みなさんは好きなクラブありますか?
昨シーズンヨーロッパで一番強かったクラブは知っていますか?それがプレミアリーグのチェルシーだ。シーズン途中に就任したトゥヘルがチェルシーに変革をもたらし、チャンピオンズリーグの栄冠を手にした。
今シーズンは昨シーズンよりもトゥヘルの戦術も浸透しチームの練り度も上がっている。そして、それに加えてインテルからルカクを獲得し更にパワーアップ。プレミアリーグ開幕から見事に2連勝を飾り、世界のサッカーファンにその強さを見せつけた。本当にチェルシー強いな…と思う中、ヨーロッパ王者の一つの弱点を示すような戦いをあの赤いチームが見せてくれた。
プレミアリーグ第3節
リヴァプールvsチェルシー
1-1のドローで終わった。
リヴァプールがホームのアンフィールドでヨーロッパ王者を迎え撃った。結果は1-1のドローと終わったが、これから戦うチームへ一つのチェルシー対策を講じてくれた。
トゥヘルチェルシー鉄壁5バック
Embed from Getty Imagesトゥヘルが監督に就任してからチェルシーは3バックを採用している。攻撃時(ボールを保持時)にはWBが高い位置に上がり、3-2-5の配置に可変し、5レーンアタックで攻撃を仕掛ける。ここにボールをおさめられるルカクが入ったことでチェルシーの攻撃は更に厄介に。ルカクがいることでどうしても相手は彼に意識が集まりサイドが開く効果も。それが詰まっているのが第2節のアーセナル戦のゴール。
2列目のマウントや、ハヴァーツは確かな技術を備える+裏へのランニングも厭わないから尚更厄介。チームでの設計はもちろん、個人の質で相手を殴れる攻撃は破壊力抜群だ。
守備時(ボールを保持してない時)がトゥヘルチェルシーの真骨頂。トゥヘルが就任してからチェルシーの失点数は激減した。鉄壁の5-2-3ブロックで相手の攻撃を跳ね返し、カウンターアタックという形がこのチームをヨーロッパ王者へのし上げた一つの武器だ。
この鉄壁の5バックを攻略できずに苦しんでいる中、クロップが一つのチェルシー対策を講じてみせた。
上がりすぎないSBの立ち位置
Embed from Getty Imagesチェルシーの鉄壁5-2-3ブロックを崩すキーポイントがSBの立ち位置だった。リヴァプールはDFラインがボールを保持する際に、SBのアーノルドとロバートソンは上がりすぎな立ち位置をとっていた。これがチェルシーのブロックにズレを生じさせたポイント。

リヴァプールの4バックは時には横並びになる。横並びのリヴァプールのSBにボールが入るとチェルシーはどうする?
ここの攻防が実に面白かった。対応するチェルシーに対して、リヴァプールがあの手この手とやり方を変えていく攻防は本当に面白かった。
①3トップの一角がボールへプレス
3トップの脇の選手がプレスに出る。中央、もしくはハーフスペースからサイドへプレスに行く。その位置から外に広がるリヴァプールのSBへプレスの出るとどんな問題が生じるだろうか?プレスが到達するまでに少しの時間がかかり、リヴァプールのSBに時間とスペースを与えてしまう。

また斜めから、もしくは横からのプレスになることも考えられるだろう。リヴァプールのSBが縦にボールを持ち運び、チェルシーの3トップのプレスラインを剥がし前進するシーンも。
リヴァプールのSBをフリーにさせてしまうことは絶対に避けなければいけない。なぜなら世界で一番アシスト数の多いSBコンビだからだ。フリーにさせてしまえばサイドから高精度のキックがゴール前へ供給されてしまう。それを避けるべくチェルシーが次の対策をうつ。
②WBが前に出る
3トップがリヴァプールのSBへプレスに出ることに加えて、機を見てチェルシーWBがプレスに出るシーンも。先ほどと違いWBがリヴァプールのSBへプレスに出ることで縦方向にプレスに出れる。それにより縦への前進を妨げられる。しかし、先ほど同様にリヴァプールのSBはCBと横並びになるので、プレスが到達するまで時間がかかってしまうので、タイミングを誤ってしまうのは禁物だ。
これで、リヴァプールのビルドアップが停滞させられると思いきや、帰ってきたあの男から鋭いボールがサイド深くへ入る。この1本のパスがチェルシーのさらなる迷いへと。

チェルシーのWBが相手のSBまでプレスに出る。もしくはSBを掴めに行くと、今度は幅をとるリヴァプールのWGに時間が与えられる。そこへファン・ダイクから鋭いサイドチェンジが入るシーンが前半12分に。左WGのマネに正確のボールが送り込まれると、チェルシーもフリーにさせまいと3バックの一角がプレスに出るも、マネはワンタッチでインサイドに走り込んだ味方中盤へパスを送り込み、一気にゴール前へ攻め込みチャンスシーンを作った。
Embed from Getty ImagesCBからワイドへこういった鋭いボールが入り、3CBが広げられて対応することはチェルシーからしてみれば避けたい。WBが勢い持ってSBまで出れなくなる。ファン・ダイクだから蹴れる正確なサイドチェンジがチェルシーにさらなる迷いを与えた。
③エリオットとアーノルドの入れ替わり
リヴァプールの右サイドは人を入れ替えて、サイド起点にボールを前進させるシーンも。右SBアーノルドがインサイドに入って3トップを引きつけると、右のインサイドハーフのエリオットがサイドに流れてボールを引き受ける。
Embed from Getty Imagesボールを受けたエリオットはこの試合判断を誤まることがなく素晴らしかった。サイドに流れたエリオットには当然チェルシーのWBがプレスに出るも、何度もワンタッチや、少ないタッチで右の深くで幅をとるサラーへボールを供給させた。
④2CH脇からの攻略
段々とリヴァプールの最終ラインへプレスがかからなくなっていったチェルシー。そこへ畳み掛けるようにリヴァプールがチェルシーの中盤2枚の脇からゴール前への攻略の糸口を見つけていった。右WGのサラーが右のハーフスペースに絞って縦パスを受けたり、左WGマネが逆サイドもボールに関わりマネと同じように右のハーフスペースで縦パスを受ける。

そして同点のキッカケとなるCKを奪ったシーンでは、負傷のフィルミーノと交代で入ったジョタが中盤まで落ちて左のハーフスペースで斜めのボールを受ける。カンテの脇からボールを引き受けて、WBと3CBの間へドリブルでペナルティエリアへ侵入した。そのCKをキッカケにPKを獲得し、サラーの同点弾が生まれたシーン。
Embed from Getty Imagesそれでも完全攻略まではいかず…
チェルシーは右WBジェームズの退場により、後半は1人少ない状態で戦うことに。優位に立ったリヴァプールであったが追加点を奪えずに試合は1-1のドローと終わった。チェルシーを完全攻略まではいかなかった。チェルシーの鉄壁は健在。1人少なくなった状態でも、さらなる集中力とトゥヘルの交代策もマッチし、追加点を許さなかったのは見事だったし、彼らの強さを象徴しているだろう。
Embed from Getty Imagesしかし前半のリヴァプールの攻撃は、鉄壁チェルシーの守備網に綻びを入れたのは間違いない。SBの立ち位置を工夫してチェルシーの守備を迷わせていったのは本当に見事だった。この戦いはこれからチェルシーと戦うチームのひとつのヒントになりそうだ。
動画で振り返ろう!
動画でこのビルドアップを解説していますのでよかったらどうぞ!
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