【焦れたら負け】プレミアリーグ第8節 マンチェスター・シティvsリヴァプール

サッカー戦術分析
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今一番、世界が注目するカードと言っても過言ではない、マンチェスター シティ×リヴァプールの対戦がまだまだ温まらないプレミアリーグの序盤でぶつかり合った。この時期でのこの対戦はどちらのチームに好材料となったかは分からないが、両チームの主力選手の怪我や、コンディション不良が目立つ中でのぶつかり合いとなったのは、一人のサッカーファンとしては少し残念だった。

しかし、ドキドキする、ジリジリする、世界最高峰の戦いが言うまでもなく、90分間観ることができた。お互いをお互いにリスペクトする姿勢。お互いを知り尽くしているからこそいつもとは違う戦術のチャレンジ。

両指揮官の思惑が、時間の経過とともに変化していく。仕掛ける時間帯。修正する時間帯。我慢をする時間帯。しかし、キックオフから、試合終了のホイッスルまで変わらなかったことも。それはとてつもない「集中力」を持って戦い続けていたことだ。一つの集中の切れが命取りになるような、焦らしあい。焦れずにどれだけ我慢が出来るのかがこの試合のスコアに影響し、結果を左右する大きな要素となった。

前置きがだいぶ長くなってしまい申し訳ございません。それほど胸を躍らせる一戦でした(このカードは毎回そうですよね!)。それでは、簡単ではありますが、この世界最高峰の一戦を振り返っていきたいと思います。どうぞ温かい目でお付き合いください!

リバポのフロント4

まず仕掛けたのはアウェーのリヴァプールだった。見慣れたフロント3(マネ、フィルミーノ、サラー)に加えて、前線にはニューフェイスが加わった。ウルブスから今シーズンやってきたジョタが先発。リヴァプールの世界最強のフロント3にジョタが加わり、前線はフロント4となった。

右にジョタが入り、左にマネ。最前線にはサラーが入り、トップ下にフィルミーノが入った。しっかり上下動が出来るジョタとマネは攻撃に守備にサイドを駆け上がる。そして中央に並んだサラーとフィルミーノは頻繁に立ち位置を変えてシティのライン間でボールを引き出す。そんな中でもフィルミーノがまさに水を得た魚のように躍動。

捕まえられないフィルミーノ

フィルミーノは後半の途中で下がってしまったが、クロップが彼を交代させた真意は私には最後まで分からないほどの働きを後半途中まで見せていた。この試合リヴァプールのビルドアップの出口は「フィルミーノ」そのものだった。フィルミーノがピッチのあらゆるところでボールを引き出す。たとえ苦しいボールを彼に渡したとしても、彼が一度ボールを触れてしまえば、シティのラインを軽々突破してしまう。そんな光景が何回も見られた。

シティはボール非保持の状況になるとデ・ブライネが一列上がり4-4-2になる。そうなると配置の噛み合わせ上ヘンダーソンとワイナルドゥムはシティの2CHに捕まってしまう。そうなるとビルドアップの出口となるのがトップ下に入ったフィルミーノだった。シティのライン間で何度も縦パスを受けて前を向き、ジョタ、サラー、マネにボールを供給していく。中央、もしくはハーフスペースでボールを引き出す立ち位置、動き出しは絶妙すぎ。シティも中盤4人が並んでいるのに、意図も簡単にライン間でボールを受けて前を向いてしまう。これぞフィルミーノの真髄!そんなプレーを何度も見せ、シティを苦しめていく。

それだけではない。左の幅をとるマネが落ちてシティのSBウォーカーを釣り出すことで生まれる裏のスペースに走ってボールを引き出すプレーも見せる。またGKからのビルドアップでは左サイドのラインを踏みにいく。開いている左SBロバートソンとレーンが一緒になるように左サイドに開き、ロバートソンから縦パスを受けてキープ。持ち前の背負ってキープで味方にパスをしたり、簡単に前を向いてドリブルで前進する。彼が左サイドのラインを踏みにいくことで生まれる効果がもう一つ。シティのアンカーロドリを中央から引きずり出す意味もあり、中央にはぽっかりとスペースを開けさせる役割も担っていた。

フィルミーノは前半だけで約6.5キロ走っていたようでかなりの運動量。これを踏まえての後半の割と早い時間帯でシャキリと交代となったのかもしれないが、彼がピッチから居なくなってリヴァプールの攻撃が停滞したのは間違いなかった。

焦れたら負け

試合開始からリヴァプールがこのフロント4を中心に圧力をかけていく。シティはいくつかラインを突破され決定機を作られた。このフロント4に加えて強力SBコンビ、ロバートソンとアーノルドが攻撃に参加すれば鬼に金棒状態。いつゴールが奪われたもおかしくない状態。そんな心理状態の中でシティの選手たちは試合序盤プレーをさせられていたに違いないだろう。焦れてしまい、集中を一瞬でも切らし、判断を誤ってしまえばピンチを招いてしまうそんな緊張感が広がっていた。

そして最初に焦らしを切らしてしまったがシティのSBカイル・ウォーカーだった。ロバートソンが左サイド高く上がり、マネとのコンビで攻め込む。するとハーフスペースでボールを受けたマネがドリブルでペナへ侵入する。一瞬外したウォーカーの前にマネが入りこむと、ウォーカーは慌てて対応するとマネを倒してしまいPK返上。この時、ロドリがマネの対応をしていたし、カバーにはディアスもいる状況なので、慌てる必要もなかった。ウォーカーがもう少し辛抱強く、冷静に対応していれば結果は変わったかもしれない。13分サラーがこのPKをきっちり決めてリヴァプールが先制した。

焦らしをかけるシティ

試合序盤のリヴァプールの圧力、フロント4の仕掛けなどによって押し込まれ、先制点を許してしまったシティだったが、徐々に立て直していく。

リヴァプールはボール非保持になるとサラーとフィルミーノが並び、シティ同様に4-4-2でブロックを敷いてプレスに出ていく。狙いとしては中央を固めて、中央を経由させないこと。

サイドに追い込んでボールを奪いにいく狙いがあった。サラーもフィルミーノも、お互いのギャップをしめることに細心の注意を払いながらシティへ牽制のプレスにいく。試合を総括した時には、このリヴァプールの守備の狙いはほとんどのシーンで機能していたと評価できる。しかし、ほとんどでは、失点を防げないのがシティというチームだ。

シティがだんだんとボール保持率を高めて、揺さぶりをかけていく。試合序盤は中盤の編成はロドリがアンカーでその前にギュンドアンとデ・ブライネがいる段差を作っていたが、これはリヴァプールの守備にまんまとハマり機能しない。するといつも通りにギュンドアンが一列下がってロドリと横並びでボールに触る回数を増やしていく。

4-4-2のリヴァプールのボール非保持に対してデ・ブライネがギュンドアンが一列下がったこともあり、より、中盤とDFラインの間でボールを要求するように。ヘンダーソンとワイナルドゥムの背後でウロウロし相手にとっては一番嫌な立ち位置をとり続ける。CBマティップとA・ゴメスも勇気を持って前に出ることは中々できずに、一番フリーにさせてはいけない男を段々とフリーにさせていってしまった。

前線に決定的な縦パスや、チェンジサイドが入るわけではないが、少しづつリヴァプールの綻び、焦れを誘っていく。

そして30分。ロドリがサリーダでCBの位置まで下がって3バック化しボールを動かす。そうするとフィルミーノとサラーの2トップのプレスに対して数的優位の状況を作り出す。ロドリからディアスにボールが入るとこれに対して左サイドのマネが猛烈にプレスに襲いかかる。しかし、シティはこれを待っていたかのように、ディアスはロドリにリターンを入れ、ロドリがサラーの開けたスペースで待つ右SBウォーカーへチェンジサイド。

たまらずリヴァプールの2CHが横にスライドするも間に合わずに、中央にスペースが。そこに待っていたのがデ・ブライネ。リヴァプールは一番フリーにさせてはいけない男をフリーにさせてしまった。ウォーカーから斜めのボールがデ・ブライネに入り、彼からジェズスに縦パスが入る。トラップミスのにも見えたが、ジェズスがペナでワンタッチで前を向き、左足で押し込み、同点弾を奪った。

本当に一瞬の出来事。マネがディアスにプレスに行ったシーンを見逃さずにシティが幅を使ってリヴァプールにズレをもたらして生まれた同点弾だった。マネが焦らしを切らして持ち場を離れたのか。結果としてシティにまんまと釣り出される形となった。リヴァプールの一瞬に焦れ。一瞬の選択のミスをしっかり得点に結びつけた、ロジカルな見事なゴールだった。

ボディブローとなるバックパス

リヴァプールの前線はいつも通りサボらずにプレスに出ていく。しかし、シティのバックパスが徐々にボディブローとして効いてくる。

サイドに追い込んだと思っても、シティの選手たちにGKエデルソンへバックパスを返されてしまい、もう一度4-4-2の持ち場に戻ってやり直し。その繰り返しを何度もこなすリヴァプールの選手たちの精神的、体力的な疲労は高かったに違いない。見ているこちら側からも、これはしんどいなと感じるほど。そこに焦らしを切らし、GKエデルソンへプレスに行きたくなる気持ちもあるだろう。しかしその気持ちをリバポの前線の選手たちは最低限抑えていた。GKまで出てしまえばエデルソンにまんまと剥がされてしまう。一度ヘンダーソンかな?プレスに頑張って出ていたが、それが無駄走りにされてしまうシーンも。それほどエデルソンの足元の技術は言わずと知れたスキルですし、落ち着いてプレーの選択も出来ちゃう選手。

リヴァプールの前線の選手はボールがない状態では多くの我慢をしていただろう。よく焦れずに与えられたタスクをこなしていたと感じる。

焦れないシティのCB

シティの選手たちもよく焦れずに耐えていた。特にラポルトとディアスのCBコンビは本当に集中して焦れずに、冷静にプレーしていた。リヴァプールの強力フロント4に対して例え不利な状態でも冷静に対応。自分がプレー選択を誤ってしまい裏を取られても、次できる最善の選択を選び、追加点を許さなかった。GKエデルソンも含めて本当にペナルティエリアに侵入されても、最後はゴールを守るという冷静さを保ちながらプレーしていたと感じる。まさに頭は冷静に。心は熱く。そんなプレーを90分間見せてくれた。

忘れちゃいけないのがカンセロ。この試合のカンセロのパフォーマンスは素晴らしかったね👏攻撃大好きマンが、この試合は守備も本当によく頑張っていました!ウォーカーもPK与えてしまったけど、いつも通り素晴らしいパフォーマンスでした。

シティのバック4とGKの働きは最近凄いですね。だからこそ、前の選手たちにはもっと奮起してもらわないとね!もっと点数とらないとね!

終わり

試合は両者前半に挙げたゴールの1点ずつで試合は終わり。後半は少し物足りなさを残しながら、この世界最高峰の戦いは幕を閉じた。ドキドキの前半。焦らし合い、鍔迫り合いのまま終わってしまった後半。そんな感じの90分でもあった。

日本時間深夜1:30キックオフのゲームで眠気もありながらも、いざ試合のホイッスルがなった瞬間に一気に引き込まれる最高の90分だった。

戦術的な両チームの狙いや、個で打開できるタレント力。両チームの思惑がひしめく面白いゲームだった。

そして、つくづく思うのはこのレベルの選手たちのメンタルは凄まじいなと感じさせられる。ここをチームとして狙おう。こうやって守ろうとチームとして決められたことを、いざこのハイレベルな相手にしっかり遂行できるスキルはもちろん強靭なメンタルがなければ出来ない。あの舞台で気持ちは熱く、頭は冷静にプレーなんかできるのか?とふといつも感じてしまう。そんなことを平気で出来てしまう選手が両チーム集まっているから世界最高峰なんだよね。

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ペップもなんだかいつも以上に緊張感を持ちながらも、楽しんでいるように見えて嬉しかった。クロップもなんだか楽しそうだった。いつまでもこのライバル関係が続けばいいのになと思うばかり。いつも最高の試合をありがとう!

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