【ダビド・シルバ〜スカイブルーの魔術師〜】〜プレースタイル〜

解体新書
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ダビド・シルバ。言わずと知れたレフティーの魔術師だ。私が説明しなくても彼のスキルや存在感はサッカーファンなら誰もが知っているだろう。しかし、今シーズン限りで10年間過ごしたマンチェスター・シティを去る。シティにとってそんな象徴的な存在であるシルバについてこのタイミングで書きたいと強く思った。

EURO2008

私がまずシルバと言われて最初に思い出す大会はEURO2008年だ。スペイン代表の黄金期が始まった大会である。

そう、あの黄金の中盤が形成された大会。

「クワトロ・フゴーネス」

ゲームメーカが得意な4人の選手が中盤に並んだ。
左からD・シルバ、セスク、シャビ、イニエスタ
小柄だが、非常に巧い選手が中盤に並び、華麗なパスワークでヨーロッパの強豪を次々と倒していった。まさに芸術的な試合を何度も見せてくれた。アンカーにはマルコス・セナがその黄金の中盤4人のボール回収屋として支え、前線には若かりしトーレスが爆発的なスピードを活かして黄金の中盤4人からのパスを受けゴールを量産。

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EURO2008、W杯2010、EURO2012を制覇したこの当時のスペイン代表はまさに無敵艦隊だった。シルバはそのスペイン代表の黄金期を支えた間違いなく中心選手の1人だった。持ち前のテクニックでボールを奪われずに相手の陣形に穴を開けるアシストやパスだけでなく、スペイン代表では多くのゴールを中盤の選手ながら奪った。

 クラブの活動では母国のバレンシアからプレミアリーグのマンチェスターシティへ移籍。プレミアリーグは言わずと知れたフィジカルが非常に求められるリーグで、当時のシルバのサイズやプレースタイルでは通用しないのでは?という声もあったが、そんなことは全く問題ないことを証明してみせた。

ライン間の支配者

シルバは左利き独特の懐深いボールキープで、フィジカル自慢のプレミアリーグの選手からもそう簡単にボールを奪われない。サイドをドリブルで突破すれこともあれば、中盤で前を向けばミドルシュート、絶妙なアシストの数々を魅せつけた。決定機の創出回数は常にプレミアリーグの中で1位2位を争う数値を叩き出し、シティの攻撃陣には居なくてはならない存在となっていった。

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そして私が凄いと思うシルバのスキルは3つ。まず2つが立ち位置ターンの技術だ。この2つのスキルが最大限発揮されるのがライン間でのプレーだ。ライン間とはDFラインと中盤の間のスペースを指す。シルバはペップシティになってからIH(インサイドハーフ)としてプレーすることが多く、このライン間でボールを受けるシーンが多くなった。

ライン間でボールを受けることは非常に難しい。それは四方八方に相手選手がいる状況でボールを受けなければいけないからだ。そこでシルバは意図も簡単にボールを受けて、取られない。それだけではない、スッと前を向いてしまう。ターンが非常に巧い。私が今思い浮かぶサッカー選手の中でターンが世界一巧いのはシルバだと思っている。どんなに早いパスが通されようが、シルバの左足に渡ってしまえばそのボールの勢いは0に近いスピードになってしまう。そしてボールを触ったと同時にいつの間にか前を向いてしまうのだ。

 そしてライン間でボールを受ける為に必要なスキルはこのターンの技術だけでなく、2つ目のスキル立ち位置が非常に大切だ。サッカーはピッチに入ってしまえば相手、ボール、スペース、ゴール、あらゆる要素を平面的に見なくてはいけない。私たち観戦者は上からの映像を見ているから、色んな状況を把握できるが、ピッチに入るとそれが極めて難しい。しかし、シルバはまるで私たち観戦者と同じような視点で、ピッチや相手、味方を俯瞰的に、空の上から見ているかのような立ち位置をとってしまう。その空からの目線で一番相手が嫌がるところ。一番時間とスペースがある位置に立ち位置を取ることで意図も簡単に前を向いてしまうのです。

時間とスペースがないはずのピッチに、時間とスペースを作り出す。まさに魔術師なのです。

シルバの立ち位置は、自分がボールを時間とスペースがある状態で受けるだけでなく、ワザと相手にプレッシャーを受ける立ち位置にポジションを取ることもある。その立ち位置を取ることで、味方にスペースを与える魔法もかけてしまう。

ポケットの侵入者

そして最後の3つ目スキルがポケットへのランニングだ。ポケットとはペナルティエリア内の横のエリアを指す。これはペップと出会ってから伸びたスキルだと思います。シルバはペナルティエリアへ侵入するシーンがどんどん増えていった。シルバがポケットに侵入する回数が多いほど、シティの攻撃が活発になっているかどうかのパラメーターになっている。

昔はパスの出してとしてその力を遺憾無く発揮していたが、ペップと出会い、パスを受けるレシーバーのスキルも身につけ進化を続けるシルバ。

パスを出しても良し。パスを受けても良し。
年を重ねるごとに衰退するのでは無く、進化を続けるシルバ。

残すはチャンピオンズリーグ

シルバはマンチェスター・シティでプレーして10年。シティで獲得したタイトルは数々。プレミアリーグの国内のタイトルは全て獲得してきた。そして残すはヨーロッパの称号。チャンピオンズリーグのタイトルを獲得することはシティとしてもキャプテンのシルバとしても悲願だろう。しかし、その悲願を達成する為のリミットがシルバにはもう無い。

 シルバは今シーズンが始まる前に、「シティでプレーするのは今シーズンが最後となる」と自分で提言している。よってシルバがシティで戦うチャンピオンズリーグは最後になるのだ。チャンピオンズリーグは今の状況ではやる予定だが、先の未来は誰にも分からない。しかしやっぱりやって欲しい。シルバの為にやって欲しい…全世界のサッカーファンの為にもやって欲しいですね!

 チャンピオンズリーグだけでなく、シルバがシティでプレーするのは最後だ。彼がこのチームで、ペップの下でプレーするのは最後になる。

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私たちはそんな勇姿をこの目に焼き付けなければならない。シティの魔術師の輝きを1試合足りとも見逃せない!

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