【指標は後ろ向きか前向きか】プレミアリーグ第20節 アーセナル×マンチェスター・シティ【マンチェスター・シティ戦術・分析】

サッカー戦術分析
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先日Q1と題して13000字を超えるブログを書いたばかりですが、あっという間に2022年始めの試合がやってきた!早速のビックゲーム。師弟対決となったアーセナルvsマンチェスター・シティが元日行われた。

好調の両チームが白熱の90分を演じてくれた。それでは簡単ではありますが試合を振り返っていきましょう!

アーセナルの熱いプレスを支えたCBの縦スライド

試合開始からアーセナルがホームの後押しを背に熱い厚いプレッシングを見せた。今シーズンここまでで一番、マンチェスター・シティのビルドアップを妨げたチームと言っていいだろう。それほど前半のアーセナルのプレッシングで圧力をかけることに成功していた。

シティが後方からボールを握ると、アーセナルはベースの4-2-3-1の配置でプレッシングを襲いかかった。後方のCBは1枚余らせて、ワントップのラカゼット以外の選手には明確なマッチアップが決まっていた。配球役のアンカーロドリをトップ下のウーデゴールがしっかり監視。そして唯一1人でシティの選手を複数みる役割を与えられたのがワントップのラカゼット。

ラカゼットはシティの2CBに加えてGKまでプレスに出るシーンも。一番の役割はプレッシング方向を決めること。しかし一方のCBへマークにいきプレッシングの方向を示すも、その間にもう一方のCBには少しの猶予が与えられる。スライドにはどうしても時間がかかってしまい、その間にシティのCBなら当然「運ぶドリブル」で前進を試みる。

それでは中盤の誰かがもう一方のCBをマークすれば?となれば今度は中盤のどこかの選手がフリーとなってしまう。そこで重要になるのが後方で一枚余っているCBとなるのだ。

前線のプレッシングに合わせてアーセナルのCBであるガブリエルとホワイトは自分の持ち場を離れて縦スライド。前線の前のめりプレッシングで生まれたシティの中盤のフリーマンを、一方のCBが前に出て潰し、より前線のプレッシングを後押しすることに。

アーセナルが奪った先制点も前に出たCBホワイトが、中盤でボールを受けたフリーのデ・ブライネまで縦のスライド。CBホワイトが前向きでボールを奪ってショートカウンター発動。右で奪ったボールは左に展開させて上がった左SBティアニーのもとへ。斜めのクロスを差し込み最後は右SHサカがダイレクトで流し込み先制!

押し込み続けたアーセナルが、この時間帯に得点が欲しい!というタイミングで見事に奪った先制点だった。

アーセナルのビルドアップ

アーセナルはプレッシングだけでなく、ボール保持の局面でもマンチェスター・シティを押し込んだ。ロングボールとライン感がキーワード。

マンチェスター・シティは4-4-2の形で前からプレッシングを仕掛けることが多いが、この試合でもその形を見せた。最近は前線の4枚のプレッシングに合わせてボランチ2枚と後方4枚が連動出来ずに、中盤やライン感がガラ空きとなり、落ちる選手に縦パスを差し込まれ、一気に前進されて失点をするシーンも少なくない。この試合でも前線からライン感に落ちるウーデゴールを捕まえられずに、縦パスを差し込まれて一気にスピードアップを許すシーンも。

そしてもう一つがGKラムズデールの飛距離あるロングボール

GKからワイドでまつサイドの選手目掛けて長いボールが送り込まれる。シティのGKエデルソンに負けず劣らずにキックの飛距離が凄いラムズデール。

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彼から左ワイドのマルティネッリにボールが入り決定機。そんなシーンに加えて狙っていたのが、ロングボールからのセカンドボール回収だ。ここでもシティの前線と後ろの選手の連動不足が目立つことに。シティのDFラインがロングボールを跳ね返すもセカンドボールを回収するシーンは、アーセナルの方が多かった。シティのライン感に落ちるボールを拾うアーセナルが、前向きの状態で幾度もゴールへ迫っていく。

GKエデルソンのCB化

攻守で押し込まれていたマンチェスター・シティだが、いくつかの修正を試みていた。その一つがビルドアップ局面。GKエデルソンがまるでCBになったかのように、ゆっくりゴールマウスを離れてフィールドプレイヤーへと化していった。

アーセナルには相手フィールドプレイヤーが一枚増えるイメージだったはず。GKエデルソンがCBに入ることでルベン・ディアスは右のSBの位置に入り、右SBカンセロはより高い位置へ上がり、右サイドに厚みをもたらした。そこへエデルソンから高精度なフィードで前進するシーンも。前半17分にはCBの位置に入ったエデルソンも加わって後方でボールを動かし、アーセナルのプレスを誘い出しロドリをフリーの前向きに。そのままジェズスのシュートシーンまで持ち込んだこの一連のプレーはお見事だった。

地味だけど効いていた男”ジェズス”

地味だけど効いていた男”ジェズス”

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ジェズスが何度も味方を前向きにさせる潰れ役に徹していた。前線から落ちて縦パスを受けてとってそれを味方に落とす。それにより中盤の選手を前向きにさせた。アーセナルの前プレが強いため、球出し(縦パスを入れる後方の選手たち)に圧力がかかり、ポストをするジェズスに届けられるボールはいつも以上にラフで難しい状態だったが、しっかりキープし中盤の選手たちを前向きにさせていった。

前述したアーセナルの熱いプレスを支えたCBの縦スライド。アーセナルのCBの縦スライドはシティの中盤の選手には効き目を発揮していたが、前線から落ちるジェズスへの縦スライドはあまり発揮できなかった。いつもより窮屈で、いつもより雑であった縦パスをしっかりキープして中盤を前向きにするジェズスのプレーは、地味だけど効いていた。そしてアーセナルのCBガブリエルを退場を誘発させたファールも、GKエデルソンから長いボールを受けたジェズスがきっかけ。

もっと地味かもしれないが、同点ゴールとなったPKも、ジェズスの粘り強いポストプレーから前進し、アーセナルを押し込んでPKまで持ち込んだ。

潰れ役に徹した、地味だけど効いていた男”ジェズス”が少しづつマンチェスター・シティに流れを引き寄せていった。

後ろ向きから前向きになったマンチェスター・シティ

前半リードも奪い優位にゲームを運んだアーセナル。マンチェスター・シティは劣勢となった前半は、攻守で後ろ向きでプレーさせられてしまった。アーセナルのロングボールで後ろ向きでの守備対応。アーセナルの前からのプレッシングで後ろ向きでボールに触れる。ワイドに張るWGはほとんど前向きでボールを渡せない。そんな後ろ向きのプレーをアーセナルの圧力によって演出された。

後ろ向きでプレーしているのか、前向きでプレーしているのかはサッカーの優劣を決める一つの指標になる。後ろ向きでのプレーが続けば苦しく、前向きでプレーする回数が多ければ押し込めている!という見方もできるはずだ。前半アーセナルが圧倒的に前向きでプレーしてたが、後半に入ると徐々にマンチェスター・シティが前向きでプレーする回数を増やしていった。

GKエデルソンのCB化。ジェズスの前向きを作るポスト。そしてPKでの同点弾と退場者は、シティが前向きでプレーできるようになった大きな要因だった。

PKを獲得したシーンはこの試合初めてと言っていいほど、WGマフレズが前向きでプレーできたシーンだった。右サイド深くで前向きになったマフレズはゆっくりボールを運び、アーセナルの左SBを釣り出す。そこへすかさず開いたチャンネル(CBとSBの間のスペース)にベルナルドがランニングしスルーパスを受けると、ドリブルでペナルティエリアへ侵入!最後はジャカに倒されてPK獲得し同点に追いついた。

そこから攻守に前向きになるシーンが増えていったマンチェスター・シティ。ジリジリとアーセナルを押し返していった。

思い出されるリーズ戦

前半リードを許すも後半同点。ガブリエルの退場によって1人多い状態となったマンチェスター・シティ。思い出すと似たような状況が前にもあった。そう昨シーズンのリーズ戦。シティホームで行われたリーズ戦。リーズに前半リードを許すもリーズは1人少ない状態に。後半シティが猛攻を仕掛けて同点に追い付くも、後半ロスタイムにショートカウンターを喰らい失点。ビエルサリーズに勝点3を持ち帰られたそんな苦い思い出が、シティの頭にはうっすらと浮かんだかもしれない。しかしそんな不安を他所にシティの選手たちはやるべき事を遂行していった。

残り30分のゲーム進行

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同点に追いつき、1人多い状態となった残り30分のマンチェスター・シティ。この試合の戦いぶりはシティにとって決して良いものではなかった。そんな内容を考えれば、1人多くなった状態ではあるがこのまま勝点1でも妥当というような雰囲気も感じた。無理せず攻撃を仕掛ける事なく、第一にカウンターを受けない選択をしていたように感じた。

1人少ない状態となったアーセナル。しかも相手はマンチェスター・シティ。守備を固めて勝点1を狙うのも妥当だろう。案の定アーセナルは選手交代を加えて5-3-1のブロックを形成し、ペナルティエリアに多くの人をかけてシティの攻撃に必要な時間とスペースを削っていった。しかしアーセナルは残り30分をどう進めるのか迷いがあったように感じた。

その迷いの要因はホームの大歓声。そして前半に見せた戦いぶりではないかと考察している。前半の戦いぶりを見ればアーセナルの圧倒的優位なゲーム。結果内容ともに王者マンチェスター・シティをここまでで追い込んだチームはなかった。だからこそピッチの選手たちが掴んだ自信と手応えが残り30分のゲーム進行に迷いを与えたのかもしれない。

そしてゲームは劇的な締めくくりを迎えた。

2022年最初のゲームは手に汗握る、マンチェスター・シティにとっては苦しいゲーム。そんな展開の中ペップシティは我慢を重ね流れを引き戻し、最後は劇的なゴールで2022年最初のゲームを勝ち取った。白熱の90分。試合終了のホイッスルと共にピッチに倒れ込んだデ・ブライネ。この試合を物語っている。

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元日から素晴らしい試合を見せてくれた両チームに大きな拍手を送りたい。2022年度もプレミアリーグ、そしてペップシティに大いに楽しませてもらいましょう!

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