【リーグ奪還へ道のり】マンチェスター・シティ×マンチェスター・ユナイデット【プレミアリーグ第27節 戦術分析・レビュー】

サッカー戦術分析
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今期のプレミアリーグの覇権を争う上で大いにリーグを引っ張っているのがマンチェスターの2チームだ。公式戦21連勝と絶好調の首位マンチェスター・シティと、勝点が伸び悩んでいるお隣リーグ2位のマンチェスター・ユナイデットが激突。世界を熱狂させるマンチェスター・ダービー。しかもプレミア首位攻防戦。天王山というシチュエーションでさらにこの一戦を盛り上げる要因となった。

この試合が始まる前の勝点差は14。シティがホームでユナイデットを撃破すればシティのプレミア奪還が現実味を帯びてくる。2位に付けるユナイデットも残り少なくなった試合数を考えても、ここは何が何でも勝点3が欲しいシチュエーション。そんなユナイデットの熱意が試合を大いに動かしていった。

今期のプレミアリーグの覇権に大いに影響を与えるであろうこのダービーマッチ。前回の試合は何だか静かで、お互い負けない戦いをしているようでとっても退屈だった記憶が蘇るが、今節はまるっきり違う試合に。熱い熱いプライドのぶつかり合いとなった!

それでは簡単ではありますがゲームを振り返っていきましょう!

ユナイデットの意地

試合開始直後、いきなり試合が動く。キックオフはユナイデットボール。そのボールをユナイデットはシティ陣内へ放り込み、ボールの軌道と同じようにユナイデットの前線の選手たちが雪崩れ込んで行った。ボールはスローインとなったが、このワンプレーからユナイデットの意気込みが感じられた。そしてシティのスローインを、ジェズスからボールを取り上げると、一気にシティのゴール前へ。ボールを受けたマルシャルがカットインして強引に切り込むと、ボールを奪われたジェズスが後ろから足をかけてしまい、主審がPKスポットを指差した。

この時マルシャルのドリブルに対してシティの選手たちも複数の選手たちが対応していた。シュートをたとえ撃たれても誰かがシュートブロック出来そうだったし、シュートコースもなかったように感じるだけに、ジャズスのこの対応は少し勿体無かったようにも感じた。しかし、ジェズスの守備意識の高さ。責任感の強さもあらわれているとも捉えられるだろう。決してサボらずに、一番前線の選手だが守備も怠らないジェズスの献身性みたいなものが裏目に出てしまったのかもしれない。

このPKをユナイデットのエース、B・フェルナンデスがキッチリ決め開始2分で先制に成功した。

カンセロ封じ

この日のシティは、ボールを保持すると右SBに入ったカンセロがインサイドに入る、【カンセロロール】を用いてビルドアップを試みた。それに対してユナイデットもしっかり対策を講じてきた。

SBのカンセロがインサイドに入ると誰がマークにつくのか?これがペップの狙いであり、相手チームを悩ませる種となる。この回答をこの試合のユナイデットは持っていた。

インサイドに入るカンセロを主に監視するのがラッシュフォードだった。ラッシュフォードに与えられたタスクはそれだけではなかった。カンセロの開けたスペースに入り、ボールを受ける右CBストーンズへのプレスという仕事も与えられた。ラッシュフォードがストーンズへプレスに出ると、ユナイデットの陣形は左前へ動き出す。カンセロのマークはフレッジに受け渡され、B・フェルナンデスとD・ジェームズがスライドし、シティの中盤の優位性を割いていく。ユナイデットが用意したこのカンセロ封じは見事にハマり、カンセロはいつも以上にボールを受けることが出来なかった。

またユナイデットのカウンターはカンセロサイドを起点にしていたように感じた。この試合右SBに入ったカンセロがボールを保持するとインサイドに入る。裏を返せばボールを奪われた時にはそのカンセロがいたサイドのスペースがあく。真ん中からマルシャルが、左SHのラッシュフォードが、左SBルーク・ショーがそのスペースを活かして前進するシーンも多く見られた。

そしてカンセロは守備、攻撃両面でミスが目立ち始め、65分ウォーカーと交代となった。ユナイデットが見事にカンセロを追いやったと言っていいかもしれない。シティと対戦するチームが頭を悩ませていた、【カンセロロール】の一つの答えを出したのかもしれない。

シティ分断させたゴールキック

ここまでユナイデットのボール非保持での振る舞いを解説してきたが、ボール保持の局面でもユナイデットはシティを操るシーンもあった。それがよく見られたのがGKからのビルドアップのシーンだ。この日ユナイデットのゴールマウスに入ったのはディーン・ヘンダーソン。デヘアは家庭の事情で欠場。その代役となったディーン・ヘンダーソンだが、代役という言葉は失礼な程のハイパフォーマンスをシティ相手に見せつけていた。

ユナイデットはゴールキックになると必ずと言っていいほど、ショートパスを繋いでシティのハイプレスをかいくぐるチャレンジを試みた。GKディーン・ヘンダーソンがゴールキックをセットすると両CBはすぐ脇に立ちボールを受けると、シティのハイプレスに臆することなく、ショートパスを繋いでいく。

ゆっくりじっくり動かし、シティの選手たちを集めていく。この時前線ではB・フェルナンデスが中央からサイドに流れてロドリをサイドへつり出す。そうなるとシティの中盤はがら空きとなり、そのスペースにラッシュフォードやマルシャルが落ちてきてポストプレーをするスペースを作り出す。

そしてそうやって前の準備が整うと後方からフワリと柔らかいボールがシティのぽっかり空いたスペースへボールが落とされる。前線の選手のポストプレーを起点に一気にシティにのハイプレスをひっくり返してユナイデットらしい速くて鋭い攻撃を仕掛ける。

それでも、シティの2CBストーンズやディアスは何回もその楔の浮き玉を防ぐシーンも。流石の対応を見せるシーンもあったが、全部を防ぐことはこのレベルになると難しいことはお分かりだろう。

そしてユナイデットがGKのビルドアップを起点に追加点をあげる。GKディーン・ヘンダーソンがボールをキャッチするとスローイングで左SBルーク・ショーへパスを送り込む。この1本のスローイングで、シティのプレスがひっくり返され、ルーク・ショーが一気にドリブルでシティゴール前へ侵入し、最後は落ち着いて左足を振り抜きリードを2点に広げた。

時間を操る男

シティは試合序盤こそユナイデットのハイプレスに苦しんでいたが、いつものようにゆっくりボールを動かしていく。ユナイデットの鋭く組織化されたプレスに対して、ゆっくりボールを動かせるシティもやはりハイレベル。この日のユナイデットは本当に隙がないプレスではあったが、シティの選手たちもよく観察しながら最善の策を選びながらボールを動かしていった。

左SBジンチェンコやロドリは普段以上によく相手を見切っていたプレーを随所に見せてくれた。そのお陰で彼らからボールを受ける選手たちは前を向けたり、時間とスペースを与えてもらえることに。そしてこの試合一番見えてた男がギュンドアンだった。

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一人だけ未来を見ているかのように。時間を操っているかのように。この日も渋いプレーが満載だった。ユナイデットの強固なブロックの中にもヒョロリと入りシュートを放つ。1本でもミートしていれば得点は入っていたはずだ。

引き出しの使い方

試合序盤にウォーカーとフォーデンが入りチームに新たな活気をもたらした。得点こそ奪えなかったが、決定機をそれぞれ演出するシーンも。今のシティにはこのようにチームに新たな流れをもたらしてくれる選手が多くいる。この試合多くのサッカーファンが先発と予想したであろう、ベルナルドもベンチにはいた。正直彼がいたらまた別の結果が出たかもな…と思わせるほど調子がいい。

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そして試合終盤に訪れたシティの決定機はことごとくゴールを外れていく。そうなると現地のカメラはやっぱりあの男をぬいて映す。そうあの男だ。こういった均衡した、緊張感ある戦いがこれからどんどん多くなってくる中で、やっぱりあの男の存在は不可欠だろう。

必ずあの男はもう1発でっかい花火を打ち上げてくれるはずだ。

DFのアケが練習に復帰しこれで全選手が揃った。さぁ本当の意味でペップの腕の見せ所だ。調子も上向き、コンディションもいい選手が多い中、どんな人選をし、チームを勝利へ導くのか。非常に楽しみだ。

おわり

シティは最後までユナイデットの牙城を崩すことはできなかった。ユナイデットが2-0で勝利し、シティとの勝点を縮めることに成功した。

シティはこの試合で浮き彫りとなった課題は次なる進化へのエネルギーに。

こんな強度高い試合でデ・ブライネがフルで出たことはプラスに捉えるべきかと。試合序盤らしくないプレーが目立ったが、復帰してからまだまだトップフォームには戻っていないと思われる中、こういう高強度の試合を出来たことは彼の感覚を呼び戻してくれるはずだ。

ダービーマッチでしかもホームで負けてしまったシティのショックは小さくないはずだが、切り替えて次の試合に挑まなくてはいけない。リーグ戦は残り10試合といよいよ終盤へと。勝点差を考えて、残りいくつの勝点を重ねればプレミアリーグを奪還できるのか頭をチラつくかもしれない。薄っすらと点灯したマジックをまた一つづつ減らしていく戦いを始めていこう。きっとペップも、シティの選手たちもそんな気持ちだろう。周りの勝敗も気になるが自分たちの結果でリーグの状況をどうにでも出来るのはシティだけ。そんな状況を是非とも楽しんで、堂々と次節からまた戦ってほしい!

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プレミアリーグ奪還への道のりはまだ険しい。

次節はミッドウィークにサウサンプトンとの試合。南野の活躍も期待したい。しかし、申し訳ないがこの試合は静かにしてもらいたいですね!

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