【らしくない両面】プレミアリーグ第4節 リーズ・ユナイデットvsマンチェスター・シティ

サッカー戦術分析
この記事は約10分で読めます。

熱い熱い死闘がこの90分に。

ビエルサvsペップの名将対決。シティはらしくない両面(良い面、悪い面)が現れるゲームにも。リーズは相変わらずのらしさ全開。残り10分はやっぱりサッカーは強い気持ちって大事だよね!と思わせてくれるような展開へと。どんなに素晴らしい戦術があっても、そこに戦う姿勢だったり、勝ちたいとい気持ちがなければ何の意味もない。リーズにもシティの選手のハートにもしっかりそんな強い気持ちは宿っている。

本当に素晴らしい90分でした!

7つのマンマーク

ビエルサといえばオールコートマンマーク!という印象は強いかもしれないが、ビエルサリーズはそうではない。ビエルサリーズのボール非保持はマンツーマンはあくまでベース。

最終ラインにはリスクケアの為に数的優位になるような戦術をとる。そうなると数的不利のエリアが出る。そこは1トップのバンフォードが一人でシティの2CBを見る形となり、その他7人の選手たちはマンマークでシティの選手たちを捕まえる。

その7人の選手たちはシティの選手たちがポジションを入れ替えてもどこまでもついていく。

誰が誰にマークに行くのか明確になることでプレスの強度をあげられるといった利点はあるが、そこでの戦いに破れてしまえば一気にピンチを作られてしまう。絶対にそこでの戦いに負けない自信とスキルが必要になるが、リーズの選手たちはビエルサによって十分鍛えられている。この試合でも試合が経過していくほどシティを苦しめていく。

また、1vs1で負けてしまっても、CBのどちらかは余る状態にしているのでしっかりリスクのケアもされており、マンツーマンでプレスにいく選手にはそのことが頭にしっかり入っていれば、よりチャレンジしてプレスに行ける要因にもなるだろう。

しかし、シティもしっかりリーズの戦術を分析し、弱点を突いていく。流石というゲーム運びを前半見せてくれた。

運ぶドリブル

前述したリーズの守備での弱点をシティが突いていく。まずは2CBの数的優位を活かして前進していく。シティの2CBに対してリーズは1トップのバンフォードが一人でプレスにいく。配置の噛み合わせ上で唯一数的優位を得られるエリアである(他のエリアはマンマークが付いている)。そこの時間とスペースの貯金をいかに前線の選手に渡せるかがキーとなる。できるだけ、いい形で前線の選手にボールを渡すことがこの試合初コンビとなったラポルテと新加入L・ディアスのミッションとなった。初見のディアスは素晴らしい配給力を見せるシーンも。縦パスをグサッと刺したり、浮き玉をライン間にパスするシーンもあり、こりゃ巧い!一気に心を奪われてしまった。そして、それ以上に効き目を発揮したのが左CBのラポルテの『運ぶドリブル』だった。

前にスペースがあるとラポルテが『運ぶドリブル』で前進する。それに釣られて前進を許させまいと、トップのバンフォード以外の選手がプレスに来れば作戦通り。マンマークのリーズの中盤の選手がラポルテにプレスに来れば当然シティの中盤の誰かがフリーとなる。

そこを見逃さずにフリーとなった中盤の選手がボールを受け前向きでボールを受け取るシーンが多かったシティ。またラポルトやディアスに前進されまいとトップのバンフォードに加えて中盤の選手が前に出るシーンも。そうなると先ほど述べたようにシティの中盤のフォーデン、もしくはデ・ブライネがフリーとなる。リーズのアンカー脇でボールを受け取ってライン間でボールを受けるシーンもあり2CBの数的優位を活かして上手く前進していったシティ。

そしてもう一つがマンマークの1vs1で勝つことだ。前半マンマークで勝ちまくっていたのが左SBメンディだ。マッチアップする右SHコスタに攻撃面ではメンディが何度も勝利し、前進する。またはフリーで前向きでメンディがドリブルすることでリーズにはズレが生まれ、他のシティの選手をフリーにさせる効果も生まれていった。

マフレイズのトップ

上手くリーズのプレスを剥がしてゴール前まで侵入するシーンが増えていった前半のシティ。この日の3トップには初めてのコンビが並んだ。左にはスターリングが。右には新加入のフェラン・トーレスが。そして最前線にはマフレズが。

スターリングが最前線でプレーする姿はよく目にするが、マフレズがトップに入るのは中々ない。マフレズはペップの魔改造によってトップに入っても十分にプレーできる選手にまで成長している。しかし、マフレズがトップに入る効果よりも、スターリングをトップではなく、慣れ親しんでいる左のワイドで使いたい!というペップの思いの方が強く伝わった。相手がマンマークベースのリーズということもあり、スターリングの独断突破は非常に効果的になると踏んだのかもしれない。案の定スターリングのドリブルから先制点を奪い去る。左のワイドでボールを受けたスターリングがカットインからミドルシュートを放ちゴールネットを揺らす。スターリングが雄叫びを上げた。

もちろんマフレズも不慣れであろうトップの位置でしっかり仕事はこなす。縦パスを受けても簡単には取られない。以外かもしれないが相手を背負ってボールを守るプレーが巧い一面も。懐の深さは相変わらず。相手を背負ってキープし、味方に時間を与えるシーンも。

そして、マフレズが一列落ちてボールを引き出すことで、リーズのCBの一枚を釣り出す働きも。マフレズが落ちれば当然リーズのCBはついてゆく。どこまでも。しかし、そこを逆手にマフレズの落ちる動きでリーズの最終ラインの4枚を3枚にする効果にも。当然マフレズは落ちてボールを受けるシーンもあれば、ボールを受けなくてもリーズの最終ラインを薄くし、味方にスペースを与える効果にもなっていた。3枚となった最終ラインへスターリング、フォーデン、トーレスがランニングしていく。

マフレズのトップは悪くなかった。

狙われるリーズの心臓

リーズの攻撃のタスクの中心であるアンカーのK・フィリップスがシティに狙われる。彼にボールが入ると一目散にプレッシャーが襲いかかる。またフィリップスのパスコースはトップのマフレズが上手く隠していく。

そしてリーズの心臓を狙うかのように、フィリップスにボールが入るとシティのキングが襲いかかる。待ってましたと言わんばかりにデ・ブライネがフィリップスへ強いプレスをお見舞いし、ボールを奪い去り一気にショートカウンターを仕掛ける。そんなシーンが前半多く見られた。

Embed from Getty Images

この日のデ・ブライネは攻撃面での存在感はもちろん、守備面での奮起も素晴らしかった。いつも以上に撤退が速いし、後半リーズのCKを自陣のペナルティエリアでクリアしたと思ったら、最後はリーズのペナルティエリアでシュートを放つシーンも。豊富な運動量でもチームに貢献して見せた。

しかし、フィリップスも馬鹿ではない。狙われるアンカーの位置からポジションを変え、ボールに少しづつ触れる回数が増えていく。彼がボールに触れるとリーズには攻撃のリズムが出てくる。

前半シティリードでハーフタイムへ。

だんだんとリーズの土俵へ

ハーフタイムからリーズは交代選手を投入し、より縦への意識を高めていく。左SHのアリオキスに変えてポダへを投入。ポダへは右のSHに入り、左SHにE・コスタが入った。リーズの明確な狙いはメンディサイド。メンディは攻撃面ではドリブル侵入でリーズの脅威となっていたが、守備面ではこの試合でも脆さを出していた。そこに速い早いポダへがガンガン突いていく。後半何度もメンディサイドからえぐられるように。そして56分にはロドリゴも投入。先手先手と手をうつビエルサ。右サイドの勢いそのままにリーズがCKから同点に追いつく。ロドリゴがGKエデルソンのこぼしたボールに素早く反応しゴールに押し込んだ。

Embed from Getty Images

こっからよりゲームがリーズの土俵へ移り変わっていく。シティよりも走り、シティよりもボールを動かし、シティよりもボールを握っていく。ハイペースな展開へと。シティもカウンターからチャンスを作るも、ハイペースの戦いになるほどリーズの方がお得意だろう。シティはGKエデルソンが活躍するシーンが増えていく。それほどリーズに決定機を作られていったが耐え忍ぶシティ。

少し後手になってしまった感もあったがペップも手をうつ。メンディに変えてアケ。マフレズに変えてフェルナンジーニョを投入。リーズの勢いある右サイドへアケ投入でテコ入れする。そしてフェルナンジーニョを入れて4-3-3から4-2-3-1へと配置を変更し、リーズの攻撃を停滞させに行き、ボールを握る時間を少しづつ増やしていった。80分過ぎから段々とシティの攻撃は吹き返しペナルティエリアへ入る回数は増えていったが、まだまだリーズは元気。シティが攻め込めむほどリーズのカウンターの威力は増していく。

残り10分の攻防は非常に熱かった。両チームともに非常に戦術的に長けている監督がベンチにはいるが、残り10分の攻防の中には絶対に勝つんだ!という強い熱い気持ちの方がより濃く出る展開へと。手に汗握るゲームとはこんな展開。

スコアはこのまま動かず1-1で終了。

熱い良いゲームでした🔥

らしくない両面

この試合シティのらしくない良い面と悪い面が見られた。まずは悪い意味でのらしくなさだ。それはリーズのペースに合わせてハイペースになってしまったことだ。自分たちのペースに、自分たちの土俵で戦えなかったことだ。カウンター気味の縦に速い単調なシーンが多かった。速攻の色が濃かった。相手を押し込み、ハーフコートゲームへ持ち込み、ボールを動かし相手をいたぶっていくらしさはあまり見られなかった。案の定ボール保持率も、リーズの方が高かった。ボールを持たせるというよりも、試合が経過するほど、ハイプレスも機能しなくなり、ボールを持たれる時間が多くなった。それでもシティの個の力でカウンターを仕掛けまくるワァーワァーサッカーは違った意味で面白かった。スターリング、デ・ブライネの絡むカウンターの破壊力は抜群。

Embed from Getty Images

しかし、シティは相手の攻撃を受け続けてしまうと弱い一面が出る。ただ下がってブロックを作る戦術はペップの哲学にはないし、そんな選手がシティのスタメンには並んでないのは皆さんもご存知の通り。やっぱりしっかりボールを握って力を発揮するのがペップシティだ。ボールを握る時間をもっと作る必要があったということだ。カウンターを仕掛けることが悪いわけではない。使い分け。戦い分けが出来れば結果は変わったかもしれない。

お次は良い意味でのらしくなさ。それは前節のレスター戦を踏まえてなのか、実に守備意識が高かったことだ。いつも以上に戻りが早かった。ハイプレスを仕掛け続けるだけでなく、ブロックを敷いて待ち構えるシーンも少なくなかった。いつもより重心を下げて、しっかり守りもやるんだぞ!前節のように5失点なんか絶対にしない!という思いがシティのボール非保持での振る舞いで感じられた。しかし、意識だけで簡単にチームが生まれ変わるほどサッカーは甘くないし、プレミアリーグは甘くない。脆さも浮き彫りになるシーンも。軽いシーンを見せてしまう選手は中にはいた。しかし、チームとして何か変わろうとしているプレーがあったことも事実だ。

上手くいかなければ何かを変えなければいけない。そして継続しなければ生まれ変わらない。それをすぐさま実行するペップシティに一番心を惹かれるところなのかもしれない。上手くいかない時にもがき、チャレンジを続けるペップシティ。何を変えれば正解か?も大事だが、すぐさまチームに変化をもたらし、チャレンジを要求するペップ。そんな姿が素晴らしい。変化し続けるペップシティに心を惹かれるのだ。

まだまだ進化し続けるペップシティから目は離せない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました