【エヴァートンならでは】プレミアリーグ27節 エヴァートン×マンチェスター・シティ【サッカー戦術分析・マッチレビュー】

サッカー戦術分析
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前節のスパーズ戦で10月ぶりの敗戦をきしてしまったペップ・マンチェスター・シティ。絶好調の2位のリヴァプールとの差はいつの間にか3ポイントに。リヴァプールの好調ぶりを考えると引き分けでも勝点差を縮められてしまう緊張感ある状況になっている。

そして今節マンチェスター・シティは青い要塞グディソンパークに乗り込み、エヴァートンと対戦した。

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ランパード新監督が持ち込んだ対策。そして選手を後押しした青いサポーター達の圧力の前に、終始マンチェスター・シティは苦しめられた90分となった。

それでは簡単ではありますが、試合を振り返っていきましょう!

エヴァートンの講じたペップシティ対策

ランパード新監督がこの試合の為に明確なプランを持ち込んできた。ペップシティが使いたいエリアを封鎖しゴールに鍵をかけることに成功していった。

4-5-1のハーフレーン封鎖

マンチェスター・シティがボールを保持すると、エヴァートンは4-5-1のブロックを自陣に敷いて攻撃を待ち受けた。この守備タスクで重要な役割を担い、素晴らしい働きを示したのがエヴァートンの中盤3人の選手だった。中盤のドゥクレ、アラン、ファンデベークに与えられたタスク量は多くかつ複雑だった。

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左IHのファンデベークはマンチェスター・シティの右ハーフレーン封鎖の役割を担っていた。見る人からはまるでデ・ブライネをマンマークしているようにも見受けられたかもしれないが、マンチェスター・シティは流動的にポジションチェンジをするチーム。もちろんデ・ブライネも右のハーフレーンに立つこともあれば、左サイドへ流れるシーンもある。逆サイドに流れた時はファンデベークはついて行くことはしなかったので、マンチェスター・シティの右のハーフレーンに入ってきた選手達を監視する役割といった方が正しかったと思う。

逆の左のハーフレーンはドゥクレが埋めた。ドゥクレはハーフレーンを埋めながらマンチェスター・シティの左CBへのプレスに出るシーンも。非常に強度が求められるタスクもドゥクレだからこなせた。

そして中盤の中央に立ったアランは中盤を埋める役割。ハーフレーンを上下するドゥクレとファンデベークのスペースをケアするべく横のスライドを怠らない。また機を見て自ら前に出てボールへアタックするシーンも。

この3人のお陰でサイドに配置された選手はよりサイドの仕事に集中することが出来る効果ももたらした。エヴァートンのSBはマンチェスター・シティの幅をとるWGへ。SHはSBのエリアを埋めて、思いっきりプレッシングに行ける状態を、中盤3人働きのお陰で可能となったエヴァートン。

中央のスペースもサイドのスペースを埋め、そしてペップシティの攻撃時の生命線であるハーフレーンの封鎖に成功し、マンチェスター・シティの攻撃を停滞させていった。

ハーフレーンからの前進

守備の面だけでなく、攻撃面でもマンチェスター・シティの特徴を把握しながらボールを前進し、シュートシーンまで持ち込んでいった。

ビルドアップ局面でも鍵となったのがハーフレーンだった。ボールサイドの逆サイドのハーフレーンにファンデベークもしくはドゥクレが落ちてボールを引き出し、マンチェスター・シティの4-4-2ブロックのギャップでボールを引き出し、前進するキーマンとなっていた。

そしてもう一つがトップの選手が落ちる動きだ。

これは前節のトッテナムでも手を焼いたケインのプレーにも似ている。

トップのリシャルリソンが中盤に落ちてボールを引き受ける。アンカーのロドリの捕まらない、2CBが降りてこられない位置を駆け引きしながらボールを受けてポストプレー。もしくはファールを受けてマンチェスター・シティのトランジションプレスを回避する役割を担った。

このランパード監督が用意したペップシティ対策が攻守で功を奏し苦しめられたマンチェスター・シティ。しかし、この戦術を実行する為には相当なエネルギーを消耗する。試合が経つにつれてエヴァートンの陣形は後ろへ後ろへ重くなってしまった。

こじ開けたマンチェスター・シティ

攻守でエヴァートンにストレスを与えられ続けたマンチェスター・シティだったが、焦れずに焦れずに攻め続け、最後は固いエヴァートンの扉をこじ開けてみせた。

エヴァートンの4-5-1ハーフレーン封じには、ボールサイドにトップの選手とIHの2人が関わることで数的優位を作り出す(ファンデベークとドゥクレはそれぞれのハーフレーンを封鎖する役割があるので、レーンを移動するシティの選手がフリーになるメカニズム)。エリアを守るエヴァートンを避けてにとるポジションチェンジ。

そして後半の終盤はサイドを中心にドリブル。外からのポケット侵入。逆サイドへの巻きクロスとペップシティの十八番の攻撃をひたすら繰り返した。だんだんとエヴァートンの選手を圧迫し体と判断を鈍らせていった。

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そして82分。ベルナルドが左サイドから低いクロスを上げると中央で待つフォーデンにボールがこぼれ、それをしっかり押し込み喉から手が出る程欲しかった先制ゴールを奪ったマンチェスター・シティ。試合はこのままおわり、マンチェスター ・シティがしぶとく勝利を持ち帰った!

おわり

ペップシティ対策に一石を投じたような戦い方を見せた、ランパード率いるエヴァートン。しかし、この戦術を出来るチームはエヴァートンだからこそだったかもしれない。

選手のキャラクターを活かした4-5-1ハーフレーン封じ。そしてグディソンパークに集まったサポーターの後押しがなければ成立しない戦術と言っていいほど、この日のエヴァートンのサポーター達の声援、アクションは素晴らしかった。

それでも自分たちのスタイルを貫き、固い扉をこじ開けてマンチェスター・シティ。苦しみながらも手に入れたこの勝点3は非常に大きかった。

次節はマンチェスター・ダービー。緊迫したエキサイティングな試合になること間違いない!楽しみだ!

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