【3バックの表裏】プレミアリーグ第24節 マンチェスター・シティ×ブレントフォード【サッカー戦術分析・マッチレビュー】

サッカー戦術分析
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代表ウィークという名の休養期間を経て、FAカップのフラム戦をしっかり勝利し迎えたプレミアリーグ24節。相手はブレントフォード。ブレントフォードの分厚い壁にじれる事なく攻撃をし続けたマンチェスター・シティ。今季取り組んでいる後方の形とは少し違う配置も面白かった要素。

それでは、簡単ではありますが、試合を振り返っていきましょう!

マンチェスター・シティの3バックビルドアップ

マンチェスター・シティのベース配置はいつものように4-3-3。そこから配置を可変させて、相手のプレッシングを空転させ、後方、中盤に数的優位を作り出すのはお馴染み。

今季は4-3-3から両SBがやや中盤の内側をとったり、最終ラインの大外をとるような後方2-3の形でビルドアップを試みる形が多いが、この試合は少し違った。右SBに入ったのは本職CBであるストーンズ。ビルドアップになると右SBのストーンズが最終ラインのインサイドに入り後方を3バックに。それに合わせて左のSBカンセロは一列前に押し出され、全体の配置を可変させていった。

ブレントフォードは5-3-2の配置でブロックを形成。シティは後方を3バックにすることでブレントフォードの2トップに数的優位を作り出す。中盤にはトップのフォーデンが偽9番の役割で中盤にも数的優位を。その為シティは安定的に後方でボールを動かす状況を作り出す。またブレントフォードの中盤3枚の脇のエリアに生まれるスペースを意識しながらボールを前進させていき、試合序盤からブレントフォードが自陣にブロックを敷いて、シティが押し込む構図が完成していった。

問題はフィニッシュワーク

前述した通りマンチェスター・シティはビルドアップ局面では、比較的楽にボールを運ぶことが出来た。しかし問題はそこから先。撤退しゴール前に5-3-2のブロックを形成したブレントフォードの壁は分厚く、なかなか決定機を作り出すことが出来なかった。

5バックなので幅をとるWGに対してはWBがチャレンジし、3バックがカバーに入り単騎突破を防ぐ。またシティの十八番である大外からのポケット侵入も5バックで消し去っていった。一方のサイドで人を集めてからの逆サイドへのチェンジサイドも、幅をとる選手がブレントフォードのWBにしっかり観察されてスピードアップ出来な状況に。

5バックや自陣に引いたブロックを形成するチームからゴールを奪うことはなかなか難しいミッションではあるが、シティはジリジリとブレントフォードの分厚い壁を叩いていった。

フィニッシュワークの一つの狙いが逆サイドポケットへのファークロスだった。

幅をとるWGでサイドをえぐって、ブレントフォードを押し下げる事で生まれるエリアが。中盤のバイタルエリアにスペースが生まれるのでハーフレーンで待つ選手にマイナスのパスを送り、ハーフレーンでパスを受けた選手が逆サイドのポケット目掛けてファークロス。ハーフレーンからのファークロスのDF対応は非常に難しい(ラインを揃えながら、頭を超えるボール。下がりながらの対応。自分の背後から斜めに走ってくる選手も見なければいけない難しさがある。)。そんな事も見据えてこの形もペップシティの十八番の一つになっている。

ブレントフォードの3バックは体格も良く跳ね返す能力に長けており何度も跳ね返し続ける。しかしシティはブレントフォードの分厚い壁を叩き続けゆっくり亀裂を入れていく。そして右からのマフレズのクロス。一度は跳ね返されるもボールを回収しもう一度攻撃開始。左のスターリングがドリブルで一気にペナへ侵入すると、ブレントフォードがファールをしてしまいPKを獲得。これをきっちりマフレズがGKの逆を突くキックで先制ゴールを奪ったシティ。

欲しかった先制点が前半40分に奪えたシティ。きっかけは大外を起点にしたクロスであり、もう一つは早いトランジションからの二次攻撃だった。早いトランジションプレスもペップシティの特徴だが、この試合は跳ね返されたボールをブレントフォードに回収されてカウンターを撃たれるシーンも少なくなかった。

3バックのデメリット

後方を3バックにする事で、ブレントフォードの5-3-2プレスに対して安定的にビルドアップを成功させたシティ。後方3バックへの可変のメリットがあった一方でデメリットもピッチに現れていた。

その一つがカウンター対応だった。

ブレントフォードを押し込むと、シティはストーンズを含めた3人の選手がで最終ラインに待ち構える。最終ラインには3人も人を配置し、カウンター対応もバッチリ!と思いきやそうはいかないのがサッカーの面白さ。後ろに人を多く配置するだけでカウンターを防げる訳では当然ない。

ブレントフォードに跳ね返されてボールを回収するエリアに人が手薄になる状況に。前向きでボールを回収されれば一気にカウンターに。たとえ前向きにボールを拾われても奪い返せばいい話なのだが、このエリアで待つのはロドリだけ!というシーンが多かった。どんなに今季ロドリが素晴らしいカウンター対応を見せていても、1人で守らなければいけないエリアがこの試合はいつも以上に広かった。どんなに後ろに人が待っていても中盤からスピードアップをした相手に対応するのはなかなか難しい。跳ね返されたボールを回収されてカウンターを受けるシーンが多かったシティ。最後はGKエデルソンのビックセーブや、みんなで戻る!根性で守る!で得点は許さなかったシティが後半1点を加えて静かに勝点3をゲットした。

おわり

後方を3バックにするメリット、デメリットが見られたペップシティ。SBにストーンズが入った人選もあっての戦術だったはず。逆サイドバックのカンセロは解放されたように攻撃参加し、ガンガンシュートを打ちまくっていたのは面白かった。

分厚いブロックに焦れずに何度も叩き続けて奪った先制ゴール。根性とエデルソンのビックセーブで無失点。次節のノリッジ戦を挟んでいよいよチャンピオンズリーグの決勝トーナメントが開幕。次節もしっかり勝利し、悲願のチャンピオンズリーグ優勝に向けて弾みをつけてほしい。

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