【タフなチームへと】マンチェスター・シティ×ウェストハム【プレミアリーグ第26節 戦術分析・レビュー】

サッカー戦術分析
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2021年に突入し、プレミアリーグで最も勝ち点を重ねているマンチェスター・シティ。久しぶりのホームで迎えるは、2021年に入りここまで、シティに次いで2番目に多く勝ち点を重ねている、好調モイーズ・ウェストハム!好調そのままにSTOP THE CITY!へ挑んできた。

シティはミッドウィークにボルシアMGとのチャンピオンズリーグがあり中2日での試合。対するウェストハムは1週間の準備期間と休養期間を経ての試合。ウェストハムはこの期間を十分に活かし、シティ対策もバッチリ!そんな状況をピッチで表現し終始シティを苦しめていった。シティはチャンピオンズリーグから7人の選手を入れ替えた。

とうとうあの男が帰ってきた!アグエロが久しぶりの先発出場!頼もしい男が帰ってきた!過密日程の疲れが徐々に出始めてきたシティ。ウェストハムのとったシティ対策にも苦しめられる展開へと。しかし、それでもシティの選手は必死にプレーし、タフな一面を見せる試合にも。上手いチームからタフで強いチームへと。そんな90分でもあった!

それでは簡単ではありますが試合を振り返っていきましょう!

モイーズの対策

シティはウェストハムとの前回対戦でも非常に苦しめられたのは記憶に新しい。今節でもウェストハムに苦しみにに苦しめられる。前回対戦の感触をしっかり忘れずに、さらにバージョンアップしたシティ対策をこの試合見せた。

ウェストハムはボール非保持の配置は5-2-3で待ち受ける。これは前回対戦の時もこの並びでシティのビルドアップを妨げにいき、この戦い方にはモイーズは感触があったのかもしれない。

前回対戦の振り返りはこちらで!

シティはこの日もビルドアップ時は一方のSBがインサイドに絞って後方を可変させるシステムでビルドアップを試みた。その戦術も踏まえてモイーズは対策をしてきた。ジンチェンコがインサイドに入ってボールを受けたいエリアには、始めからフォルナレスが立つことで邪魔をする。アンカーフェルナンジーニョにはリンガードが監視。アントニオはやや左寄りでウォーカーのパスコースを切りながら、ボールへちょっかいを出しにいった。アントニオがやや左寄りの立ち位置をとっていたのはカウンターを撃つための配置でもあったのは後ほど解説。

ウェストハムはたとえシティにファーストプレスが剥がされても、そこからの対策もしっかりなされていた。

最終ラインは5バックを形成し、ゴール前に厚みを作る。5バックはシティのお得意ポケット侵入防止。そしてWGへのドリブル突破、クロス対応をする為。5バック採用はシティのファイナルサードの崩しの対策も踏まえてのことだった。

このモイーズの仕込んだシティ対策はバッチリはまり、シティの攻撃を停滞させていった。シティがボール保持を高めていったが、最後は対策の取られた5バックでシュートまで持ち込ませない。

大外レーンの取り合い

この試合、大外レーンでの駆け引きが非常に面白かった。両チームともに攻撃時には左のレーン侵入からチャンスを作っていった。まずはウェストハム。ウェストハムは前述したようにシティに攻撃を防ぎにいった。シティのボールを前向きにボールを奪い取るとカウンターを仕掛けた。

ウェストハムの大外狙い

カウンターの起点は強靭な肉体を兼ね備えるアントニオだった。アントニオの主戦場はセンターフォワードであるが、この試合では出来るだけ大外のレーンでボールを引き出していた。シティの中央にはディアスとストーンズと高さがある選手がおり、そこでの戦いを避ける狙いもきっとあったはずだ。また主に、アントニオが左サイドのレーンでカウンターに備えて立ち位置をとっていたのは興味深かった。左で彼を起点にタメを作って右へ展開し、仕留めたかった狙いはあったはずだ。シティは攻撃時に左SBジンチェンコがインサイドに入るので、カウンターを受けた際にはシティの左サイドがガラ空きになるシーンも少なくなかった。そのジンチェンコが空けたスペースを活用してカウンターを撃つために、左サイドにアントニオを置いてカウンターを狙ったのかもしれない。

ウェストハムの同点ゴールはこの狙いが詰まっていた。右のシティのスローインを奪って、ガラ空きの右サイドへボールを展開したウェストハムがシティのゴール前へ深くへ侵入。スピードと厚みを持ってシティゴールへ雪崩れ込み同点ゴールを奪い去った。このシーン以外にも、大外のレーンを起点に、アントニオを起点に、リンガードも絡みカウンターを仕掛けたウェストハムはシティに終始脅威を与えていった。

シティの大外レーン狙い

シティはボール保持の時に、左SBジンチェンコがインサイドに入ることで中盤に優位性を作ることを狙ったが、そこは前述した通りモイーズに対策されていた。しかし、そこを逆手にシティが大外のレーンを使ってゴール前へ押し込んで行った。

ジンチェンコ対策としてフォルナレスがインサイドに立ち位置をとることで、そこの対策はできるが、空いてしまうスペースは生まれる。そこが大外のレーンだ。そこにシティの選手も徐々にボールを引き出すようになっていく。8分のシーンはそんな狙いが詰まっていた。ギュンドアンが斜めに落ちて大外でボールを引き出し、アグエロが斜めにポケットへボールを引き出して、ウェストハムの守備網を搔い潜ったシーンだ。ギュンドアン以外にも、デ・ブライネも頻繁にこのエリアでボールを引き出して少しづつ、ウェストハムのプレスのズレを作り出していった。

しかし、ウェストハムの守備は非常に硬く、集中力も高く、中々崩しきれずに、決定機を作れない均衡した展開が続いていった。

困った時のセットプレー!

こういった試合展開では重要になるのがセットプレー!と言わんばかりに、シティがセットプレーから2得点を奪い去った。解説に入った中村憲剛さんもおっしゃっていた通りに、唯一この試合でウェストハムが集中力が切れてしまうのがセットプレーだったのかもしれない。

1点目はセットプレーのこぼれ球を拾い、最後はデ・ブライネのクロスにCBディアスがへデングを叩き込み先制!ルベン・ディアスはシティ加入して初ゴールとなった。そして決勝ゴールとなった2点目もセットプレーのこぼれ球が起点となり、これまた得点を奪ったのはCBの選手。お次はジョン・ストーンズがマフレズのパスを右足でねじ込んだ!

セットプレーからの2発。CB2人が2得点。苦しい展開の中でも、らしさをあまり出せない状況で、こういう形でゴールを奪い勝ち切れたのはシティの今の強さを象徴しているだろう。

おわり

日程的にも、相手的にも非常にタフな試合を制したマンチェスター・シティ。モイーズ・ウェストハムの対策に終始苦しめられ、決してらしいゲーム運びではなく、危ないシーンも少なくなかったがそれでもしっかり勝ち切った強さ。巧さだけでなく、タフな一面も見せたシティ。こういう勝ち方をするとさらにチームは乗りそう!そんな勝ち方でもあり、節目の公式戦20連勝となったシティ。彼らの連勝はどこまで続くのだろうか?いつまでもどこまでも続いて欲しい。

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次節はこれまた難敵、ウルブス。

厳しい、険しい戦いは続く。楽しみも続く。

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