プレミアリーグ第22節はプレミアリーグ天王山!首位のマンチェスター・シティと2位のチェルシーの勝ち点差10で迎えた天王山。チェルシーにとっては是が非でも勝点3を持ち帰りたかったはず。
Embed from Getty Imagesしかし、ペップシティがそうさせなかった。この試合に向けて名将トゥヘルも十分な準備と狙いを用意してきたはず。しかしその狙いは試合を経過するとともに、ペップシティによってかき消されていった。的が定まりそうで定まらない。そんな攻防が非常に面白い90分だった。
それでは簡単ではありますが試合を振り返っていきましょう!
的は定まっていなかった?定められなかった?
前回対戦同様に、チェルシーのプレッシングが空転するシーンがこの試合も多かった。ゲーム序盤チェルシーは陣形をコンパクトにし、前のめりでボールを奪うアクションを起こした。しかしシティがじりじりとチェルシーのラインを押し下げた。
ゲーム序盤こそチェルシーのプレッシングの狙いを伺えたが、試合が経過するにつれてその狙いは薄れ、最後にはあったはずの狙いがシティによってかき消されたような試合だった。
Embed from Getty ImagesDFがラインが高いならば背後を使うよ!と言わんばかりに、試合開始直後に後方から長いボール2つでチェルシーの背後を取り一気にゴールへ迫る。それもただ闇雲にチェルシーのDFラインの背後へ蹴り込んだ訳ではない。しっかりチェルシーの構造を壊し、決定打となる形で長いボールを送り込んでいった。
この日のチェルシーのボール非保持の配置は5-2-3ブロック。シティはこの配置のブロックの泣き所をしっかり理解しながら立ち位置をとり、ボールを動かしていった。シティのSBは絞りすぎずに比較的サイドに立つことで、チェルシーの3トップに対して4バックで横幅を使ってボールを動かし、チェルシーの3トップの横スライドを遅らせてSBが前進する狙いを持っていた。

比較的フリーとなったシティのSBに対して、チェルシーのWBが縦のスライドで前に出てくる。チェルシーがそのアクションを起こすや否や、待ってましたと言わんばかりに前に出たチェルシーのWBの背後へ長いボールを送り込みゴールへのスイッチを入れていった。

またIHのデ・ブライネとベルナルドが5-2-3ブロックの泣き所である、中盤2枚のサイドに流れてボールを引き出して前進する形を再現性を持って見せていった。何度も同じ形でやられる訳には行かずに、チェルシーの3トップの脇の選手は段々と立ち位置を下げて中盤のサイドを埋め、5-4-1の様なブロックへ変わるシーンも。

しかし、チェルシーの3トップが下がることで埋められるエリアがある一方、時間とスペースを与えてしまうエリアが出来てしまう。それがシティのCBだ。シティのCBに時間とスペースを与えると?彼らは「運ぶドリブル」を発動させる。CBが「運ぶドリブル」を発動させることでボールを前進させられる。そして相手の中盤の選手を引きつける効果もあり、プレッシングのズレを生じさせて、前線の選手に時間とスペースを与えられるメカニズム。

ゴール前に押し込むと前線の選手は積極的にボールサイドに集まり、ガンガンペナルティエリアの角(ペナルティエリアのポケット)へ侵入していく。同サイドのポケットに加えて、逆サイドのポケットへ目掛けてゴールへ巻いたクロスを送り込んでいった。
チェルシーが新たな一手を打つ度に、シティもすぐさまその打つ手を跳ね返す攻防。終始チェルシーの狙いは定まらない状態となった。
マンチェスター・シティのプレス。キーはサイドの絞り。
マンチェスター・シティはプレッシング局面でもアグレッシブさを大いに発揮した。この日のシティのプレッシング配置は4-2-3-1といつもとは違う形だった。

チェルシーのボールをサイドに誘導すると、全体の配置を一気にボールサイドへ圧縮させプレス。キーとなるのはSBの縦スライドと逆サイドハーフの絞りだった。

逆サイドハーフはチェルシーの中盤の選手を捕まえるほど絞ることを要求されていた。チェルシーの逆サイドの選手がフリーとなるシチュエーションだが、そこまでボールが行き届かないほどのプレッシングを見せた。

先ほども少し触れたが、このプレッシングのキーは逆サイドのサイドハーフの圧縮だった。案の定チェルシーにショートパスで前進されるシーンは、逆サイドのサイドハーフの圧縮が甘かった。デ・ブライネが「絞れよ!」というアクションも見受けられた。
しっかり逆サイドのサイドハーフがボールサイドに圧縮した時には、カンテとコヴァチッチからボールを取り上げてショートカウンターを発動させたシーンもあり、プレッシングでもチェルシーを押し込んでいった。
鬼気迫るデ・ブライネ
シティの選手はこの試合、誰もがサボることなく、攻守にハードワークを欠かせなかった。その中でも特にデ・ブライネは鬼気迫るプレーをチェルシーに見せつけた。この日のデ・ブライネは誰よりも切り替えが早く、泥臭かった。懸命に走り、懸命に相手のボールを体を投げ出して奪う、彼には似合わずユニフォームを汚す役割を誰よりも行なっていた。
そして攻撃では彼らしい決定的なゴールを突き刺し、マンチェスター・シティを勝利へ導いた。
ここにきてコンディションが戻り、トップフォームに近づいている証かもしれない。そして昨シーズンのCL決勝で敗れた悔しさがこの試合の彼の原動力にもなっていたのかもしれない。
昨シーズン散々やられたトゥヘルチェルシーにシーズンダブル達成。ペップシティにとって大きな自信を手に入れた勝利に加えて、首位攻防戦を勝つことで勝ち点差を13に広げることに成功。12連勝で首位固め。さぁどこまでペップシティは連勝を重ねるのか。次節も非常に楽しみだ!
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