグというドラマも満載で胸熱な時間をありがとう。これだからサッカーは楽しいと思わせてくれる試合。是非観てない方には観て欲しい素晴らしい試合でした。

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