【進化が止まらない現代SB論】〜SBの担う役割・必要スキル〜

サッカー戦術分析
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タイトルの通り、現代サッカーにおいてSB(サイドバック)の進化が止まらない。今シーズン(20/21)もたくさんの試合を観戦する中でSBが進化しているのを実感している。

ここで挙げる『進化』とは、SBの担う役割。求められる過酷で複雑なスキル。試合を左右する重要なポジション。チームの戦術を左右する重要なキーポイント…こういった要素が進化しているのではないかと考えております!

現在移籍の際にかかる移籍金。より莫大なお金がかかるのは前線の選手だろう。ネイマール、ムバッペ、J・フェリックス…思い浮かべる多くは前線の選手ではないだろうか?しかし、これから先、選手を獲得する際に一番お金がかかる選手はSBになるかもしれない…

それほど現代サッカーにおいてSBが担う役割は重要になり続けているということだ。

それではどのようにSBが進化しているのか解説していこうと思います!SBが担ってきた役割や、今までのSB像とは?という面も解説しながら、どのようにSBが進化しているのか見ていきましょう!

【現代SB論】SBの進化が止まらない/サッカー戦術解説

SB(サイドバック)とは

SBとは主に4バック(5バック)のサイドの選手を指すポジションだ。サイドを主戦場に、攻撃参加に守備にアップダウンを繰り返す。高い運動量や高いスピードが求められるポジションである。

今までのSB像とは?

SBとはサイドを主戦場に、攻撃参加に守備にアップダウンを繰り返す。高い運動量や高いスピードが求められるポジションでもある。

という話は今までのSB像なのかもしれない。それに加えて現代サッカーに求められるSBの役割、スキルは多種多様に進化していってる。

サイドでプレーするスキルに加えて、中央でプレーするスキルも加わり、サイドに君臨するサイドアタッカーを相手に守備もこなさなければいけない。本当にSBが担う役割・スキルは膨れ上がっている。

それでは現代サッカーにおいて求められるSB像を攻撃面と守備面に分けて解説していきます!

進化するSB像

SBはチームの攻撃の中心にも、守備の中心にもなる。SBのスキルによってチームに色んな選択を与え、幅を与える効果にも。それでは攻撃面と、守備面で分けて解説していこうと思います!

攻撃面

高精度クロス

SBが起点に決まるゴールは数多くだ。SBが起点に決まるゴールの多くはサイドからのクロスだろう。中央を固めてゴールに鍵をかける。ペナルティエリアの中に10人の選手が入り、時間とスペースを奪いカウンターを狙うチームも少なくない中で、高精度のクロスを持つSBが居るチームはそんな悩みを解決してくれる一つになっている。

どんなに中央に人が居ようが、高精度のクロス、ピンポイントに合うクロスが上がってしまえば相手は無力化。たとえ味方に合わなくても高速クロスを跳ね返すのはそう簡単ではない。DFとGKの間にクロスが上がり、相手のミスを誘発させそこからゴールが生まれることもしばしばだ。

この話で皆さんの頭に浮かぶコンビはリヴァプールのSBだろう。右のアーノルド、左のロバートソン。

All of Trent Alexander-Arnold and Andy Robertson's 23 Premier League assists in 2018/19

両選手ともにシーズン二桁アシストは当たり前と言わんばかりの数のゴールを演出している。

アーリークロス

アーリークロスもSBの攻撃スキルで極めて重要である。相手のゴール前の泣き所である、GKとDFへの間のクロスや、逆サイドポケットへのアーリークロスは一撃必殺技!どんなにゴール前に人が居ようがそこへピンポイントにボールを供給できればゴールの確率は上がっていく。

偽SB

SBの攻撃参加はサイドだけではなくなっている。一昔前まではSBはサイドを駆け上がり、オーバーラップでクロスを上げるのが攻撃の仕事だったが、今はそうではない。インサイドに入ってボールを扱うスキル、ポジショニングが求められるようにもなっている。

SBがインサイドに入るとどんな効果があるの?
①中盤に数的優位をつくれる
②相手の守備の迷いを与える
③サイドにスペースを与える
④チーム全体が可変する

バイエルンのアラバやリヴァプールのアーノルドといったSBもインサイドに入り難なくプレーをこなしてしまう。その中でもマンチェスター・シティのSBはインサイドでハイレベルのパフォーマンスを見せる。左SBが主戦場のジンチェンコは元々は中盤の選手。ウクライナ代表では中盤でプレーしている。そんな選手がシティでは左SBでプレーしているので当然インサイドに入ってハイレベルのパフォーマンスを見せる。そして今シーズン偽SBで忘れてはいけない男がカンセロだろう。

【5分で分かるカンセロロール】〜CANCELO ROLE〜

『カンセロロール』という言葉が流行るほどに。彼の攻撃時でのポジショニング、攻撃スキルはプレミアリーグを圧巻している。SBがインサイドでプレーする!という枠を超えて、正に神出鬼没にボールに顔を出し続ける。そしてボールを貰うと彼の攻撃スキルが遺憾無く発揮され、ゴールを演出しまくった。

高精度クロスに、スルーパス。キレキレのドリブルで相手を翻弄するシーンも何度も目撃することに。従来の進化した偽SBを体現するのが『カンセロロール』なのかもしれない。

フィニッシャーSB

ここまでSBの攻撃面について解説をしてきたが、SBが担う攻撃タスクがいかに重要で多様になっているかお分かり頂いたと思う。その多くがゴールを演出するまでのビルドアップや、アシスト役となっている説明が多かったかもしれないが、現代のSBは自らゴールを奪うフィニッシャーとしての役割も担っている。

SBからのクロスを逆サイドのSBが合わせてゴールを奪うシーン。その持ち前の高精度のキックを活かして強烈なミドルシュートや、直接FKからゴールを奪うシーンも。

試合を決定づける仕事までこなすようになっているSBの進化は止まらない!

プレス回避能力

5レーン理論や、ポジショナルプレーの発達により、後方からビルドアップを行うチームが増えてきた一方で、前線からのプレス(ストーミング)からショートカウンターを仕掛けるチーム数多くあらわれている。そのプレスの標的になるのがSBだ。

中央から一方のサイドを追い込んで「GO!」という合図がかかりボールを奪いにいく。SBにボールが入ったと同時にその合図がかかるのはサッカー観戦する人にはよく見かける光景ではないだろうか。

SBは前からのプレスで第一の標的になりやすい。その為そのプレスをかわす状況判断や、スキルが求められる。また立ち位置を変えることで、相手のプレス陣形をバラバラにさせることもできる。相手がプレスに標的にしてくることを逆手に、インサイドにポジションをとったり、高い位置上がったり、一方のSBは高い位置へ、一方のSBは中に絞って後方を3バックに可変してしてのプレスの基準をバラバラにさせられるポジンションでもあるのだ。

守備面

SBはあくまでバックスの選手なので、もちろん守備での仕事も大切だ。むしろそちらに多くの仕事を与えるチームも少なくないだろう。タレント揃いのサイドアタッカーを1vs1で止めたり、背後に出るロングボールやスルーパスを止めることで、チームの失点率は格段に低下する。SBの守備力はチームの結果に非常に大きな影響を与える。

対人能力

SBがマッチアップする選手の多くはSHやSB、WGといったスピードやテクニックを兼ね揃えている、攻撃力が高い選手との対人勝負。サイドでのマッチアップで相手のタレントを抑えることができればチームの勝率が一気に上がる。

高いスピードに対応する能力(対人能力)や予測、俊敏性。しつこいほどのプレス、粘り強さ。そんな守備要素も重要なスキルだ。

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スペースケア(カウンター対応)

攻撃時にSBはオーバーラップや、偽SBでインサイドに入ることで、自分の持ち場であるSBの位置のスペースを空けることも。その時相手に背後を使われてしまうこともある。その為背後のスペースケアをしながら攻撃参加しなければいけない。

また仲間とのコミュニケーションも必須になる。SBが空けたスペースをケアしてもらうためにCBやボランチの選手をスライドさせたり、今度は反対にCBやボランチが空けたスペースを埋めるためにスライドする動きやポジショニングが求められる。

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SBのスピードを活かしてカウンターを対応のミッションを与えられることも。カウンター対応時に非常に印象的な働きをするのがマンチェスター・シティのカイル・ウォーカーではないだろうか。カウンターの際の危ない!というシーンではだいたい彼が猛スピードで戻り相手の攻撃をシャットアウトしてしまう。そのカウンター対応はゴールを奪うプレーに値し、チームを勝利に導くプレーである。

ヘディング能力

SBに必要な能力?ヘディング能力?と思われる人も多いかもしれないが、現代サッカーのSBにおいてヘディング能力は地味かもしれないが重要な要素である。

センターラインには強靭な男たちが並ぶことが多い。そこで強靭な男同士がぶつかり合うのがサッカーの醍醐味の一つではあるが、あえてそこでの肉弾戦を避けて論理的に競り合いに持ち込むチームがある。ただ闇雲にロングボールを蹴り込むのではなくチームとしては競り合いの勝率を当然上げたいところだ。そこで狙われるのがSB。強靭なCFは強靭なCBと競らずに、サイドに流れて小柄なSBと競り合い、マイボールにする確率をあげるプレーをするチームも多く見られる。

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その代名詞と言えるのがユベントス時代のマリオ・マンジュキッチではないだろうか。マンジュキッチは190cmの長身で主にCFでプレーするがユベントス時代には左のSHとしてプレーすることもあった。長身の彼がSHにいることで中央にいるよりも競り合いで勝率をあげる。SHのマンジュキッチがクロスで競り合うのはSB。何度もマンジュキッチがクロスボールに対して、小柄なSBの頭上からヘディングを叩き込むシーンは印象的だった。

このようにクロスや、ロングボールの競り合いをSBへ目掛けて蹴り込むチームが増えてきている現代サッカーにおいて、SBのヘディング能力、肉弾戦での強さも重要となっているのだ。

可変システムのキーマン

先ほども述べたように、SBはプレッシングの標的になる時が多いがその対策の一つが可変システムだ。ベースポジション(基本配置)からポジションチェンジを行うことで相手を困らせ、プレッシングのズレを生むのが狙いだ。

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その可変システムのキーマンの1つになるのがSBではないだろうか。チームに所属するSBの選手のキャラクターによってチームが採用する可変システムの形は大きく左右される。

マンチェスター・シティのカンセロやジンチェコのように中盤に入ってプレーできるSBがいる場合と、レアルマドリードの左SBのメンディのように最前線のインサイドでプレーする場合ではチームが採用する可変システムは大きく変わる。

とにかく、SBが本来いるべきサイドの後方から離れた位置どりをすると相手は迷い、混乱する。それにより相手のプレスの基準はずらされ、ビルドアップがスムーズにいくシーンも生まれる。

過酷で複雑なSB

ここまでSBに求められるスキルや役割を説明してきたが、ご覧の通りSBというポジションはますます過酷で複雑な仕事をこなさなければいけないポジションへと進化している。

自分のゴールから相手のゴールまでの幅を走り続け、インサイドでプレーすることも求められる。カウンターの際にはトップスピードで駆け上がり前線に厚みをもたらし、または帰陣することで失点を減らしチームの勝利の確率をあげる。

攻撃ではゴールの起点になり、守備ではタレント揃いのツワモノ達を相手に肉弾戦もバチバチと行わなければいけない。

そんなタスクをハイレベルでこなせるSBがいるチームはやはり強い。そんな選手がいるからこそチームの勝率は上がり、チームは強くなる。

初めに述べたように、SBの選手の値打ちが格段に上がる将来もそうは遠くないのかもしれない。そしてまだまだSBは進化し、彼らの仕事量はさらに増え、複雑になっていくだろう。

【現代SB論】SBの進化が止まらない/サッカー戦術解説

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