さぁ!マンチェスター・シティの今季を左右すると言っても過言では無い非常に大切な12日間の開幕。全てのタイトルが遠のく可能性がある非常に緊迫した12日間だ。
チャンピオンズリーグ、プレミアリーグ、FA杯
12日間が終わった時にマンチェスター・シティの手の中に幾つのタイトルの可能性が残っているのだろうか…
重要な12日間の幕開けとなったのがチャンピオンズリーグround8 1stleg vsアトレティコ・マドリード。大方のよそ通りのゲームとなったが、それを上回るアトレティコの守備プランに多くのサッカーファンは衝撃を受けたはずだ。
それでは簡単ではありますが、試合を振り返っていきましょう!
シメオネが消し去った45分
シティがボールを保持し、アトレティコが自陣にブロックを敷いてカウンターを仕掛ける構図がすぐさま出来上がった。
アトレティコはボール非保持の陣形は5バックをベースにした5-3-2で最終ラインと中央を圧縮してシティの前進を妨げながら、フェリックスとグリーズマンの2トップを起点としたカウンター。
シティはこのブロックに対して、しっかり泣き所をついていきながらボールを前進させた。
5-3-2ブロックの泣きどころとなるのが中盤3枚の脇のスペース。そのエリアにシティは意図的にボールを左右に振り分けて、アトレティコの中盤のズレが生まれた時に前進していった。

プレスが届かない!そんな瞬間をアトレティコ3CHの脇からシティが徐々に作り上げていった。大外で1vs1の局面が造られたり、大外からのクロスでゴールに迫っていったシティ。
するとアトレティコは前半20分過ぎに新たなブロックを形成していった。
アトレティコの5-5-0ブロック
3CHのスライドが間に合わなくなった事で、そこを起点にシティにジリジリゴールへ迫られてしまったアトレティコ。次なる手をうつ。
2トップのグリーズマンとフェリックスが中盤3枚の脇に落ちてブロックを形成。あまり見たことのない5バックの前に5人の中盤が並ぶ5-5-0ブロックが形成された。

これにより言うまでもなくシティがゴールへ向かう時間とスペースは更になくなっていった。後方のCBが持つスペースはあるがそこから先。中盤、背後にはほとんどスペースがなくなった。
アトレティコの5-5-0ブロックでシティの攻撃は更に停滞。しかしアトレティコ側にもデメリットが生まれた。

重すぎる5-5-0ブロック
更に時間とスペースを奪われたシティは攻めあぐね、ボールを引っ掛けるようになった。アトレティコが前向きでボールを回収する回数が増えていったが、そこからカウンターはうてなかった。
なぜならカウンターの起点になる前線の選手がいない。中盤に並んだ5人が長い距離を走ってカウンターをうたないといけない状況に。
5-5-0ブロックからのカウンターに有するエネルギーはあまりにも多く、走る距離は長い。

確かにシティからボールを奪いアトレティコがカウンターをうつフェーズに入る回数は増えたが迫力は欠け、シティのゴールを脅かすまでボールを前進することは出来なかった。
アトレティコの5-5-0ブロックによりシティの攻撃を停滞させることは出来たが、そこからのカウンターの迫力を欠いたアトレティコ。
攻められないシティ。だけどカウンターは打たれない。守れるようになったアトレティコ。だけどカウンター打てない。
そんな構図が前半20分過ぎから出来上がった。これはアトレティコが望んだ形。シメオネが45分を消し去ったと表現していいだろう。
アトレティコの3つ目の陣形変更
アトレティコによって消し去られた前半45分。後半もそんな流れになるのかと思いきや、シメオネがブロックの形をまた変えて攻勢にでた。
5-5-0のブロックから、後半から5-4-1の陣形に3つ目の陣形変更を加えたアトレティコ。ワントップにグリーズマンが入り、中盤左にフェリックス.右にジョレンテが入り、カウンター時に彼らの快速を活かす狙いも伺えた。

4-5-1になった事でブロックは多少薄くなったが、それと引き換えにカウンターのキレが増した。この効果が後半序盤すぐ出た。
グリーズマンがCKからカウンターでドリブル独走。ジョレンテがCBとSBの間から背後に抜ける(これは惜しくもオフサイド)。前半よりもカウンターを起点にゴールを漂わせたアトレティコだったがやはりシュートまで持ち込めなかった。
この日アトレティコは1本もシュートを放つことが出来なかった。
ペップ納得の交代策
アトレティコのブロックが変わる度に、シティの陣形も微調整を加えていった。このやり合いが非常に戦術的に面白かった。
アトレティコの試合序盤の5-3-2ブロックに対しては、左SBのアケと2CBを加えた後方を3枚にしてビルドアップを安定させた。

後半の5-4-1に対しては後方に3枚もいらないので、SBのカンセロとアケはより攻撃的に。特に右SBのカンセロは高い位置に上がり、右WGのマフレズはインサイドに巻き込まれる展開に。SBがより高い位置に上がる事でチームとして前線の厚みが増えて良いように見えるが、選手個々のキャラクターを踏まえると逆効果になることも。
右WGのマフレズはサイドの幅でボールを受けることで良さを出す選手。そんな選手が右SBカンセロが高い位置に上がり大外に配置され、インサイドに巻き込まれることで本来の彼らしさは薄れていった。

そこでペップはこのポジションによりインサイドでプレー出来る選手を投入し、結果として決定的な働きをした選手を投入した。それがフォーデンだった。
マフレズに変えてフォーデンを投入。よりインサイドでプレーも出来るフォーデンがこの状況で投入されたのは実に理にかなっていただろう。そしてその要求にフォーデンが一発回答を見せた。交代して早々。フォーデンは僅かに生まれたギャップでボールを受けるとすぐ反転。前を向くとデ・ブライネへ実に優しいスルーパス。
アトレティコの強固なブロックと要塞GKオブラクの僅かに生まれたスペースに優しいパスを送り込んだシティの未来。それを冷静に逆サイドへ力強く流し込んだデ・ブライネ。とうとうシティが試合を動かした。
そしてこの一点が決勝点となり、焦ったい試合をホームのシティが先勝した。
Highlights of our first leg victory over the Spanish champions! 📈💥 pic.twitter.com/b61O3xw8tu
— Manchester City (@ManCity) April 7, 2022

影の立役者ナタン・アケ
Embed from Getty Imagesナタン・アケ
この試合アケは左SBとして出場。出場停止のウォーカーによりカンセロが右SBに入った事でその役回りとなったアケ。今季そこまで出場が多いとは言えない状況の中でも、アケは試合に出れば安定したパフォーマンスをここまで見せている。私たちの知らないところでの努力の賜物だろう。
そしてこの試合でも影の立役者となっていた。アトレティコの一つのビルドアップの狙いがGKからの右サイドへのロングフィード。右WBブルサリコ目掛けて放たれる長いボールをアケが完璧に跳ね返し続けた。またアトレティコの左から右へのチェンジサイドもアケは素晴らしい対応をみせ攻撃をシャットアウトし続けた。
ビルドアップ局面でも確実に他の選手たちにボールを届け続け、攻守で影でチームを支え続けた。CBもSBもハイパフォーマンスを見せられるアケの存在がここにきて際立ってきているのは非常にシティとしては心強いはずだ!
おわり
この1点、この1勝は間違いなくマンチェスター・シティには大きい。このアドバンテージを踏まえて2nd legではアトレティコはより攻撃的に出てくるはずだ。この1st legとはまた違う戦いぶりになり、より攻撃的な展開が見られそうだ。
Embed from Getty Imagesそうなればシティがカウンター対応をする回数も増えるが、やっとあの心強い男が帰ってくる。カイル・ウォーカーが3試合の出場停止を終えて帰ってくる。カウンター対応のスペシャリストがこの状況に帰ってくるのは本当に心強い。
2ndlegが本当に楽しみだ!とその前に忘れちゃいけないビックゲーム!プレミアリーグ天王山リヴァプール戦がその前にやってくる!
Coming soon… 👀#ManCity | @okx pic.twitter.com/vgQ66HhY9U
— Manchester City (@ManCity) April 6, 2022

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