【若者たちを紳士にさせる】いつまでも観ていたいこのメンバーでのこのサッカー CLラウンド8アヤックスvsユベントス

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サッカー戦術分析

CLラウンド8に16年ぶりに帰ってきたヤングスター軍団アヤックス。ラウンド16レアル戦では若さあふれるアグレッシブな闘いでCL3連覇中の絶対王者を見事に粉砕した。臆することなく自分たちのスタイルを貫き通す闘いは全世界のサッカーファンを魅了してくれのではないか。

このラウンド8に勝ち上がったチームの中で一番若いのがアヤックスだ。試合を重ねる事で彼らは紳士になっていく。「経験」という1番の栄養が彼らの強さを倍増させていく。全ては8年前にヨハン・クライフがアヤックスアカデミーに帰ってきたことから始まった。育成年代では「チームが勝つために」というのが基本方針のクラブが多い中で、クライフはチームが勝つことではなく、あくまで個人の成長にフォーカスを当てた指導を。その賜物がヤングスター軍団の快進撃に繋がっている。

アヤックス、復権のカギは個の育成。白井裕之が語る名門の発想転換 | footballista.jp
3月5日のCLラウンド16第2レグで、レアル・マドリー相手に敵地サンティアゴ・ベルナベウで1-4勝利。3連覇中の王者を敗退に追いやり世界に衝撃を与えたアヤックス。長らく欧州最高峰の舞台で結果を残せていなかったオランダの名門を復権へと導いたのが、育成プ
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そして、今回の舞台はそう、
『ヨハン・クライフ・アレア」
若者たちを見出し、育ててくれたクライフ。
迎えるはイタリアの絶対王者ユベントス。ユベントスらしさもアヤックスらしさもあった前半。後半はイタリア王者相手を内容結果ともに圧倒したアヤックス。下克上ではなく、待ち構える。イタリア王者よかかってこいと言わんばかりの自信と確かなスキルでユベントスを翻弄していった。

本当に「このメンバーでこのサッカーをいつまでも観ていた」と思わせてくれた。永久保存したくなる90分だった。

ユベントス 4-3-3
アヤックス 4-2-3-1

両チームのスタメンはこんな感じだった。マッチアップがハッキリする配置を組んできた両チーム。自分はこの相手にアタックすればいいと分かりやすい。そうすると球際激しくぶつかるシーンが自然と多かった。
剥がせないユベントスとするりするりと剥がしちゃうアヤックス。そこにはどんな理由が、戦術が隠されていたのか。

剥がせないユベントス 剥がすアヤックス

両チームともに中央を固めて前線から圧力をかけにいった。ユベントスは特に中盤より前でボールを奪ったショートカウンターを狙う意図はあっただろう。アヤックスも前線からボールを奪いにいった。レアル戦で見せたあの迫力あるプレスとまではいかないが、非常に強度のある連動するプレッシングを仕掛けた。なぜユベントスはプレスを剥がせなかったのか。そしてアヤックスはなぜ剥がせたのか?

剥がせないユベント

ユベントスはアヤックスのプレスを掻い潜る答えを90分出せなかった。ユベントス陣内でボールを奪われる回数が増えアヤックスにゲームを握られる展開へ。ボールを奪っても早いトランジションを剥がせずにすぐさまボールを回収され、中々アヤックスのコートへ入れない。
連動した、強度の高いアヤックのプレスが見事だった。プレスに慌てふためいて自らミスが目立つようになっていった。

それを剥がす技術、関係性もユベントスにはなかった。

そしてもう一つ。高さである。マンジュキッチとロナウドが前線に入る。試合の序盤こそ高さを活かし攻撃を展開していた。しかし試合が経つと自らのミスから前線へのロングボールも減ってしまった。2人へ狙ってボールを入れるがそこにもしっかりCBデリフト中心に空中戦の闘いにも中々勝てずボールを収められなくなっていった。アヤックスに自陣深くまでボールを持たれることで選手の関係性をバラバラにされてしまい、前線の選手がたとえ競り勝ったとしてもセカンドボールを拾えずに再びアヤックスにボールを奪われてしまった。我慢の続く時間帯が長く続いた。

攻撃の指揮者デヨング

アヤックスのビルドアップは攻撃の指揮者デヨングを中心にすんなり行った。2トップでプレスに来ればデヨングが下がり3バックになって、両SBを高い位置にあげて、数的優位、位置的優位を創り出してプレスを剥がす。時には相手の2トップの間に立ちボールを受けて一気に前からのプレスを剥がした。本当に上手い選手。

彼の凄い所は「後出しジャンケン」出来る事だ。相手が動くまで動かない。動きを最後まで観てプレーを選択肢したり、変えることが出来ること。相手が動いた逆に行けば簡単に抜ける。相手が前から来れば奥にパスを入れて一気に局面をひっくり返せることだ。ボールを離すタイミングが絶妙だということだ。デヨングからボールを受けた選手は時間とスペースを与えられたり、その先のプレーの答えまで教えてくれる。

彼の観る力、立ち位置、そして確かな技術のお陰で、アヤックスはいつも中盤を制圧できる。まさに攻撃の指揮者である。この試合でも存分に彼のスキルを発揮してくれた。

飛ばすパス

そしてもう一つ。ユベントスのプレスを毎回綺麗に剥がせるわけでもない。ユベントスも前線からプレスにいき、ボールを蹴らせようと試みる。

そこで活きるのがGKオナナとCBブリントの中盤を飛ばすパスだ。前線のタディッチとファンデベーク目掛けて蹴る。GKは中央ではなく、サイドに目掛けて蹴る事が多い。それは真ん中には強靭なデカイ男たちがいるからだ。(比較的小さい選手が多いサイドにマンジュキッチをあえて置いてそこで高さのビハインドを活かす戦術を採るのがユベントスの戦術の一つでもある。)アヤックスは意図的に中央へ蹴っていた。

ファンデベークはユベントスのピャニッチと競る。ここはファンデベークの方が高さ的に大きな優位があるので競り勝てるシーンが多くなる。高さのミスマッチを活かした。

面白かったのはFWのタディッチだ。競る相手は大きなルガーニ。普通に競ったら勝てないが、ここでタディッチの上手さが光った。飛ぶタイミング、ポジショニングがいいからボールを収める回数が多かった。オナナ、ブリントの蹴るボールの精度も高かったのも大きな理由だろう。

近く、遠くのパスを織り交ぜるアヤックスのビルドアップにユベントスは成すすべが無くなっていった。自然とディフェンスラインは下がっていってしまいアヤックに押し込まれていった。


そんな展開でも1点取っちゃうユベントスは流石。やはりチャンスは中盤からボールを奪ってのショートカウンターからだった。どんなに内容が悪くても一つのチャンスを仕留める決定力。それがユベントスの力。ユベントスらしさだろう。そしてやっぱり決めるのはこの男。ロナウド!

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クリエイティブな攻撃

前半終わってみれば、ユベントスリード。なんてユベントスらしい試合展開。しかしアヤックスもそこから臆する事なく、勇気を持って後半に挑む。後半開始早々に先日セレソンデビューを果たしたネレスの見事なゴールで同点に追いつくとアヤックの勢いは加速していった。

両SBも高い位置を取り攻撃に参加。前線に7人もの人をかけて攻撃を仕掛ける。前線の3人は非常に流動的。ポジションを崩して自由に動く。タディッチのポストプレー、ネレスのドリブル、ジェイフは豪快に左足を振りバンバンシュートを打つ。ファンデベークは裏に抜けたり、ボールから離れ攻撃のバランスを取る。(地味に彼の動きが非常に効いていた)非常にバランスよく関係性を築き攻撃を仕掛けた。

ボールと人がどんどん絡む攻撃を仕掛けるアヤックス。
ボールの離すタイミングが一人一人絶妙。決して持ちすぎずに、早く離しすぎずにパスを出していく。そこにドリブルも絡んでくるからもうお手上げ。

一人一人の確かな技術、連動性、連続性、相手を観る力によってボールを簡単には失わず、意図も簡単にユベントスの鉄壁の守りに攻め込んで行った。

攻撃の起点タディッチ

前線の起点となる彼がいるお陰でアヤックの攻撃は展開できる。ボールを収める力は本当に上手い。ワンタッチ、ポストプレー、スルーパス。彼にボールが入ると魔法が掛かる。この試合でも存在感抜群だった。

大人になっていく若者たち

19歳のキャプテンデリフトを筆頭に非常に若いアヤックス。この試合ではレアル戦で魅せた若さあふれる戦いと非常に落ち着いたプレーを魅せてくれた。若いと、「俺が!俺が!」というプレーが目立ちがちだが、彼らは決してそうならない。チームのコンセプトや規律をしっかり守りながら、若さという武器を存分に発揮する。守りでは労を惜しまず走り、チームの為に身体を張る。取られたら取り返すという強い使命感。

諦めずにボールを追うデヨング。
仲間のミスをみんなでカバーする!

試合を重ねるごとに大人になっていく若者たち。彼らの成長する姿を観ていたい。だから勝ってほしいという気持ちにさせてくれる。

試合の総括

前半はユベントスらしさも見えたが、試合を通してアヤックスが主導権を握っていた。戦術やチームとしてのプランに最近は目がいきがちだった、大事なことを思い出させてくれたアヤックス。それは確かな個の技術だ。それがなければ何も始まらないし、戦術も効果を発揮しない。アヤックスの選手の確かな技術力。止めて、蹴って、運べて、剥がせるといった、ボールを扱えう基準が非常に高いアヤックス。観る価値しかない90分。

そしてこのメンバーがこのサッカーをやるのは今季が最後になるだろう。デヨングはバルサ行きが決まり、他にも移籍が濃厚な選手ばかり。彼らの素晴らしい闘いをこの目に焼き付けなければいけない。その勇姿を少しでも観たいが為に、ここで終わってほしくない。2ndlegがアウェーでの闘い。得点を奪わなければいけない状況のもと、必ず彼らはやってくれるだろう。勇気ある闘いをしてくれるだろう。

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