【プレスに込められたチャレンジ】マンチェスター・シティ×サウサンプトン【プレミアリーグ第28節 戦術分析・レビュー】

サッカー戦術分析
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前節のマンチェスター・ダービーの敗戦でシティの公式戦の連勝は21でストップ。ショックを引きづらずにこの試合を切り替えて挑むことは出来たのだろうか?今節の相手は難敵サウサンプトン。前回対戦ではシティが辛くも勝利。試合はなんと壮絶な撃ち合いへと。

それでは簡単ではありますが振り返っていきましょう!

ボール保持率70%

『ボール保持率70%』と言われると、あぁシティがいつものようにボールを握り倒したのね!と思われるサッカーファンが大半だと思うが、その答えはNoだ。

開始15分までにサウサンプトンが記録したボール保持率が約70%だったのだ。シティが前からプレスにいきボールを取り上げようとしても、サウサンプトンにいなされていった。

シティのプレスは4-3-3の陣形で両ワイドのWGが外ぎりをしながらCBへプレスにいく戦術だった。これに対してサウサンプトンはGKを含めて後方の数的優位を活かしてゆっくりじっくりボールを動かし、シティのプレスを集めて集めて中盤を経由、もしくはサイドを経由して前進していった。

GKのマッカーシーからシティのWGの頭を超えるボールが何度もサウサンプトンのSBへ通される。そこを抑えてシティのプレスがGKマッカーシーまで来れば、他のDFラインもしくは、中盤から降りてくる選手がフリーとなり、そのフリーをしっかり見つけてボールをつけてシティのプレスを見事に回避していった。

サウサンプトンはボールを保持すると4-2-2-2の様な形となり、幅はSBがとる。その為中盤から降りたり、サイドに流れる選手が多く、シティの前プレ隊の隙間に上手く顔を出してボールを引き出す。

またサウサンプトンのCBへシティがプレスに遅れてしまえば鋭いフィードがワイドを駆け上がるSBへ供給される。前回対戦でも良くやられた形。CBヤニク・ヴェスターゴーアから鋭いチェンジサイドがシティを脅かすシーンも前半何度か見られた。

シティはボール保持の局面でもサウサンプトンに苦しめられる。

サウサンプトンのプレス

シティはサウサンプトンのプレスにも試合序盤苦しめられた。サウサンプトンは最初から下がることなく、シティに対してビルドアップ同様に前からのプレスで強気な姿勢を見せた。

シティのGKエデルソンがボールを持つとそこまでプレスにいくサウサンプトン。4-4-2の陣形で中央を圧縮しながらシティの前進を妨げにいき、ショートカウンターを狙う。

サウサンプトンの両SHの立ち位置やプレスの仕事ぶりがシティを苦しめていった。シティはボール保持の体勢に入ると、この日左SBに入ったジンチェンコはインサイドに入り偽SBの役割をこなしていた。しかし、そうなると中央を圧縮するサウサンプトンの餌食になってしまったり、GKエデルソンやCBのパスコースがなくなってしまう状況になってしまう。

またSBがワイドでボールを引き出しても、サウサンプトンのSHへプレスを受ける状況に。ウォーカーとジンチェンコが大外でボールを受けたところでサウサンプトンのプレスをくらいボールロストするシーンが試合序盤見られた。

シティの回答

試合序盤サウサンプトンに攻守で苦しめられたシティではあったが、彼らに15分の猶予の時間を与えてしまえばい回答を出してしまう。

一つの回答がSBの立ち位置だ。インサイドに入ってプレーするシーンが多かった左SBジンチェンコはワイドの高い位置どりをする様になる。サウサンプトンの4-4-2のブロックの大外でボールを引き出す。中央を圧縮する相手に対して当然の事ながらワイドには時間とスペースがある。ジンチェンコがワイドに入る事で左のワイドに入ったフォーデンがインサイドに入る。中盤に厚みももたらす。インサイドにフォーデンが、ワイドにはジンチェンコが立つ事で相手に迷いが与えられる。ワイドにいったらフォーデンがフリーになるし、インサイド締めればジンチェンコがフリーになる。それじゃ、SHの選手を下げて5バックにする?でもシティのCBをフリーにさせたらボール運べるし、高精度の配給がされるしどうすればいいかな?という具合にサウサンプトンにプレスのズレが生まれる。

そして前半15分シティが先制点をもぎ取る。起点はフリーのCBルベンからのフィードだった。ルベンがワイドの高い位置どりをしている左SBジンチェンコへ高精度の配給。そのロングボールを受けたジンチェンコがすぐさまクロス。それに合わせたのがワイドからインサイドに入ったフォーデン。クロスを受けたフォーデンはシュートを放つ。GKにシュートは弾かれるも、デ・ブライネがしっかり押し込んで先制!

中央を閉じる相手に対して、ワイドとポジションチェンジを用いたお手本の様な崩しからシティが先制した。

プレスに込められたチャレンジ

先制点を奪ったシティであったが、その後もサウサンプトンのビルドアップを掴み切ることは中々できなかった。前述した通り、WGが外ぎりをしてプレスにでるシティであったが、WGの頭を超えられてプレス回避をされてしまう。また前線の選手が前からプレスにいくので、中盤にスペースを与えてしまうシーンも。前の選手はプレスに出ているが後ろが続かずに意図も簡単にファーストプレスが回避され、前線の選手たちの献身性が無駄になってしまうシーンも。

WGの頭を越されてサウサンプトンのSBの選手にボールが入るシチュエーションをシティが準備していない訳ではなかった。SBの選手が前に出て、それに合わせてCBが横へスライドし、アンカーのフェルナンジーニョが最終ライン入ってカバーをする対応を見せていた。

しかし、どうしてもスライドが間に合わずにサウサンプトンに前進されてしまうシーンも。それぞれ与えられたタスクは明確だったはずだが、それをチームで呼吸を合わせなくてはやっぱり前からのプレスはリスキーで成立しないなと感じた。

サウサンプトンにプレスをひっくり返されてチャンスを作られるシーンも少なくなかったが、それと同時にそのプレスで相手のミスを誘発させて得点も奪った。シティの攻撃は選手同士で同じビジョンを描き、息を合わせて成立し、その歯車が噛み合った時に爆発的な得点力を発揮する。それはシティのプレスでも同じことが言えるはず。

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もう少しラインを下げてじっくりボールを奪いに行けばいいのに、と見ていて思う時もある。確かに今期はある程度ラインを下げる戦い方を見せることもある。それは昨年まではあまり見なかった光景かもしれないが、それが良い悪いは置いておいて出来ることが増えていると言うことだろう。最近のシティのプレスにはそんなチャレンジが込められている様に感じる。前節のユナイデット戦でもプレスをひっくり返されるシーンもあったが、プレスがハマる試合もある。典型的なのはプレミアリーグ第23節のリヴァプール戦だ。

ボールを握っても、ボールを持たれても、どんな状況でも色んな戦い方が出来る様になる為のチャレンジ。そんな思いがシティのプレスには込められている様に感じる。

おわり

サウサンプトンの前のめりの姿勢もあって、試合は壮絶な打ち合いとなった。合計7点の入る乱打戦。試合はシティが5得点の大量得点で勝利したが、前回対戦同様にサウサンプトンに大いに苦しめられた。

前節のマンチェスター・ダービーの敗戦。しかも公式戦21連勝の記録のストップ。とチームにはショックがあったと思うが、それを引きずらない戦いをこの試合出来たことが何よりではないだろうか。シティではベテランのマフレズとデ・ブライネが2得点ずつと頼れる仕事を見せてくれたし、前節スタメンではなかったベルナルドとフォーデンは今節も攻守で非常に走ってくれた。

さぁ、これでリーグ戦は残り9節。ここからまた連勝街道を期待してます!

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