ロドリの愛称で呼ばれるロドリゴ・エルナンデ。2019年にアトレティコ・マドリードからやってきた190cmを超える大型アンカー。ペップの下で着実に力を付け、今季2021/22シーズンにおいて彼はハイパフォーマンスをここまで見せている。
Embed from Getty Images入団当初はフェルナンジーニョの壁が高く、出場時間は分割され、重要な試合になるとロドリではなく、フェルナンジーニョが起用される試合もしばしば。そんな中でも彼は辛抱強くペップの求めるプレーに向き合い、着実に力を付けてきた。フェルナンジーニョの背中を追いかけ、追いつき、そして今季のプレーぶりを見ると、偉大なフェルナンジーニョを追い越した!と言っていいハイパフォーマンスを見せているロドリ!
ペップやフェルナンジーニョに多くを学び着実に成長するロドリ。マンチェスター・シティの攻守のハンドルを握っているロドリをこのブログでは解説していこうと思います!
ロドリのプロフィール。超が付く真面目な男!?

スペイン代表ではアンカーのスペシャリストであるブスケツとポジションを争っている。近い将来マンチェスター・シティの中枢からスペイン代表の中枢まで担ってくれるはずだ。
そして、彼は超が付くほどの真面目な男!というエピソードがいくつか挙がってきた。決しておごらずに謙虚に地に足を付けた生活を送っているようだ。そしてまだ25歳という若さにも関わらず、短いサッカー人生の先もしっかり見据えている。

彼は世界トップレベルの環境でサッカーをプレーしている傍、6年間の時間を有して大学で勉強に励んでいたのだ。大学を卒業したのはつい最近。イングランドにやってきてからもスペインを行き来しながら勉強に励み、大学の学位を獲得したようだ。正に「文武両道」。素晴らしく真面目な一面を持つロドリのエピソードでした!
ロドリ💬
— Manchester City (@ManCityJP) November 16, 2021
「文武両道は可能だよ」
プロの選手でありながらも大学を卒業したスペイン代表ロドリ。プロとして活躍しながらスペインの大学に通っていたそうです…#ManCity pic.twitter.com/hBGm6c1Wqz
ロドリのプレースタイル。マンチェスターシティにもたらす循環。
それではここからはロドリのプレースタイルや特徴をご紹介。彼の働きがマンチェスター・シティにどんな循環を与えているのか解説していこう!
ロドリがマンチェスター・シティのハンドルを握りしめる
ペップ・グアルディオラ監督はロドリについてこんなコメントを。
「今、世界のサッカー界で活躍しているホールディングMFの中で、彼以上の存在はいないのではないだろうか。」
かつてロドリがプレーしているポジションでプレーしていたペップが発したこの発言。このコメントだけで、今季のロドリの素晴らしいプレーぶりを汲み取れるはずだ。
昨シーズンまでのロドリと、今季変貌を遂げたロドリにはどんな変化があったのだろうか?その答えのヒントもペップ・グアルディオラの言葉に隠されているのかもしれない。
動きすぎていたロドリが、動かなくなった。これが今季の彼のハイパフォーマンスにつながるヒントのようだ。

動かない三角形を基準に
動きすぎていたロドリが動かなくなったことで、なぜ彼のパフォーマンスは向上され、チームに好循環を与えているのだろうか?
彼が常に中盤の底にいてくれることで、周りの選手の基準が決まり、逃げ道となり、ボールを循環させる効果をもたらす。
ロドリはアンカーポジションから動きすぎないことで、常に中盤の底のエリアにいる事に。ロドリに合わせて両CBもスタートポジションからあまり動きすぎない。その為に後方にはロドリを頂点にした三角形が常に形成される事に。

動かない三角形を基準に、相手の配置やプレッシングに合わせて周りの選手たちの基準が決まってくるのだ。ここでの基準とは立ち位置やプレー選択を意味する。
SBは相手のプレッシングに合わせて、サイドに張ったりロドリの脇でプレーしたり。IHはビルドアップの補助としてロドリの脇に落ちてプレー。そしてサイドに形成される三角形は動かない三角形の外で旋回(動く)して相手の守備の基準を撹乱させていく。

動かない三角形を基準に周りの選手たちが相手の戦術やプレッシングに合わせて変幻自在に立ち位置を変えていく。時には試合の中で微調整をする事で相手の力を無力化させる事にここまでのシーズン成功している。
ロドリが動きすぎない事で生まれた「動かない三角形」がペップシティの攻撃を循環させ、相手を無力化させていく。
動かなくなった要因は?
なぜロドリは動きすぎなくなったのか?それはロドリ自身の意識の変化はもちろんあるが、チーム戦術の変化の影響が大きいようだ。
昨シーズンのマンチェスター・シティはベースの4-3-3システムから、システムを可変して相手を撹乱させ、ビルドアップを安定させ、分厚い攻撃を繰り広げていた。こんな昨季の大枠の話は今季も変わらない。ペップがマンチェスター・シティの監督に就任してから変わっていない話だ。
それでは何が変わったのか?それはベースの4-3-3から可変したシステムに微調整が加えられた事だ。前線に5人の選手を並べて5レーンアタック。ポケットへ侵入。逆サイドポケットへのクロス。こういったところは変わらず練り度をどんどん上げていっているが、後方の配置が微調整されたのが昨季までの大きな違いだ。
昨季は後方を3-2の配置でビルドアップを試み、トランジション局面は後方を3-1の形で待ち受ける形だった。

昨季サッカー界に旋風を巻き起こしたカンセロロール。カンセロがビルドアップ時に中央に入りボールに関わりまくり、もう一方のカイル・ウォーカーが最終ラインで横ズレする事で後方を3バックに形成する3-2の形は昨季多く見られプレミアリーグを圧倒していった。
しかしこの配置ではロドリには動くシチュエーションが求められることも。ロドリが動く事で全体のバランスを保っていた。

昨季のロドリのパフォーマンスも素晴らしく、この戦術をハイレベルで遂行していた。しかし動くシーンが増えればハード面の消耗は増え、ソフト面にも影響を与える。そこに改善を加えたのが今季の後方2-3の形だ。
前線5人の形はそのままという具合に、後方の配置に微調整を加えた。先ほども触れたがロドリを加えた2CBで後方に動かない三角形を形成。これによりロドリは常に中盤の底に君臨するタスクを与えられた。相手の戦術やプレッシングが変わろうがこの三角形は形成される。
しかし、それではマンチェスター・シティの後方2-3配置に対してプレッシングを噛み合わせてくるチームもいるはず。その時はどうするのか?という回答は、動かない三角形と幅をとるWG以外の選手が立ち位置を変えて、相手の戦術を空回りさせていくのだ。

マンチェスター・シティのチーム戦術が後方3-2から後方2-3の形になったことで、ロドリは動かなくなった。前よりも動かなくなったことで、より狭く深いタスクをこなせる事になった。
蓋をする3ボランチ
トランジション局面でも2-3配置の効果が表れロドリの良さもより際立っている。
相手を押し込むとかカウンターに備えて後方には2CBが最終ラインに待ち構える。その前には中央のロドリに加えて、インサイドに絞ったSBを合わせた3ボランチが相手のカウンターに蓋をする。

3ボランチはボールサイドにスライドしながらボールを横へ動かす起点にも。ボールを奪われると奪われた近辺の選手が第一のカウンタープレス。そしてロドリを含めた3ボランチが第二のカウンタープレスに。
この時ロドリはアグレッシブにトランジションプレスを繰り出す。ボールを保持した際は静寂だったロドリが、一気にアグレッシブになる。逆サイドにはSB、そして後方には2CBが待ち受ける為ロドリはよりボールへアタックできる状況に。
ロドリを含めた3ボランチが相手のカウンターアタックを防ぐシーンも増え、昨シーズンよりも最終ラインが五分五分の守備対応をするシーンが激減し、失点数が減少していることは数字でも表れている。
味方を前向きに。味方を気持ちよく。
ロドリはここまでプレミアリーグの中盤の選手の中で1番のパス本数を残している(第22節までに約1600本)。その成功率も90パーセントを超えている。ただパスをするだけでなく確実に味方へ繋いでいることが分かる数字だ。
Embed from Getty Images長短の織り交ぜながらパスを味方に供給する。ボールに触れる回数は多いが、ボールを持っている時間は1回1回短いのも特徴的。周りの選手を前向きにし。周りの選手たちがよりよくプレーできるようにボールを巡回させるロドリ。
味方を前向きに。味方を気持ちよくさせる。
一番危険なエリアに
今季のロドリは両チームにとって危険なエリアに顔を出すプレーも多くなっている。危険なエリアを守り、危険なエリアへ侵入する。
頂上決戦となったプレミアリーグ第7節リヴァプール戦。アウェイの地でロドリは終了間際にスーパークリアで要塞アンフィールドの地で勝点1をもぎとる活躍。
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) October 4, 2021
これぞ最後の砦🛡
チームを救う
スーパーブロック👏
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クロスボールを守備陣が処理しきれず
マン・シティが絶体絶命のピンチに。
無人のゴールをカバーしたのはロドリ👍
🏴プレミアリーグ第7節
🆚リヴァプール×マンチェスター・C
📱#DAZN 見逃し配信中#PremierLeagueDAZN pic.twitter.com/skRs1uTGn3
自チームの一番危険なエリアで体を投げ出すロドリ。相手にとって一番危険なエリアに顔を出すことも今季は増えている。バイタルエリアから豪快なミドルを突き刺したり、長い距離を走り相手ペナルティエリアに侵入し大きな体格を活かして肉弾戦に持ち込む。プレミアリーグ第20節のアーセナル戦に奪った後半ロスタイムのゴールはそんなプレーが詰まっている。
Stoppage time winner 👌⏰#ManCity | @Sure pic.twitter.com/Pf3bWU9eAA
— Manchester City (@ManCity) January 2, 2022
ロドリは決してサボっているわけではない。
動かなくなった事で、ロドリ自身のパフォーマンスは向上され、チームに好循環を与えているのはここまで解説してきた。
最後に、ロドリは動かなくなった!とここまで連呼してきたが、決してロドリがサボるようになったという事でない!ということは強調してお伝えしたいと思う。仕事量の配分を変えたと言った方がいいかもしれない。
今まで4つの仕事を掛け持ちしていた状態から、2つの仕事に削減。そうなれば1つの仕事に対する時間やエネルギーの量を増やすことに。そう言った感じにロドリはボールの循環と、トランジション局面で昨季よりも多くのエネルギーを割くことができ、それが個人のパフォーマンスとチームのパフォーマンスに繋がっているように感じる。
Embed from Getty Imagesここまでハイパフォーマンスを見せているロドリの秘密について、考察も加えながら解説してきましたがいかがだったでしょうか?プレミアリーグ連覇。そして悲願のチャンピオンズリーグ初優勝を成し遂げる為に、この男の活躍はシーズン後半も重要になるはずだ!
今一番アンカーの選手として見るべき男!
ロドリ!
超がつく真面目な25才の好青年はまだまだ学ぶことをやめないはず。マンチェスター・シティの未来を担い、スペイン代表の未来を担う中枢に。彼のプレーに是非!注目してみてほしい!
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