【包囲網の外から】プレミアリーグ第31 バーンリー×マンチェスター・シティ【サッカー戦術分析・マッチレビュー】

サッカー戦術分析
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代表ウィークが明けて約2週間ぶりに選手たちがクラブに帰ってきた。

前節のクリスタル・パレス戦では勝点3を積めずに2位リヴァプールとの勝ち点差がいよいよ1となってしまったマンチェスター・シティ。

これ以上勝点を縮められるわけにはいかないシティ。そしてこの試合の後から始まる今季を左右する2週間の為にも、勝利のパワーが是が非でも欲しかったシティ。

バーンリーの仕掛けた包囲網を冷静に慎重に解剖していったシティ。

それでは簡単ではありますが、試合を振り返っていきましょう!

バーンリーが張った包囲網

バーンリーはシティにボールを保持されると4-5-1のブロックを形成した。この陣形でペップシティの攻撃を今季シャットアウトしたチームが。

それはヴィエラ監督率いるクリスタルパレスだ。彼らは2試合でシティに1点もゴールをわらせなかった。

そんなクリスタルパレスのを参考にしたのかは分からないが、バーンリーは4-5-1でシティの前進を分厚い中盤の網で引っ掛けてカウンターを狙っていた。

しかしシティはその中盤の分厚い網にかかることはなかった。

シティはバーンリーの4-5ブロックの外側からボールを左右に動かし、背後を積極的に狙ってゴールへ迫っていった。

ブロック外からの前進

そんなバーンリーが張った包囲網の外から細心の注意を払いながらボールを前進したシティ。

キーワードは3つ

・対角のサイドチェンジ
・バイタルエリア攻略
・クロスへの入り方

対角のサイドチェンジ

シティのCBはいつも以上に、相手の最終ラインの背後を狙うボールを多用していった。CBがボールを持つとシティの前線の選手たちは背後へのアクションを起こす。

CBから斜めの対角のサイドチェンジをワイドで待ち構えるWG、もしくはSBがボールを受けて一気にバーンリーの包囲網の外からボールを前進させスピードアップ。

バーンリーの一番分厚い包囲網である中盤を飛ばしたサイドチェンジを多用する事でリスクも軽減。縦パスを奪われてショートカウンターを受けるシーンはこの試合ほとんどなかった。バーンリーの包囲網の中、中盤にボールを入れるときは慎重に。ボールを横に揺さぶり、大きなギャップが生まれた時やしっかりサポートがある状態の時だけだった。

いつも以上に慎重に冷静に中盤の中にボールをつけていたシティはこの試合印象的だった。長短正確にボールを蹴り分けられるCBがチームにいると、やはりチームの手札は倍増する。

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サイドで1vs1の局面が出来ると分があるのはシティ。そこから複数の選手が絡みながら最終ラインを突破するのはもちろん、この試合では個人の力でサイドをえぐってクロスを上げてチャンスを演出するシーンも多かった。

特に際立って独断突破を見せたのが右のWGに入ったスターリングだった。やはり彼の縦突破は非常に強力で、そう簡単には止められないスピードの持ち主だ!

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バイタルエリア攻略

ビルドアップ局面だけでなく、フィニッシュ局面でもバーンリーの包囲網の外からの攻略を試みたシティ。

バーンリーはゴール前に押し込まれてもしっかりその包囲網を形成した。ゴール前に大量の人を欠いてゴールを妨げにいったバーンリー。

ただクロスをゴール前に放り込めばバーンリーの包囲網の餌食。ショートパスをつないで剥がすスペースと時間もあまりに少ない状況に。

しかしサッカーはどこかを埋めればどこかにスペースが生まれるスポーツ。バーンリーの包囲網が下がれば開くスペースが。そこがバイタルエリアだった。

ビルドアップ局面同様にフィニッシュ局面も、押し下げたバーンリーの包囲網(4-5ブロック)の外(バイタルエリア)からボールを動かしていったシティ。

それが詰まっていたのが先制ゴールだった。

バーンリーの包囲網外からの前進。包囲網外から包囲網外へのサイドチェンジ。包囲網外のバイタルから包囲網外のポケットへ。最後の仕上げだけ包囲網内へ。

フィニッシュ局面は見事なバイタルエリアからのポケット侵入。実にペップシティらしい崩しからのゴールだった。

クロスへの入り方

それでも最後はバーンリーの包囲網の中に入っていかないとゴールへは結びつかない。そこへの工夫もしっかり準備されていた。クロスに対しての中の選手の入り方に工夫が見られた。

トップのフォーデンが必ずGKとDFの間にランニング。それに合わせてその後ろからマイナスのクロスに合わせるように走る選手が準備されていた。

フォーデンが一番危険なエリアに走りこむ事で生まれるその背後のスペース。さらにファーサイドにも選手が配備されていた3段構えクロス攻撃。

そんなクロスへの準備が実を結んだのが2点目のゴールだった。

今季を決める2週間

バーンリーに勝利したシティがリーグで次節迎えるは天王山。勝点差僅か1でのリヴァプールとの首位攻防戦。負ければ首位が入れ替わり、勝利すれば大きくプレミアリーグ連覇の視界が開ける大一番だ!

しかし、そのプレミアリーグ天王山に全集中出来ないスケジュールとなっているのがまたペップを悩ませる。

ここから始まる2週間のゲームスケジュールだ。

アトレティコ・マドリードとチャンピオンズリーグでの2試合。そしてリヴァプールとのプレミアリーグ天王山、FA杯準決勝での2試合。

ワクワク、エキサイティングなカレンダーとなったが、マンチェスター・シティにとっては今季を左右する非常に大切な2週間になるかもしれない。

タイトル争いでより前に出るのか。最悪全てのタイトルを失う可能性もある非常に大切な2週間が開幕だ!

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