マンチェスターシティは先日FFP違反による2年間のUEFA主催大会への出場権剥奪についての撤回が発表された。色々物議を醸しているようですが、とりあえずは来シーズンもチャンピオンズリーグには出場できるみたい。
この判決が下されてシティにとってはもちろん嬉しいニュースだが、落胆しているクラブがある。そう、来期のチャンピオンズリーグ出場をかけて戦っているクラブだ。CL出場権はリヴァプールとシティの2クラブは確定。残りの2枠をかけた戦いが熱を増すことになった。チャンピオンズリーグ出場争いは残りの対戦カードもみると非常に楽しみ。目が離せない!
そして降格圏争いも大詰めだ。今節シティと対戦するボーンマスもその争いに巻き込まれているチームの1つだ。今節の結果によっては残留が非常に難しくなってしまう状況で、いつも以上に気合いは入っていたはずだ。
しかし、そんなボーンマスの強い気持ちも、シティの魔術師が出鼻を折ってしまう。シルバは今節も大活躍。今シーズンシティを去ってしまうのが本当に残念。残念。残念。
それでは試合をみていきましょう!
魔法をかけるシルバ

ボーンマスは怪我人が続出しているようだ。人繰りに頭を悩ましている中でシティとの対戦。勝ち点3が是が非でも欲しかったのは間違いないが、シティ相手にはそれは難しいミッションだったのは間違いない。その中でも勝ち点1でも持ち帰りたい!そんな強い気持ちをひしひしと感じられた!
そんな気持ちがプレーにも現れる。4分SBウォーカーからライン間で待ち受けるシルバに斜めのボールが入ると、ボーンマスのレルマがスライディングで激しくタックル!試合開始から球際激しく、戦う姿勢を見せたボーンマス。
しかしシルバが少々上手でスライディングが来るのが分かっているかのようにファールをゲット。絶好の位置でのFKをゲットしたシルバが自らボールをセットする。
シルバが左足を振り抜き、ニアハイにFKを突き刺し、ボーンマスの出鼻を挫いた。これはボーンマスにとっては精神的に重い重いゴールに。いつも以上に強い気持ちでゲームに入ったボーンマスだったが、シティの魔術師にいきなり魔法をかけられてしまった。
守備の基準を定めさせないシティ
開始早々に失点をしてしまったボーンマスだが、1点取られただけで諦めるわけにはいかない。降格がかかっているから!それでもシルバのFKはメンタル的なダメージは大きかったはずだ。
ボーンマスの配置は4-5-1or4-1-4-1。ボール非保持になると4-5か4-1-4のようなブロックを敷いて1トップのCFソランケだけを前線に余らせた。シティに押し込まれながらも、カウンターからチャンスを作りたかったプランがあったボーンマスだが、シティの配置チェンジにより中盤をバラバラにさせられてしまう。両SHの選手もDFラインに吸収されてしまい、5バックになってしまうシーンも。それによりライン間や中央のギャップが生まれ、そこからシティが決定機をつくっていく。
中盤を食いつかせて、SHを押し下げる
ボーンマスの4-5-1に対してシティは配置を変えて守備の基準を撹乱させて、ボーンマスの中央に歪みをつくりだす。この試合ギュンドアンとフェルナンジーニョが中盤の底に並び、シルバがトップ下の位置に入った。主に、いつもの左のハーフスペースが主戦場だったシルバ。

ギュンドアンとフェルナンジーニョはDFラインまで落ちるサリーダでボーンマスの中盤の選手を食いつかせる。ギュンドアンは左斜め後ろに下がってボールを引き出す。それに合わせて左SBメンディは高い位置に上がり、フォーデンがインサイドに。そこにシルバもボールに関わる。そうなってしまうとボーンマスの右SHスタニスラスと右のIHビリングはパニックになっていたかもしれない。誰に誰がマークにいけばいいのか目まぐるしくシティに変えられてプレスにいくのが大変だった。
これによりボーンマスの中盤に統率がなくなってしまった。前半の給水をすぎるとウォーカーがインサイドに入ったり(偽SB)、ウォーカーから逆SBメンディへの大きなサイドチェンジを織り交ぜたりと、ボーンマスに慣れを与えないシティ。
ボーンマスは難しい時間帯が続いたが、徐々に攻め手を見出していく。
高さを活かす前進
ボーンマスのチャンスになるシーンはセットプレーと、GKからの前線への長いボールだ。どちらもボーンマスの高さを活かしていた。「高さ」はボーンマスに有利に働いていた。

FWソランケ(188)、左SHキング(180)、右IHビリング(198)の選手たちが中央に集まって、長いボールを競り合ってこぼれ球を拾って前進するシーンが前半の給水を過ぎてから増えていった。セカンドボールを拾うとSBも積極的に駆け上がり攻撃参加。サイドからのクロスに対しても中央に人数をかけることができチャンスになるシーンも。前がかりになる分シティにカウンターを受けるシーンもあったが、この時間帯はボーンマスの時間となっていた。FKからポストを叩くシーンや、GKエデルソンとの1対1をつくりだすシーンもあり、得点を奪えそうなシーンもあったが…
再びシティの魔術師が魔法をかける
チームで開けたライン間
前述した配置チェンジでボーンマスの中盤に歪みを加えていったシティ。その歪みがきっかけで追加点が生まれる。右サイドから中央を経由して左のハーフスペースで。そしてライン間で待ち受けるは魔術師シルバ。お得意の左のハーフスペースで縦パスを受けて見事なターンからジェズスへ縦パス。ペナ内でボールを受けたジェズスが小刻みなドリブルで相手を切り裂きゴール隅にシュートを流し込んで追加点。
チームで開けた中央のスペースを利用した見事な崩しだった。
模索するペップ
Embed from Getty Images前半2点をリードしたシティは選手を2名チェンジ。そのチェンジが少し変わっていた。ベルナルドを変えてスターリングを、ウォーカーに変えてエリック・ガルシアを投入した。
ウォーカーやベルナルドは次のFAカップで使わせる為に休ませる意図があったと思うが、問題は出てきた選手のチョイスだ。
ガルシアはCBではなく右SBに、スターリングは最前線に入り、ジェズスが左のワイドに入る配置になり、あまり見ない選手の配置となった。そこにはペップのどんな思惑があったのだろうか?
本職SBカンセロがこの日はいなかった為にCB本職のガルシアが一番出来そうだなと、ウォーカーに変えたのかなと予想がなんとなくついた。
もう一つのスターリングが最前線でワイドにジェズスが入った意図とは?
後半経過とともにその意図が徐々に見えてきた。
ジェズスとスターリングの2TOP
ジェズスの基本配置は左のワイド。しかしシティがボールを保持するとジェズスはインサイドに
絞ってスターリングと2トップのような配置になる。左SBメンディが高い位置に上がり、左のワイドが彼の仕事場に。ビルドアップは2CBとギュンドアンの3人で主におこなう形に変更してきた。
相変わらずシルバはボーンマスのライン間で顔を出し続け、決定機を演出する。後半ライン間でオタメンディから縦パスを受けてターンをして「オープン」の体勢からジェズスに強烈な斜めのパスをつけてPK獲得か?というシーンも素晴らしかった。
しかし、この選手交代、選手配置は正直うまくいったとは言えなかった。ボーンマスの「強い気持ち」がシティを苦しめ始める。この采配はうまくいかなかったのかもしれないが、ペップの色々模索している、研究しているような姿がやっぱり好き!
ボーンマスの強い気持ち!
ボーンマスはシティに2点差にされても決して心は折れなかった。後半に入り試合が経過するとともにボーンマス優勢でゲームが運んでいった。
ボールプレスも前線から積極的にかけるようになる。後方にDFライン4枚だけを残して中盤より前の選手はガンガンプレスにいく。ボールを奪うと前半同様に長いボールを送り込みセカンドボールを拾って前進。それともう一つシティの浅い最終ラインの裏も積極的にとり始めシティを押し込む展開に。
疲れが見るや否やフレッシュな前線の選手をドンドン投入。何としても勝ち点を持ち帰るぞ!とピッチの選手からも、外の監督からもその想いは試合経過とともに熱を帯びていった。
Embed from Getty Imagesそして88分シティの浅いラインの裏を途中選手2人で1点を返す。カラム・ウィルソンシティの右CBの裏をとり、最後は横パスでこちらも途中交代のブルックスが無人のゴールに流し込んでゴール。1点差に詰め寄る。
1点を返すのが遅かったボーンマス。試合はこのままスコア動かずシティが3連勝を飾った。
終わり
シティがシルバの1G1Aの活躍で2-1と辛くも勝利。ボーンマスの「強い気持ち」でぶつかる戦いは非常に勇気付けられたし、面白かった。途中交代で入ったレフティーのブルックスはゴール前でアイデアと技術で違いを生み出せるし、カラム・ウィルソンも非常に怖いストライカータイプ。非常に良い選手もいる中でボーンマスはこの試合で見せた戦い方をしていれば降格圏争いをするようなチームではなかい。本当にいいチーム。それがシーズン通して中々できなかった原因の一つは怪我人の多さのようだ。勿体無い。プレミア残って欲しいな。
さぁ、週末はFAカップ準決勝アーセナル戦は。アーセナルはプレミア王者リヴァプールも倒してチームは上向き?残りのシーズンも目標の1つであるFAカップを掲げる為にも負けられない!シルバに必ずFAカップを掲げさせましょう!
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