【ペップが仕掛けた罠】プレミアリーグ第35節 マンチェスター・シティ×チェルシー【サッカー戦術分析・レビュー】

サッカー戦術分析
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ペップシティは鬼門であったCLround8を突破し、勢いそのままにround4準決勝で昨年のファイナリストであるパリ・サン=ジェルマンを退け、クラブ史上初のチャンピオンズリーグ決勝進出を決めた。そのファイナリストの相手は同リーグのチェルシーとなった。

決勝進出を決めた両チームだが、UCL準決勝の熱戦が冷めやまないウチに、UCL決勝の前哨戦と言わんばかりに、プレミアリーグ第35節でこの一戦が行われた。両チーム色んな思惑がひしめく中、戦術的に非常におもしろ90分となった。それでは簡単ではありますがゲームを振り返っていきましょう!

【戦術解説レビュー】パリ・サン=ジェルマンvsマンチェスター・シティ CL round4 1stleg

3バックのペップシティ

まず始めに両監督の思惑が伺えたのは選手の起用であった。シティはチャンピオンズリーグから9人の選手を入れ替えてターンオーバー。チェルシーもシティほどではないが選手を入れ替えてきた。

そしてシティは慣れ親しんでいる4バックではなく、3バックを起用してきた。今シーズンはあまり見ない3バック。フォーメーションを見るだけでもペップの思惑が伺える。UCL決勝戦の為に4-3-3を封印したのか。チェルシー対策の為の3バックなのか。実験的な配置だったのか。それとも他の意味合いでこの配置を起用した本当の意味はまだ分からないだろう。その答えはUCL決勝戦で分かるのかもしれない。

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この試合で分かったことはこの戦術が上手く機能した面と、上手く機能しなかった面があったということだ。それではシティのこの3バックが機能した面と、機能不全を起こした面を追って解説していこうと思います!

強気のプレッシング

シティはゲームの入りから前がかりにチェルシーに圧力をかけにいった。チェルシーのビルドアップに対してシティはほぼマンマークで強気にプレッシングをかけにいった。チェルシーは3バック+2CHのカンテとギルモアの5人とGKでビルドアップを試みるが、これに対してシティはほぼマンマーク気味でプレッシングを仕掛けた。

前線のアグエロ、ジェズス、トーレス、スターリングの4人でチェルシーのビルドアップ隊のフィールドプレーヤー5人にプレスを仕掛ける。ロドリはアンカーのポジションを守りつつ、機を見て前に出て数的同数でボールを奪いに行くシーンもあった。基本はアンカーのロドリは中央に立ち一方のサイドに追い込んだときに、チェルシーのボールサイドではない3バックの一角は捨てて4人を捕まえにいき、チェルシーの前進を防ぎことに成功した。

この時チェルシーのWB2枚と前線の3人には、シティの3バック+WB2枚が監視する状況を作っていた。数的同数の状態でシティにとってはリスキーかもしれないが、前からの強気なプレッシングによっていい状態で前にボールを供給させることはなかったシティ。試合中盤までこのシティの強気なプレッシングはチェルシーを苦しめ機能していた。

ペップが仕掛けた罠

シティはビルドアップでもチェルシーを苦しめていった。チェルシーもシティの配置の噛み合わせに合わせて前からプレスを仕掛けたが上手くシティがかわしていった。

シティはビルドアップになると3-5-2の配置になる。アンカーのロドリの脇(ハーフスペース)にスターリングとトーレスが立ち位置をとるのがミソ。

シティは中盤に5人の選手を並べることでチェルシーのプレッシングのズレを生み出すことに成功した。チェルシーは前からのプレッシング時に中盤の選手は4人になる(WBとCH)。そうなるとシティの中盤は5人並ぶのでどうしてもマークがかからないエリア、タイミングが出来てしまう。

そこでミソとなったのが前述したスターリングとトーレスが両サイドのハーフスペースに立つことだった。チェルシーのWBとCHの間に立つことでチェルシーに迷いを与える。スターリングは左のハーフスペースでボールを引き出し、ドリブルで前進するシーンを前半見せた。

そして右のハーフスペースに立つトーレスはスターリングの様にボールを引き出して、直接的にボールを前進するシーンは少なかったが、彼がそこに立つことで間接的にボールを前進させていった。

チェルシーもこのペップが用意した中盤の優位性をいつまでも見ているわけには行かない。中盤で前を向かれては一気にゴールに迫られてしまうからだ。そして一つの対応策として3バックの一枚を中盤に押し出すことだった。スターリングにはアスピリクエタが、トーレスにはリュディガーが前に出てプレスをかけることで、シティの中盤の優位性をかき消しにいった。

しかし、これはペップが仕掛けた罠であった。ここの駆け引きが非常に面白かった。シティはこのチェルシーの3バックが前に出てくることは織り込み済みだった。ハーフスペースに立つスターリングとトーレスに対して、チェルシーの3バックの一角が釣り出すと、待ってましたと言わんばかりにその背後を狙い続けた。

その狙いが見事に実ったのがシティの先制ゴールだった。

掴まえられないチェルシー

チェルシーもプレッシングの形を変えてシティのボールを奪いにトライするが、シティはその都度その都度対応し、チェルシーのプレスをひらりとかわしていった。

ヴェルナーが一列下がってロドリを監視すると、時間の出来た3バックがボールを持ち運んで前進する。また3バックの左に入ったアケはより高い位置に上がり、チェルシーのプレス回避のキーマンになるシーンも見受けられた。

しかし、ゲームの流れはチェルシーに傾いていった。シティの運動量の低下と、シティのビルドアップ時のプレー選択の選び方の誤りにより、流れをチェルシーに渡していった。

機能不全に陥ったシティ

まずは試合経過とともにシティの運動量が落ちることで、強気な前線からのプレッシングがかからなくなっていった。

プレスが和らいだチェルシーは後方から小刻みにボールを動かし、シティの選手たちを集めて一気にそこをひっくり返しゴールへ前進していった。前線の選手のプレッシングも実り、ロドリのボールを奪ってショートカウンターから同点に追いついたチェルシー。

ペップもギュンドアンとフォーデンを投入して和らいだプレッシングをカバーしようとしたが、流れを取り戻すことは出来なかった。

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そしてボール非保持の局面だけでなく、ビルドアップでの局面でも中盤でボールを引っ掛けてチェルシーに攻め込まれるシーンが増えていった。後半に入るとチェルシーの3バックはより勇気を持って前に出た。そうなれば背後!ということが前半出来ていたが後半はそれが出来ないシーンが多かった。背後は空いているのに見えてない!プレーの選択を誤った様なシーンが重なっていた印象だ。

後半もチャンスになるシーンはチェルシーの3バックの背後をつく長いボールからだった。確かに空いているエリアはあった。しかしプレーの選択を誤りボールをロストする。チェルシーの前線の選手の献身的なプレスによって背後のエリアにボールを蹴らせなかったとも言えるだろう。

流れはチェルシーに傾き、後半ロスタイムに逆転ゴール奪ったチェルシーがチャンピオンズリーグ前哨戦を勝ち切った。

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終わり

結果はチェルシーの逆転勝利で終わった前哨戦。しかし、この結果の過程にはいろんな思惑がひしめき、いろんな戦術的な駆け引きがあった本当に面白い90分であった。

両チームともにボールを持っても、ボールを持たれても強さを発揮するシーンがあり、レベルの高さを証明する試合でもあった。チャンピオンズリーグ決勝が一層楽しみになった。

ペップがこの試合採用した配置、戦術にはどんな思惑があったのだろうか。決勝は4バック?それとも3バック?人選はどうするの?また我々サッカーファンを迷宮へと連れ去ってくれた。

この試合のペップが仕掛けた狙いはチャンピオンズリーグ決勝が終わってから分かるのかもしれない…

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