【際立ったプレス】リヴァプールvsマンチェスター・シティ【プレミアリーグ第23節 戦術分析・レビュー】

サッカー戦術分析
この記事は約11分で読めます。

マンチェスター・シティはリーグ戦9連勝でプレミアリーグ首位で鬼門アンフィールドへ。そして迎えるリヴァプールは、ホームアンフィールドで直近2連敗中と対照的な状態で、この世界最高峰の戦いが幕をあけた。

今期のプレミアリーグ優勝を左右させるビックゲームと言っていいこの試合。シティは王者を突き放せたのか?リヴァプールは王者の意地を見せたのか?それでは世界最高峰の戦いを振り返っていきましょう。

両チームのスタメンはこんな感じ。スタメンを見るだけでも、両チームの人選事情や、思惑が伺える。さぁどんな試合になったのでしょうか?

プレスvsビルドアップの攻防

この試合一番面白く、ゲームの流れ、結果を左右させたのがこのタイトルだ。いかに相手のプレスを安全かつ安定的にボールを運ぶことができるか。いかにビルドアップにプレスをかけてボールを奪うか。いかに自陣を抜け出せるか。いかに敵陣でボールへプレスをかけられるか。ここが一番面白い攻防であり、ゲームの決め手となっていった。まずはシティのビルドアップから見ていきましょう!

シティのビルドアップ

シティの最終ラインには左からジンチェンコ、ディアス、ストーンズ、カンセロが入った。ビルドアップになるとカンセロはお馴染みになりつつあるように、インサイドに入って立ち位置をとる。巷で噂の『カンセロロール』をこの試合でも披露する。

シティのキックオフから試合が始めると、リヴァプールが前からボールに出ていく。強力フロントスリーがシティの最終ライン、GKへ襲いかかる。リヴァプールの意気込みを感じるシーンでもあったが、シティの狙いが色濃くでるシーンでもあった。

リヴァプールは前のめりにシティへプレスをかけにいく。基本配置の4-3-3をベースにプレスをかけにいく。ワントップのフィルミーノはアンカーのロドリのパスコースを限定しながらCBへ牽制。WGばワイドのコースを切りながらCBへプレスをかけにいくお馴染みのプレス。中盤3人はコミニケーションを取りながら、シティのポジションチェンジする選手たちに、明確についていくプレスを見せた。

開始30秒から一連のプレーで、右SBカンセロがインサイドでボールを3回触って、リヴァプールのファーストプレスを無力化していった。アンカーのロドリと横並びになるようにカンセロがSBの位置からインサイドに絞ってポジションをとる。これにより中盤に数的優位を作り出し、リヴァプールのプレスのズレを誘発させていった。

それに伴い、最終ラインは右CBストーンズが右に少し開いて、ディアスがど真ん中に入り、左SBのジンチェンコは上がりすぎず、インサイドに絞りすぎずに、むしろワイドにポジションとる形へ可変していった。

カンセロがインサイドに絞ることで空いたスペースに右IHベルナルドが斜めに落ちてボールを引き出す。ベルナルドは窮屈な局面でボールを受ける状態も少なくなかったが、持ち前の技術の高さを発揮し、リバプールのプレス回避に大いに貢献してた。

シティのビルドアップのキーマンは両SBの立ち位置になっているように感じた。両SBの違う振る舞いがまた面白かった。

前プレを和らげるSBの立ち位置

先程述べた通りビルドアップになると、右SBカンセロはインサイドに絞り、左SBジンチェンコはワイドに立ち位置をとったように、ペップに与えられた両SBのタスクは違っていた。

カンセロがインサイドに絞ることで中盤に数的優位を作るだけでなく、マッチアップしている左WGマネをインサイドへ引き連れる。それにより、右CBストーンズが開いてボールを引き出すスペースを与え、ベルナルドが斜め右に落ちてボールを引き出すスペースを与えることになる。

逆サイドの左SBジンチェンコはワイドにポジションをとることでマッチアップする右WGサラーをワイドに誘導する。それによりインサイドにスペースを空けさせる狙い。そしてサラーは前半序盤CBへプレスにいくので、必然的にワイドに広がるジンチェンコがフリーとなり、ビルドアップの出口になる役割も担っていた。前半35分のシーンはCBからワイドに開く左SBジンチェンコへ、サラーの頭上を超える浮きパスを起点に、リヴァプールのプレスをズラしていき、最後はスターリングのドリブルからのPK獲得までのシーンを作り出せた。惜しくもギュンドアンがPKを外してしまったが、左SBジンチェンコの立ち位置から、狙い通りの形で決定機を作り出した。

両SBに与えられた異なる立ち位置により、リヴァプールのサラーとマネのWGのプレスを分断させにいったシティ。それによりズレを生じさせて、中盤の3人を釣り出してライン間を空けてギュンドアンがボールを受けて、ボールを展開して前進したり、ワントップのフォーデンが落ちてボールを引き出すシーンもあり、リヴァプールのプレスを上手く交わしていったように感じた。

リヴァプールのビルドアップ

前半のシティのビルドアップvsリヴァプールのビルドアップはシティのビルドアップに軍配が上がったように感じるが、お次はリヴァプールのビルドアップvsシティのプレスの局面を見ていく。

シティもリヴァプール同様に前のめりでプレスに出ていく。シティは基本配置の4-3-3の陣形をベースにプレスをかけにいく。ワントップのフォーデンはアンカーの選手を消しながらCBへ牽制し(アンカー消しプレス)、WGはリヴァプールのSBの選手のコースを切りながらボールへ出ていった(外ぎりプレス)。しかし、このプレスは前半の時間経過とともに、リヴァプールに剥がされていった。

リヴァプールはアンカーのワイナルドゥムの横にチアゴやC・ジョーンズが落ちてボールを引き出す。フリーで受け取れば前を向き前進するが、それにつられてシティの中盤の選手がつり出されれば、ワイドに開くSBへ浮き玉を送り込み、前進していく。シティのWG(マフレズとスターリング)の頭上を超えるボールを使って前進するシーンが増えていき、リヴァプールがシティを押し込む展開へと。

こちらの局面もシティ同様に、相手の前からのプレスを上手く交わしていったリバプールのビルドアップであった。

硬い自陣の守備

Embed from Getty Images

両チームともに、敵陣へのプレスが機能していたとは言えない前半だった。両チームの前からのプレスが機能していないではなく、両チームのビルドアップ力が高いと言った方がいいだろう。両チームの前からのプレスの連動性、強度は非常に高かったのは間違いないが、それを上回っていたビルドップ力が凄かった。

しかし、両チームともに、たとえ前からのプレスが剥がされても簡単にはやられない。帰陣も速く、すぐに強固なブロックを形成し、相手の攻撃を跳ね返す。釈迦に説法だと思うが、このレベルになれば、いろんな振る舞いができ、どんな局面でもハイレベルなプレーが求められる。これが出来ても、これが出来ないではなく、これも出来て、これも出来る。そんなハイレベルなプレーを見せつけられた前半45分でもあった。

戦略は一緒。戦術を変更。

ペップの戦略は1試合通して変わらなかった。しっかりボールを握ってゲームを進めることと、果敢に前からボールを奪いにいくことだった。ボールを握るという面では、結果としてリヴァプールにボール保持率を上回られたが、前からのプレスは後半になると一層際立っていた。シティの前半の前からのプレスは時間経過とともに機能しなくなっていった。そこでハーフタイムを挟んで、ペップは前からのプレスという戦略を変えるのではなく、戦術を変えて修正を加えた。

4-3-3でアンカーを消しながら、WGが外ぎりでプレスにいく戦術を、後半はプレス陣形を4-4-2にし、リヴァプールのDFラインにより圧力がかかるように戦術を変更していった。アンカーのワイナルドゥムはどうするの?ここは2トップのフォーデンとベルナルドが監視する役割。CBへのプレスにいきつつ、アンカーの監視を任されたフォーデン、ベルナルドだが見事な働きを見せた。献身性、しつこさ、強度ともに、小柄な2人だが、リヴァプールのビルドアップを苦しめていった。

フォーデンとベルナルドが横並びに、アンカーをケアしながらリヴァプールのCBへプレスにいくことで、2人でリヴァプールの選手に3人対応している。それによりシティの最終ラインは数的有利を保ちながら、リスクのケアもしながらリヴァプールへより前からプレスをかけにいけるように。

先制点はこの戦術が起点に。この前からのプレスでリヴァプール陣でのボールを回収し、スターリングをサイドで1vs1の局面をつくり、前半PKを奪ったようにサイド深くをえぐっていき、最後はギュンドアンが押し込み先制に成功したシティ。

しかし、前のめりになれば、当然裏があくのがサッカー。右SBアーノルドから前線に長いボールが入る。サラーが抜け出すも、ディアスがカバーリング出来たと思われたが、ディアスが対処を誤りサラーを倒してしまいPKに。これをサラーはきっちり決め切りふりだしに戻る。さぁゲームは面白くなった。そしてミスをしてしまったディアスを助ける戦いの始まり。今までどれだけ、彼に助けられたが。今度はチームメイトがディアスを救うばんだ。

シティの未来

リヴァプールに同点に追いつかれても、シティはペースを落とさなかった。その要因の一つが戦術変更した前からのプレスだ。ペップシティはどうしてもボール保持での振る舞いに目がいきがちだが、この試合のシティはボール非保持の振る舞いが際立っていた。堅守は今シーズンのシティの色となっているように、この試合も最終ラインの安定感はもちろんだが、前からのプレスは後半さらにギアをあげリヴァプールの自由を奪っていった。先制点だけでなく、シティは前からのプレスでリヴァプールのミスを誘発させ、高い位置でボールを奪い、2点、3点目を奪っていった。

何だか昨シーズンのCLvsレアル戦を思い出させるようなプレス。

そしてトドメの4点目を奪ったのがシティの未来、フィル・フォーデン。後半途中から右のWGへポジションを変えてフォーデンは才能の片鱗を示す。今シーズンコンスタントに出場数を重ね、得点に絡む活躍をここまで見せていたフォーデンであったが、この試合でも際立っていた。追加点となる同点ゴールのアシスト。右サイドをドリブルでブッチぎりギュンドアンのゴールをお膳立て。そして衝撃だったのがシティの4点目だった。

Embed from Getty Images

82分右のワイドでボールを受けると、スピードに乗ったカットインから左足を一閃。相手を抜ききる前に左足を振り抜き、リヴァプールのゴールに4点目を叩き込んだフォーデン。久しぶりに鳥肌がたったゴールであった。

数年間くすぶっていた若き主砲がついに覚醒か。シティの未来を明るくするようなそんな輝きを放っていたフィル・フォーデン。

おわり

結果は終わってみればシティが鬼門アンフィールドで4-1で勝利に終わったが、どちらにゲームが転ぶか分からない展開であったことも確かだ。しかし、シティはプレミア王者に、しかも鬼門と言われたアンフィールドで、18年ぶりとなる勝利を挙げられたことは大きな自信と、勢いがチームにもたらされるはずだ。

Embed from Getty Images

そして一番嬉しかったことは、ルベンディアスのミスをチームで帳消しにした勝利を挙げたことだ。何度もチームを救い、チームを蘇らせた彼を今度はチーム全体で救ったことが嬉しかった。

巧さが際立つシティだが、今節はいつも以上によく走り、よくプレーし続けた。ここにデ・ブライネが戻ってきたら前線の人選はどうなるの?そんなペップの頭をいい意味で悩まされる種を妄想しながら、また次節の試合を楽しみにしてます。

やっぱりマンチェスター・シティvsリヴァプールの試合はハイレベルで面白いし、勉強になります。是非90分通して試合を見て欲しいですね!

HIGHLIGHTS | LIVERPOOL 1-4 CITY
プレミアリーグ第23節
リヴァプール 1-4 マンチェスター・シティ
得点者:
49″ギュンドアン 63″サラー 73″ギュンドアン 76″スターリング 81″フォーデン

コメント

タイトルとURLをコピーしました