プレミアリーグ第6節
チェルシー×マンチェスター・シティのビックゲームはまさに世界最高峰の90分だった。ペップシティはトゥヘルチェルシーとの戦い4試合目にして初めての勝利を手にした。
ピッチ上では両指揮官がこの試合の為に準備した戦術や思惑が表現された。中盤の枚数をいつもより増やしたチェルシー。SBを絞らせなかったシティ…そしてシティの激しいプレッシング。
シティはいつも以上にボールを奪われると前から圧力をかけた。いつも以上にトランジション激しく、誰もサボることなく、チェルシーからボールを奪うプレーぶりは非常に印象的だった。
Embed from Getty Imagesそれでは、この頂上決戦で見せたシティの鬼気迫るプレッシングをもう少し詳しく見ていこうと思います!
前へ!前へ!
シティはいつものように、初めから自陣にブロックを形成することはなく、前からプレッシングをかけにいった。しかし、相手は欧州王者トゥヘルチェルシー。いつも以上に強度高く、連動したプレッシングを終始見せた。
自分が抜かれたら一気にチェルシーにやられてしまう!絶対に負けない!昨シーズンのCL決勝で破れた悔しさを晴らす!そんな思いがシティの選手に乗り移り、鬼気迫る猛烈なプレッシングを見せたのかもしれない。
Embed from Getty Imagesチェルシー陣内にボールがあるとシティはほぼマンマークで、ボール、人に強くプレスを仕掛けた。チェルシーはボール保持すると3-5-2に。それに噛み合わせるようにシティは4-2-3-1でプレッシングを仕掛けた。

前へ!前へ!出ることで最終ラインの背後には広大なスペースが生まれる恐怖はあるが、チームで勇気を持って前から出る姿勢を見せた。GKエデルソンもペナルティエリアから出て最終ラインのスペースケアを。2CBに入ったルベン・ディアスとラポルトも勇気を持って、ルカクとヴェルナーとマッチアップした。前線の選手たちも自分に与えられたミッションを必死にこなし、チェルシーの選手たちの自由を奪っていった。
1人でもサボってしまえば、1人でも簡単に剥がされてしまえば一気にチェルシーにチャンスを与えるリスクもあった、この前がかりのマンツーマンプレッシング。非常に難しいこのミッションをシティの選手たちは誰もサボることなく遂行した。
改善されたWGのプレッシング
チェルシーのボールがサイドに運ばれると、シティはボールサイドに多くの人をかけてプレッシングを仕掛けた。この時ボールサイドとは逆サイドのWGも中央までスライドして、チェルシーを逆サイドへ逃さない狙い、意気込みを感じた。左WGのグリーリッシュがチェルシーのアンカーであるジョルジーニョへプレッシングをかけるシーンも。

先日行われたチャンピオンズリーグvsライプツィヒ戦では、WGに入ったグリーリッシュとマフレズがペップに激しい口調で指導を受けるシーンがあった。
グリーリッシュが試合後ペップに守備の局面での指導を受けたとコメント。確かに勝利を手にしたCLライプツィヒ戦だったが、3つのゴールを許し前からのプレッシングを剥がされて何度もゴールに迫られてしまった。その試合の反省を活かしWGのプレッシングも改善され、より厚みのあるプレッシングをチェルシー相手に仕掛けることに成功。
ベルナルドに与えられた守備タスク
この試合もこの男はプロフェッショナルだった。この試合誰よりも献身的にシティの勝利の為に、誰よりも走り続けたベルナルド。ベルナルドにしか出来ない守備タスクをこの試合ペップから託された。
リュディガーのドリブル封じ
この試合右のインサイドハーフに入ったベルナルド。そしてデ・ブライネが左のインサイドハーフに。この2人がスタメンに並んだ時は、右IHにデ・ブライネ、左IHにベルナルドの配置が多いが今節は逆だった。デ・ブライネが右のハーフスペースから相手の背後をとって右足クロスからアシスト!というシーンをサッカーファンならよく見る形だろう。
なぜベルナルドが右のIHに配置されたのか?その一つの理由が、チェルシーの3CBリュディガーのドリブル対策と考察している。
CBリュディガーは自らドリブルで持ち上がるプレーが出来る選手。CBが「運ぶドリブル」が出来るとチームに大きな効果をもたらされる事はこちらでどうぞ!
CBにドリブルでボールを持ち運ばれてしまうと守備にズレが生まれてしまう。その為、デ・ブライネではなく、より守備力のあるベルナルドを右のIHに配置したのかもしれない。
案の定、リュディガーがドリブルでベルナルドが跳ね返されて侵入されるシーンも。しかし、負けじとベルナルドがリュディガーを止めるシーンも。突破されるシーンもあったが、最低限のリュディガーのドリブル突破を防いだベルナルド。チェルシーの前進パターンを一つ潰す事に成功したと言えただろう。
ポストプレーのスペースケア
ベルナルドはボール非保持のシーンになると一列下がって、アンカーのロドリの脇まで落ちて2ボランチを形成した。時には前から出てプレッシングを仕掛けるシーンもあったが、この日の1番の守備役割は、チェルシーの2トップに入る楔のスペースを消す事だった。
ルカクやヴェルナーにボールが入ってしまうと、一気にチェルシーの攻撃にスイッチが入ってしまう。そこでロドリとベルナルドがチェルシーの2トップの楔のパスコースを防ぐ役割も担っていた。

ベルナルドがチェルシーの2トップへの楔の縦パスをスライディングでカットするシーンをこの試合何度か見られた。一度ゴール前でロドリの脇をすり抜けてルカクに縦パスが入り、ラポルトが何とかファールで止めたシーンもあったが、その他のシーンではチェルシーの2トップへの楔のパスを上手く防げていたと言えるだろう。
Embed from Getty Imagesクロス対応
それでもチェルシーにサイドを起点に押し込まれるシーンも。そしてサイドからシティの守るペナルティエリアへクロスが上がるも、そのクロスを何とベルナルドが跳ね返すシーンが!それは1度だけではなく何度か見られたシーンだ。
攻撃では前線のリンクマンに加えて、ドリブルでボールを前進させるシーンも。ボールを持ってなくても自陣のペナから敵陣のペナまで広範囲に動きまくる。守備でも、攻撃でもベルナルドのこの試合で見せたパフォーマンスは正に圧巻だった。やっぱり良い選手だ。
必死に戦った90分
ボールを握っても、ボールを握ってなくても存分にペップシティらしさを発揮したマンチェスター・シティが、難敵トゥヘルチェルシーをとうとう攻略した。
ボールをチェルシーに渡してしまった時のこの日のシティの選手たちの振る舞いは本当に鬼気迫るものがあった。何が何でも勝ち点を奪う。アウェイの地だろうが関係ない。ペップに与えられ戦術、タスクを誰一人疑う事なく、勝利を信じてプレーし続けたシティの選手たち。
Embed from Getty Images本当にハイレベルな
素晴らしい90分を見せてもらった。
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