【やはり難敵】プレミアリーグ第2節 ウルブスvsマンチェスター・シティ

サッカー戦術分析
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さぁ、今シーズンもシティの試合をたくさん見ていこうと思いますので、お付き合いお願い致します!シティはプレミア開幕戦はCLを戦ったスケジュール上延期となり今節が今シーズン初めてのリーグ戦となりました。

その相手は難敵ウルブス。昨シーズンリーグ戦で勝てなかった相手。しかもシーズンダブルを喰らわされる結果となりました。3連敗は避けるべくシティはこの試合に挑んだ事でしょうが、なんせチーム状況が非常に悪い。

そんなあまりチーム状況がよくない状態中でしかも難敵ウルブスにどのような戦い方をシティはしたのか見ていきましょう!

難しい台所事情

先ほど述べたシティのチーム状況が悪いという意味は、この試合に出られない選手が多いという事である。試合が始まる以前から大きな問題を抱えていたシティ。怪我人、そして体調不良者を合わせると7人の選手を欠いた状態でスタメン、ベンチメンバーのやりくりをペップは求められた。

今節から新加入のアケは先発起用。もう一人の新加入フェラン・トレースもベンチに入った。その他のベンチメンバーにはデラップ(17)、ドイル(18)、ベルナベ(19)と若手が多く入った。若手に大きなチャンスが回ってきたとも言えるが、多くの若手がベンチに入らなければやりくり出来ない苦しい状態とも言える。

そんな台所事象を踏まえて、ペップは今節のスタメン、配置、戦術をチョイス。昨シーズンは見られなかったセットが先発に並べられた。

シティの4-2-1-3

ウルブスは5-3-2の配置。ボールを保持すると両WBが高い位置に上がりサイド攻撃を仕掛ける形は昨年同様だ。右のWBにはアダマ・トラオレ。最前線にはヒメネスといった個の力でシティ相手でも十分に剥がせてしまうタレントも今節先発。

アウェーのシティは4-2-1-3のような配置。中盤の配置が逆三角形ではなく、三角形の形。ロドリとフェルナンジーニョの昨シーズン見なかった二人のペアが中盤の底に入り、デ・ブライネがトップ下に入り、攻撃時には比較的自由を与えられた配置となった。

本職がアンカーの2人が中盤の底に並ぶということで守備的な配置とも言えるが、それだけではない理由も少しづつ見えてくる。ウルブスのカウンター力、攻撃力を踏まえた守備面への考慮プラスα、しっかりペップらしい相手の弱点を突く為の人員、配置であった。

ロドリとフェルナンジーニョの2CHコンビは守備の面はもちろんビルドアップ時に非常にいい働きをしていた。ウルブスの弱点を突きながらシティのボールを安全、安心に前進させる要となっていた。

シティの狙い

ウルブスはシティがボールを保持すると5-3-2の陣形を作りスペースを消しながらプレスにいく。シティは攻撃をしながらウルブスの攻撃力を下げていった。シティが狙い通りにボールを前進する時間が増えるほど、ウルブスの攻撃力は低下していく。それではそのシティの狙いとは?

配置チェンジ

後方から安心、安全にボールを前進させるために、ウルブスの守備の基準を撹乱させにいく。その為に配置をチェンジし数的優位を保ちながら、ウルブスの選手には複数の選択肢を目で、頭で感じさせることでプレスのズレを生み出しボールを前進させにいった。

ウルブスの2トップのプレスに対して後方でしっかり数的優位を保つ。数的優位を保つだけでなくウルブスの中盤の溝も上手く突く立ち位置を取りながら数的優位を保っていた。

ウルブスの中盤は3枚。中盤3枚はギャップをしっかり締める為に、脇が甘くなる。右の脇にはフェルナンジーニョが。左の脇にはデ・ブライネがそれぞれ入ってボールを引き出すシーンが多く、ビルドアップの出口となっていた。

フリーでハーフスペースでボールを引き出せれば前を向いて前進するし、ウルブスの中盤がプレスに出ればギャップが開くので、スターリングやフォーデン、前線のジェズスが顔を出しライン間でボールを引き出した。

両サイドで違うタスク

左サイドのタスク

後方で配置が動くとそれに合わせてサイドの選手の配置も変わっていく。まずは左。左SBのメンディは高い位置をとる。高い位置をとるとデ・ブライネが連動して落ちたり、ロドリが斜めに落ちることで後方の優位性は保たれる。メンディが高い位置をとることで攻撃の厚みが生まれるだけでなく、ウルブスの攻撃力を低下させる狙いもあった。

シティにとって一番の天敵であるWBトラオレを押し下げることが出来るのだ。彼を最終ラインまで下げさせることで前に出るエネルギー消費を増やす狙いもあった。この為、トラオレは前半に関してほとんど前に上がることは出来なかった。

そして左のWGスターリングはインサイドに入る。中央につり出されたウルブスの中盤の後ろ(ライン間)でボールを引き出したり、一番はWBとCBの間へランニングすることだっただろう。ハーフスペースから縦へ、ハーフスペースから斜めにランニングを繰り返しウルブスの最終ラインを突破していく。またこのランニングを繰り返すことで、WBトラオレもそのランニングにつかざる負えなくなり彼の攻撃力を削減させる効果にもなっていた。インサイドに絞るだけでなく、サイドに張ることも。複雑な動きを重ねながら左サイドを制圧しにいく。

右サイドのタスク

お次は右サイドのウォーカーとフォーデン。

右SBウォーカーのこの試合での役割はウルブスのWB対応と、ビルドアップのお手伝いだった。1vs1の対人守備は相変わらずの強さ。ウォーカーサイドからの突破はほとんど許さなかった働きっぷりだった。

ビルドアップでは少し内側に絞ってウルブスの中盤の甘い脇(ハーフスペース)でボールを引き出したり、偽SBの動きで中盤に入り、後方の配置を旋回させるスイッチを入れる動きを見せた。これによりウルブスの守備の基準はさらに定まらなかった。

右WGのフォーデンはウルブスの左WBを迷子にさせた。大外で幅を持ってボールを引き出せば、1点目を演出したPK獲得となるスルーパスをポケットへ送り込む。外で受けたフォーデンに対して左WBを釣り出して、空いたポケットへ走り込むデ・ブライネへスルーパスを送り込んだ。

そして今度は中央で。2点目はフォーデンがインサイドに絞って、ウルブスの中盤がつり出された裏のスペース(ライン間)でボールを引き出し、前を向き、組み立てからフィニッシュまでこなして自ら得点を奪ってみせた。この時左WBは外で完全にひとりぼっちに。フォーデンによって迷子にさせられてしまったシーンは前半は少なくなかった。

後半やっぱり吹き返すウルブス

前半はシティが思い通りにコントロールした。ウルブスは自分たちの色もほとんど出せずにロッカールームへと帰っていった。しかし、やっぱりウルブスは後半息を吹き返すんだよね!昨年のリーグ戦の2試合もそう!いくらシティにリードされても前半とはまるっきり違う、テンポ感やスピード感を出し押し込む。そんな嫌な展開が今節も。後半はシティが耐え忍ぶ時間が増えていく。

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毎度シティ戦の時にウルブスの監督ヌーノはどんな声かけをしているのかが非常に気になる。

やっぱりトラオレ

前半ウルブスはシティに長い時間押し込まれたことで攻撃回数は激減。両WBも下げられてしまい後ろに重くなり前に出るまでに長い距離を走らなければ行けない状態に。またシティのトランジションプレスも早く、WBが駆け上がるだけの時間も作ることが出来ずにウルブスのストロングであるサイド攻撃を塞がれてしまうことに。

しかし、後半に入るとウルブスはトラオレを中心とした右サイドが息を吹き返す。トラオレが強引に個の力で突破したりする。それに加えてシティのトランジションが弱まり、ウルブスにボールを保持する時間が与えられるように。それによりトラオレが駆け上がる時間も生まれ彼が前向きでドリブルをするシーンが増えていく。50分を過ぎると右サイドを中心に何度も何度もビックチャンスを作り出す。

中盤の一角である右のネトがより高い位置に入る。左SBのメンディとマッチアップするシーンが増え、トラオレとともに、明確に右サイドを崩しにいく。

少しづつウルブスからゴールの匂いがしてきた。

内容よりも結果。

78分ついにシティのゴールが割られる。ウルブスがCKを起点にヒメネスのヘディングが炸裂し1点を返す。残り10分これで分からない展開へと。シティもウルブスの攻勢をしっかり受け止めて流れは再びシティに傾いてきたかな?という展開での失点。これまた昨年の苦い思い出が蘇る。

81分スターリングに変えてフェラントーレスが投入。見事にシティデビュー。難しい展開、短い時間で彼のポテンシャルは決して計れないが試合に選ばれた意味や期待はあるということは事実だろう。

シティはいつも以上にリスクをかけずにボールを握っていく。ボールを前進させても両SBやCHは上がらずに守備に重きを置く。ボールが切れればゆっくり時間を使っていく。失点したことに落胆せずに、慌てることなく、勝点3は絶対に渡さないというゲーム運びをしていく。

何かいつも以上に結果にこだわるシティを見たような気がする。いつも勝利の為に戦っているのはもちろんだが、いつも以上に、是が非でもこの試合は勝ちたかった思いが映像から伝わった。昨年のリベンジ!難しい台所事象!実質の開幕戦!色んな要因がそうさせたのだろう。

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ドキドキのロスタイム4分が終わりに近く頃に、ジェズスがストライカーらしく右足を振り抜き3点目を奪い、試合終了。

シティが難敵ウルブスを3-1で退けた。

終わり

おかえりシティ。今シーズンもたくさんシティのゲームは見ると思いますので、皆様も一緒に楽しみましょう!そしてやっぱりウルブスは本当に嫌で、いいチーム。何で後半になるといつも吹き返すのでしょうね。それでも昨年の難敵を倒して実質の開幕戦を勝利できたことが何より嬉しい。

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しかし、これからカップ戦も入り、過密日程が待っている。シティの抱える7人の欠場選手が重くのしかかる…はやく帰ってくることを祈るばかり。

次節のリーグ戦の相手はレスター。
これもた難敵!

さぁ今シーズンもプレミアリーグを盛り上げてもらいましょう!

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