【苦しい序盤を乗り越えて】マンチェスター ・シティ 20/21プレミアリーグ前半総括【戦術分析】

サッカー戦術分析
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マンチェスター・シティの前半戦振り返り

2021/1/20に行われたプレミアリーグ第1節延期vsアストンビラ戦の試合を終えて一旦前半戦終了ということで、前半戦のシティの戦いぶりを振り返っていきたいと思います(延期となっているエヴァートン戦の試合はまだ未定の為抜いておきます)。

前半戦を振り返ってもシティには色んなことがありました。浮き沈みを繰り返し前半戦を戦ったといった感じではないでしょうか。

秩序と連動性を失った攻撃陣。大きすぎたシルバロス。一人の男の加入でもたらされた安定感。成長著しいシティの未来。ストライカー不在問題。『カンセロロール』。進化して帰ってきた男。ポルトガル人選手の躍動。ストライカーは俺だ!

思い浮かぶだけでもこれだけの物語が。試練を乗り越え、新たなペップシティの形も見えはじめた前半戦。それでは簡単ではありますがシティの前半戦を振り返っていきましょう!

歯がゆい序盤

シティの開幕戦はCLの関係上開幕戦のアストン・ヴィラ戦は延期となり、第2節のウルブス戦が今シーズンの船出となった。昨シーズン19/20でシーズンダブルを食らった天敵だ。シティはスケジュール上、選手に十分の休養と、新シーズンに向けての準備期間がない状態でこの試合を迎えた。

相手が難敵ウルブス、そしてそんな準備不足を踏まえてか守備的な人選となった。4-3-3ではなく、4-2-3-1で中盤にロドリとフェルナンジーニョを並べデ・ブライネをトップ下に配置。試合は前半シティが2点をリードを奪うも後半はウルブスに押される展開に。後半1点を返され同点に追いつかれてもおかしくない状況もあったが、後半ロスタイムに1点を加えて難敵ウルブスを3-1で退けて白星スタートを飾った。最後は内容よりも結果を重視する戦いを見せたシティ。3-1勝利 (アウェー)

第3節の相手はこれまた難敵レスターシティ。ブレンダン・ロジャーズ監督にまんまとしてやられる試合に。先制点を奪ったシティだったが、レスターは5-4-1ブロックからの鋭いカウンターでシティのゴールネットを何度も揺らす結果に。終わってみれば5失点の大敗。ペップも修正を加えられずになす術なし。終始レスターに圧倒されホームの地で勝点3を受け渡す結果に。ペップが5失点を奪われることはキャリア初!?今シーズンのシティは弱い…ペップはもう潮時かもね…そんな声がこの時期からあらゆる所から聞こえてきた…2-5敗戦(ホーム)

前節の大量失点改善の為だけではないが、最終ラインにあの男がやってきた。前半戦のキーマンの一人であるルベン・ディアスだ。第4節のリーズ戦でいきなりデビューを飾った。ビエルサvsペップの戦術家対決となったこの試合。軍配はビエルサに上がったという人が多いように、ペップが納得する内容や結果を得られる試合ではなかった。先制点こそ奪ったシティだが、後半に入るとビエルサリーズに完全に押し込まれ、自陣に引いてゴールを守るだけの状態に。なかなか見れないある意味珍しいペップシティだった。後半にリーズに追いつかれ何とか勝点1を持ち帰ったそんな内容だった。振り返ってみて確かにリーズに押し込まれる展開となっていたが、デビューを飾ったルベン・ディアスの働きっぷりは素晴らしかった。彼がいなければリーズに敗戦してもおかしくなかったかもしれない。1-1ドロー(アウェー)

レスター戦の大量失点や得点力不足…シーズン序盤は攻守で噛み合わなかったシティ。この時期の順位は14位まで落ち込み、ペップシティは停滞してるなという声が多かったのは確かだ。この後も得点力不足問題は続く。3節のレスター戦以降シティは10節のバーンリー戦まで複数得点を取ることができな状態に。無得点、または1得点の試合が続き、ペップシティらしからぬ攻撃力で何とも歯がゆい序盤を送ることとなった。

しかし、そんな中でも今振り返るとペップが好機を見出すためのチャレンジを、この時期行なっているように感じた。その試合の一つが5節のアーセナルだった。

『カンセロロール』の予兆

第5節 vsアーセナル。この試合を何回繰り返して見たことか。それほどペップの仕掛けたトリックの迷宮に迷ってしまった。俯瞰的に見ている側がこんなにも迷う試合。当然ピッチで戦うアーセナルの選手の頭はそれ以上にパニックに陥ったはずだ。その時一番私たちの頭を迷わせたのがカンセロの立ち位置だった。この時は本当にカンセロの立ち位置に悩まされたが、今になってシティの快進撃の要因の一つになっている『カンセロロール』の始まりだったのかなと思っている。終始カンセロの立ち位置によりアーセナルを迷わせ、中盤で優位性を作り、ワイドで1vs1を作りアーセナルを押し込んでいった。今シーズンリーグ戦初先発となったベルナルドも攻守に躍動。前半奪った1点を、後半は大事に守り勝点3を獲得したシティだった。1-0勝利 (ホーム)

シルバを失ったマンチェスター・シティ

第6節 vsウェストハム 1-1ドロー(アウェー)

第7節 vsシェフィールド 1-0勝利(アウェー)

第8節 vsリヴァプール 1-1ドロー(ホーム)

相変わらずシティの得点力不足は改善されない…1シーズンで100得点を奪うシティの攻撃力は消え去ってしまったのか…複数得点が奪えない試合が続いていく。この原因の一つとして、段々とあの男の存在が大きくなってきたはずだ。

昨シーズンシティを退団したダビド・シルバだ。

シルバがいかにペップシティの攻撃において、必要不可欠だったのか得点を重ねられない試合が続くほど、その存在の大きさに気付かされたに違いない。シルバが左のハーフスペースに君臨しているだけで、目まぐるしいポジションチェンジがある中でも、シティの攻撃は秩序を持って攻撃ができていたことが。狭いスペースで意図も簡単にターンするスキル。相手のブロックをぶっ壊すポケット侵入、決定的なパス。右サイドからのクロスに飛び込むシルバ。どれだけシティの攻撃を活性化させていたことが分かる。

またシルバの穴を埋めなければと、シティのチームバランスも崩れているように感じた。右に左に、ビルドアップにフィニッシュに、動き回るデ・ブライネ。ボールに寄りすぎる選手たち。いるべき場所にいない選手たち。忘れてしまったポケット侵入。

シルバロスのダメージは確かに大きい。しかし、試合を重ねるごとに忘れかけたペップシティらしさを少しづつ取り戻していった。そして昨シーズンとはまた違うシティへと変貌を遂げていった。

進化して帰ってきた男

第9節 vsトッテナム戦 アウェイの地でシティは結果内容ともにモウリーニョに圧倒される。ボールを持たされ、電光石火のカウンターを何度も喰らったシティ。噛み合わないチームを完全に砕かれた…そんなことを思ったサッカーファンは少なかったはずだ…しかし、この試合を機にあの男が最終ラインに戻ってきた。2節のウルブス戦以来、ジョン・ストーンズが最終ラインに帰ってきた。第10節 vsバーンリー戦以降ストーンズが最終ラインに入ることでシティの失点数が格段と下がっていった。5-0勝利(ホーム)

ストーンズは昨シーズン怪我の影響などで、コンディションが上がらずに試合出場が激減。ペップの信頼も失っていた。しかし、ペップの信頼も取り戻し、いやそれ以上の信頼を取り戻す働きを前半戦は見せてくれている。ただ帰ってきただけでなく、進化して帰ってきたジョン・ストーンズ。

新加入のルベン・ディアスとのCBコンビはここまでプレミアリーグ最少失点を誇る鉄壁っぷりだ。ここからシティの無敗街道が始まった。第11節 vsフルハム戦も2-0で勝利しトッテナム戦の大敗から少しづつ起き上がっていったシティ。次節迎えたのは最大のライバルマンチェスターユナイデットだった。

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ペップが与えた戦術『カンセロロール』

迎えた第12節 vsマンチェスターユナイデット戦。熱い激しいマンチェスターダービーが繰り広げられると思いきや、試合はなんとも退屈な90分だった。終始お互い睨み合い、負けないことを第一優先としたゲームは点数も入らずに、当然物足りなさ溢れる試合となった。0-0 ドロー(アウェー)

第13節 vsWBA 戦も得点は1点を奪えずに1-1でドローと勝利を飾れなかった。失点数は減ったものの2戦連続ドロー。順位も9位と順位をあげられない。得点力不足が改善されない状況は続いていたが、それを改善する新たな形が隠されていた。それは『カンセロロール』だ。カンセロがビルドアップ時にインサイドに入り、ゴール前の崩しの場面ではインサイドハーフに入り、中盤に厚みと優位性をもたらす戦術だ。この試合を機にシティの攻撃の大きの特徴として現れ始める。

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SBのカンセロがインサイドに入ることで相手は混乱。またカンセロが中盤に入ることで、デ・ブライネのビルドアップ時の負担が軽減され、彼がよりゴール前でプレーする回数が増える効果も。またゴール前ではインサイドハーフに入ることで、味方のWGをワイドで1vs1の状況を作り出す効果にもなり、ペップシティのお得意技である、ポケット侵入も多く見られるようになっていった。

この試合の先制点もゴール前のハーフスペースでボールを受けたカンセロを起点に、ペップシティらしいポケット侵入から生まれたゴールだった。

第15節 vsニューカッスル戦 でも『カンセロロール』でシティの攻撃は活性化された。前半はインサイドで、後半はワイドでプレーし何度も決定機を演出したカンセロ。新たなシティの攻撃の形が浮き彫りとなっていった。2-0勝利(ホーム)

躍動するレフティー

第14節 VSサウサンプトン戦 は1-0と辛くも勝利。第15節のニューカッス戦も勝利し、2-0連勝を飾ったシティ。そしてこの時期から出場数を増やしていったのが2人のレフティーだ。シティの未来フィル・フォーデンと無尽蔵のベルナルド・シウバだ。出場をくすぶっていた2人がその鬱憤を晴らすかのようにピッチで躍動する。

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迎えたビックマッチ第17節 vsチェルシー戦でも2人は先発出場。フォーデンは1G1Aの大活躍。ベルナルドはビルドアップにフィニッシュに、守備にピッチを走り回り存在感を発揮した。シティは前半チェルシーに押し込まれる展開となったが、徐々にボール保持率を高め、前半あっという間に3点を奪い去りこのビックマッチをモノにし、リーグ戦3連勝を飾った。3-0勝利(ホーム)

第18節 vsブライトン戦でもフォーデンはゴールを奪い1-0の勝利に大きく貢献した。第19節でもシティの勢いは増す一方。セットプレーから4得点を奪い圧勝を飾ったシティ。迎えた前半戦最後のゲームとなった第1節延期分 vsアストン・ヴィラ戦。試合は終始シティが押し込む展開となったが中々得点を奪えない展開に。後半になるとアストン・ヴィラのカウンターも炸裂し手に汗を握るゲームへ。そしてゲームを決めたのはあのレフティー。78分ベルナルドが左足を振り抜き、胸熱なミドルがゴールに突き刺さった。このゴールは本当に痺れた。痺れた。このゴールでシティは6連勝で前半戦を終えることに。順位も2位となり首位の背中をがっちり見える位置まで上がってきた。

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ストライカーは俺だ!

前半戦はストライカー不在のまま戦い抜いたと言っていいのではないか。アグエロ、ジェズスが怪我やコロナの影響で中々ゲームに出れなかった前半。純ストライカーが不在で感じる問題も多かったが、あの男が攻撃を牽引してくれた。デ・ブライネはもちろん終わってみれば10アシストで攻撃を牽引していたが、もう一人この連勝を支えた男を忘れてはいけない。それはイルカイ・ギュンドアン。前半戦彼がインサイドハーフのポジションで挙げたゴールは5つ。得点力不足の中でチーム最多となるゴールを前半戦挙げた。まるでアグエロ?を彷彿とさせるゴール前のタッチ、フィニッシュで何度もチームを救ってくれたギュンドアン。

渋すぎます!

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マンチェスター・シティ前半戦MVPは?

前半戦を支えたMVPを私なりに挙げたいと思います!進化して復活したストーンズ。『カンセロロール』で攻撃を牽引したカンセロ。シティの未来フォーデン。ピッチを駆け巡るベルナルド。挙げればキリがないですが、私はルベン・ディアスを挙げたいと思います。新加入ながら圧倒的な存在感で君臨するルベンディアス。最終ラインに安定感をもたらし、シティに勝点をもたらしてくれたはずだ。CBで今チームで一番外せない男はこの男かもしれない。ボール扱いのスキルはもちろん、仲間を励まし、コーチングする姿。体を投げ出しチームのためにユニフォームを汚す彼の姿に何度も心を打たれた。後半戦もそんなプレーを楽しみにしている。

前半戦のまとめと課題

前半序盤はチームの歯車が噛み合わんかったシティ。大敗したレスター戦。内容結果ともにしてやられたトッテナム戦。そんな苦しい序盤を切り抜け徐々に新しいシティの形を作り出していった。

シルバロスにより乱れた攻撃陣。ボールに寄りすぎ、動きすぎ。デ・ブライネにのしかかる仕事量。忘れかけたポケット侵入。その改善策の一つとしてペップが用意したのが『カンセロロール』だった。

そして進化して帰ってきたジョーンズと新加入のルベンディアスのお陰でクリーンシートを連発。くすぶっていたフォーデンとベルナルドがチームにフィットし、チームの人選、形が明確になり連勝を飾った、そんな前半戦となったが課題もまだまだある。

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前半戦最後のアストン・ヴィラ戦でシティのキングデ・ブライネが負傷交代。1ヵ月近くの離脱が決まり、攻撃力低下は否めないはず。この攻撃力をカバーすることは出来るのか一つの課題になりそうだ。そしてもう一つが『カンセロロール』を仕掛ける上でかかるリスクだ。カンセロがインサイドに絞ることで生まれるSBの裏のスペースだ。

ここの弱点をアストン・ヴィラには多く使われた。相手に合わせてSBの組み合わせ、CBの組み合わせで、その試合のゲームプランを変える戦いも必要になってくれるはずだ。そんな思惑を読み取りながらペップの人選をみるのも楽しみの一つになりそうだ。

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さぁ、王座奪還への準備が徐々に揃ってきた。あとはくすぶる攻撃陣が爆発するだけだ!そうなれば本当にシティは止まらない存在になるはずだ。

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