ペップ・マンチェスター ・シティの新たな試み【ダブル偽SBの狙いと思惑とは?】サッカー戦術・分析

サッカー戦術分析
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革命家

 社会革命の実現を志す人。革命運動に参加し、革命の実現のために画策、実行する人。

引用:コトバンク

サッカー界の革命家と言われて、スッと頭に浮かぶ男はあのスペイン人ではないだろうか。ジョゼップ・グアルディオラという男を皆さんご存知だろう。近年、サッカー界にあらゆる革新を与え続けている男。彼の探究心、チャレンジする姿勢が衰えることを知らない。

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トランジションプレス。圧倒的なポゼッション。5レーンアタック。偽SB。ハーフスペース。ポケット侵入…彼がサッカー界に与えた革新は多大。そして今シーズンまた新たな試みを見せている。

それが「ダブル偽SB」

今まで、ペップが試みた偽SBをアップデートさせた形かもしれない。4バックのSBの選手が、本来SBがいることが多いエリア(最終ラインのサイドのポジション)から、ボール保持をすると、SBがインサイドに絞って中央に数的優位をもたらす。またSBがインサイドに絞ることで後方を3バックへ可変し、更にはチーム全体の配置を変えて、相手のプレッシングの基準点を撹乱させる意図も持っているのが「偽SB」。

ペップがシティに就任してからはその「偽SB」の役割を、デルフやジンチェンコ、そしてカンセロといった選手がつとめてきた。デルフやジンチェンコの2人が得意とするポジションはDFラインよりも前のポジション。カンセロに関しては超攻撃型のSBではあるが3選手に共通している点をあげれば、非常にポジショニングに長け、どのポジションでもプレーできる技術力がある点だろう。

「偽SB」をつとめるSBにはそんな能力が欠かせないからだ。サイドに張ってプレーするだけでなく、インサイドに入ってまるで中盤の選手と同じプレーを求められる。その為中盤の選手であるデルフやジンチェンコがSBにコンバートされたり、高い技術力をもつカンセロの様な選手がペップの元ではSBをつとめることが多いはずだ。

今まではその「偽SB」の役割を一方のSBに求めることが多かったペップだが、今シーズンは両サイドのSBに「偽SB」のプレーを求めることが新たなペップの試みなのだ。それをここでは「ダブル偽SB」と呼ぶことにする。

ペップ・マンチェスター・シティが試みる『ダブル偽SB』とは?

今シーズンからペップシティが試みる「ダブル偽SB」とは何なのか?簡単に言えば、両サイドのSBがボール保持の局面で、インサイドに絞って位置どり、プレーに関わることだ。

ボールを保持するとシティはSBがインサイドに絞り、アンカー脇に両SBが位置どり2-3-2-3の配置に可変しビルドアップを試みる形を見せている。

「ダブル偽SB」の狙いとは?

ペップシティはプレミアリーグ開幕前(プレーシーズン)からこの形に試みていた様だ。プレミアリーグ開幕の狼煙となるコミュニティシールドでのvsレスター戦から、プレミアリーグ第5節のサウサンプトン戦までこの新たな試みにチャレンジしていた。

その数試合で見えた「ダブル偽SB」狙いを紐解いていこと思う。

中央での数的優位

両SBを中央に配置することで、当然中央で数的優位の局面を演出することが出来るシーンが出てくる。数的優位を作り、相手のプレッシャーを剥がして前進するシーンもいくつか見受けられた。

中央で相手のプレスを剥がし、中央からゴールへ向かうことが出来れば複数の選択を持ちながらゴールへ迫ることが出来るはずだ。右へも、左へも。そして中央から中央への突破も選択に入り、よりゴールへの期待値が上がる効果をもたらすことに繋がっている。

相手を中央に集める狙い

両SBがインサイドに入ることで当然相手は、その選手を警戒しマークについていくことも想定されるだろう。そうすると中央に集まるシティの選手と同じ様に相手も中央のエリアに集まってくる。マークについて行かなければ、前述した通り中央で数的優位を作り出され、中央からボールを前進される恐れがあるからだ。

しかし、それだけでは解決できないのが面白い所。全ては革命家ペップ・グアルディオラの思惑通り。そう、この「ダブル偽SB」のもう一つの狙いが「相手を中央に集める」ことなのだ。

相手を中央に集めることで開くエリアが。

こんな具合に、両SBをインサイドに絞らせることで相手のプレッシングを中央に集める。そして開けた大外のレーンを利用してビルドアップをしたり、フィニッシュを演出したりすることも、この「ダブル偽SB」の狙いの一つなのだ。

WGへのサポートの厚み

また幅をとるWGにボールが入りと、インサイドに絞ったボールサイドのSBはボールに関わり、フィニッシュワークへ関与していく。SBがインサイドの位置からボールに関わることで、幅をとるWGの選手によりプレー選択を与える効果にも。インサイドにSBがいることでWGへプレスをかける相手に一つの迷いを与えることにもなり、WGによりプレーしやすい環境を与えることにも繋がる。

大外のWG、インサイドに位置どるインサイドハーフ、そしてインサイドに絞るSBでトライアングルを形成し相手を崩していく。時にはそのトライアングルが旋回し、相手のマークを振り切るコンビネーションを見せフィニッシュワークをする回数を増やしていく。

相手に提示するカードを増やす

先ほども少し述べたが、ペップシティが今シーズン試みている「ダブル偽SB」は、ここまでプレミアリーグ第5節の試合まで。

それ以降のチェルシー戦のプレミアリーグ第6節からチャンピオンズリーグのパリ・サンジェルマン戦、そしてプレミアリーグ第7節のリヴァプール戦のアウェイ3連戦ではこの新たな試みは封印した。

しかし、この新たな試みを封印することで試合を優位に進める要因になった試合もあった。特にプレミアリーグ第6節のチェルシー戦では「ダブル偽SB」を封印することで大きな優位性をもたらしていた様に感じた。

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チェルシー率いるトゥヘル監督は、この試合中盤にカンテ、ジョルジーニョ、コヴァチッチの3選手を並べ前線は2トップだった。この試合を迎えるまでにペップシティの今シーズンの試合をしっかり分析したはずだ。それも踏まえて馴れ親しんだ3-4-2-1の配置ではなく、ペップシティの「ダブル偽SB」を警戒してなのか、いつもよりもチェルシーは中盤の枚数を増やして3-5-2の配置でこの試合に挑んだのだ。

しかしこの試合簡潔にまとめるとペップシティのSBはインサイドに絞らなかったのだ。SBがインサイドに絞らないことで、チェルシーのプレッシングを機能させないことに成功し、ペップシティがトゥヘルチェルシーの4戦目にして初めての勝利を掴み取った。

このチェルシーとの戦いの前の数試合で、ペップシティが「ダブル偽SB」という戦術を見せることで、チェルシーに迷いを与えたとも言えるかもしれない。

「ダブル偽SB」には様々な利点があることは前述した通り。しかしそれ以外に、相手との駆け引きの要素の1枚のカードとしての機能もある様に感じている。相手に提示するカードが増えれば相手が迷う要素が増えることになり、より混乱を招くことに繋がるはずだ。

「SBは両方ともインサイドに絞ってくるのか?」それとも「一方のSBだけ絞ってくるの?」。「え?チェルシー戦みたいにSBが絞ってこないパターンもあるんでしょ」どうすればいいの?そこが定まらないと、自チームのプランニングが定まらないよ…どうするの?

という具合に相手混乱を与えることが、この「ダブル偽SB」という戦術に込められたペップの本当の狙いなのかも?と妄想、考察しております…

おわり。SBの立ち位置一つで。

いかがだったでしょうか?あくまで私自身の考察なので、これが全てではありませんのでご了承ください。

そして皆さんの意見も聞けたら新たな学び、気づきになるのでどしどしご意見待っております。是非!皆さんで意見を交わし合いましょう!

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そしてペップにとっていかにSBが大切なのか。どれほどSBがフットボールにおいて重要なのか毎度教えられている気がします。

たかがSBの立ち位置一つ。
されどSBの立ち位置一つ。

サッカーを観る上でSBの立ち位置に注目することで、監督の狙いや、ゲームの流れが汲みとれることが多い気がします。まぁ、それはSBというポジションに限ったことではないかもしれませんが。

SBの立ち位置に注目してゲームを観ると、新たなサッカーの面白さに気付けるかもしれません。

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