【長く険しい一本道】チャンピオンズリーグround16 1stleg スポルティングCP×マンチェスター・シティ【サッカー戦術分析・マッチレビュー】

サッカー戦術分析
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始まったチャンピオンズリーグノックアウトステージ。昨季のあの舞台へ戻り、リベンジを果たすためのペップシティの長く険しい一本道への歩みが始まった。

チェルシーからの教訓

スポルティングはシティにボールを保持されると5-3-2のブロックを形成した。5-3-2ブロックと言えば昨季マンチェスター・シティがチェルシーに散々苦しめられた形。そんな苦しみからもしっかり学びを得たペップシティは、5-3-2ブロックを剥がす攻略法を今季は見出せている。

キーは絞らないSB

5-3-2ブロック攻略のキーとなるのがSBの立ち位置。絞りすぎずに、最終ラインの幅を取ることで、3トップのプレスを横幅に広げる。3トップの互いの距離が空いたところで縦パスを刺す。もしくはプレスが遅れた場合SBが「運ぶドリブル」で前進するのも大切な攻略法。

この試合SBに入ったカンセロとストーンズもライン側でボールを引き出し、スポルティングのIHを釣り出して中盤の選手へリリース。もしくは「運ぶドリブル」で前進するシーンはよく意識されたプレーだった。

この時SBはライン側の幅をとるが、高い位置をとりすぎないのもミソ。高い位置に上がると相手WBに見られてしまうからだ。そこにはシティのWGがしっかり幅を取ることで、相手WBをピン留め。これによりシティのSBは立ち位置を間違わなければフリーの状態となった。

SBが幅を取ることでスポルティングのファーストプレスを無力化させたペップシティ。彼らの次なる目標は中盤2枚の脇エリアへの侵入へ。

フリースペースは中盤2枚の脇

数的優位と幅を使って、後方でボールを動かしながら、前進する為に狙っていたエリアがある。それがスポルティングの5-2-3ブロックの1番手薄となる、中盤2枚の脇のエリアだ。スリートップがビルドアップに食いつくと、ハーフレーンでシティの選手がボールを引き受ける。フォーデンがトップから降りることで中盤に菱形を形成し、4vs2の数的優位を作り出し、後方からのボールを時間とスペースがある状態で受け取ることに成功。

1点目、3点目は左のフリースペースを利用して前進し生まれたゴール。

また一方のサイドにボールがある時スポルティングは全体でスライドして対応。そこを利用して左サイドで集めて中盤のロドリを経由して右のフリースペースで待ち受けるデ・ブライネがボールを引き受けてスピードアップ!これを起点にシティの2点目が生まれた。

ボール保持の局面ではしっかり5-2-3の泣き所を突きながら合計5ゴールを奪ったマンチェスター・シティ。しかしスポルティングのボール保持に対しては効果的な対応ができずに、ペップが激怒するシーンも映す出された。

ハマらないプレス

スポルティングはボールを保持すると5バックを形成していた両ワイドのWBが高い位置に上がり、配置を3-2-5へと可変していく。シティのボール非保持の配置は4バックがベース。その為スポルティングのボール保持の配置(3-2-5)と噛み合わせてみると、シティのプレッシングがハマらないエリアがどうしても出てきてしまう。

シティのこの日のボール日保持の配置は4-2-3-1。スポルティングの高い位置に上がり幅をとるWBや列を降りるIHを中々捕まえられずに、シティのプレッシングが空転しゴールに攻め込まれるシーンも。シティの高い位置でのプレッシングがハマりそうなシーンもあったが、中盤の8番マテウス・ヌネスはボール扱いが巧みで前半デ・ブライネが彼にするりと交わされて、サイドを展開され前進されるシーンは何度も見られた形。

ハマらない配置に対して、マンチェスター・シティは明確な戦術的な回答を出来ないまま後半へ突入した。スポルティングの配置に噛み合わせがハマるように配置を変更するのか?プレッシングのラインを下げるのか?

後半に入るとその答え少しづつ浮き彫りに。徐々にスポルティングが起こした戦術的優位性を、実にペップシティらしい回答で覆い隠していった。

本当の問題はボールロスト

スポルティングの3-2-5ビルドアップに対して、ペップシティの4-2-3-1のプレッシングは確かに噛み合わせの相性は悪いかもしれない。前からプレッシングに行けば幅をとるWBにチャンジサイドのボールが入れば一気に前進されるのは容易に分かる。それでは5バックに変更するのか?プレスラインを下げるのか?いやいや、「ボールを握る時間を増やし、より相手をゴール前に押し込むことがその回答だよ」と言わんばかりに、シティが前半よりもゆっくりと、しっかりとボールを動かしていった。

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攻撃は最大の防御。ボールを持たれればスポルティングの配置で優位性を作られてしまうのならば、ボールを持たれる時間を減らせばいい。守備の時間が増えれば体力も削られ、より押し下げられれば攻撃に出るまでの距離も長くなり、ペップシティはより前で厚みを持ったトランジションプレスも可能となる。

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ペップが前半激怒していたのは、シティの選手たちが無理をして簡単にボールを渡してしまったことだったかもしれない。ボール保持率を高めていったマンチェスター・シティがスポルティングのボール保持の優位性を覆い隠し、後半1点を追加したシティが5-0で1stlegをものにした。

おわり

始まった長く険しい道のりが。後戻りは出来ない、やり直しも出来ないチャンピオンズリーグノックアウトステージ。やっぱりこの大会は一味も二味も違う緊張感が漂っている。

マンチェスター・シティも5点の大差で勝利し、大きなアドバンテージを持ってのホームでの2ndleg。それでもマンチェスター・シティのボール非保持のシーンでは課題の残る試合となった。あくまで覆い隠しただけで、明確な回答は出せずに凌いだだけにすぎないはず。新たな課題に向き合い、より強いチームになってくれるはずだ。

スポルティングもこのままでは終われないはず。2ndlegはどんな戦いになるのか今から楽しみだ。

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