【不自然な配置の理由】プレミアリーグ第30節 マンチェスター・シティ×ブライトン【サッカー戦術分析・マッチレビュー】

サッカー戦術分析
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アトレティコ・マドリード→リヴァプール→アトレティコ・マドリード→リヴァプールとの熾烈な4連戦を乗り越えて。無傷とはいかない結果だったが、CL準決勝の切符とプレミアリーグ首位の座は守り抜いたマンチェスター・シティ。

ここからシーズンはいよいよクライマックス!全てが決勝戦!そんな戦いがここから始まる。

FAカップ決勝の切符をリヴァプールに受け渡したショックが残る中迎えた、プレミアリーグ第30節ブライトン戦。ポッター監督率いるブライトンは年を追うごとに非常に手強くなっている相手。

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案の定ポッター監督がこの試合対シティに準備した戦術がペップシティを苦しめていった。

それでは簡単ではありますが、ゲームを振り返っていきましょう!

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リバプールが宿敵マンチェスター・シティを2-3で下し、ファイナルへの切符をつかんだFAカップ準決勝。前半はリバ

ブライトンの不自然な配置

ポッター監督の思惑がブライトンの配置から滲み出ているようだった。最終ラインの配置が特に分からなかった。

最終ライン中央にはルイス・ダンクが。ここは明確。しかしフェルトマンとククレジャのポジションが非常に分かりにくかった。フェルトマンがダンクと2CBに入り、ランプティが右のSBに入ってククレジャは左SBに入るのか?

しかしその予想は見事に外れた。

後方のベースは3バック。左からククレジャ、ダンク、フェルトマンとなった。ランプティは一列前の右のサイドアタッカーを務めることに。3CBの一角にククレジャが入るのは驚いた。しかしここにも明確な狙いが用意されていた。

そして中盤には3人の選手が並べられ、2トップのパスカル・グロスとウェルベックは縦関係となり、実質ブライトンの中盤には4人の選手が中央に配置された。ここにも対シティを意識した狙いが詰まっていた。

0トップ対策と5バックにはならない3バック

このブライトンの配置とシティの配置を噛み合わせてみると、ポッター監督の狙いが少し伺えるはずだ。

人をぶつける所。スペースを守る所。最悪の事態に備えたカバー要員。非常に緻密なブライトンが浮き彫りとなった。シティの0トップの対策もバッチリされていた。

トップの選手が落ちてくる0トップの戦術を想定して中盤に3人の選手を並べたことが分かるはずだ。また2トップを縦関係にしてアンカーロドリのパスコースも消していった。いつも通りシティの中盤そして0トップの選手は流動的にポジションを動かし相手を撹乱させにいく。しかしブライトンは中盤マンツーマン気味にすることでポジションチェンジに撹乱させることなく、どんどんシティの中盤の選手のコースを消していった。

それでも中央にスペースがなければワイドでしょ!とすぐに手を替え品を替えられるのがシティの強みだが、そこへの対応も準備されていた。

大外にボールが入るとまずは3バックの脇の選手が対応する戦術は面白かった。

ボールサイドの3バックの選手がシティのWGへマッチアップを持ち込みにいく。なぜククレジャがこのエリアで起用された?そんな理由が見えてこないだろうか?

相手はマフレズだろうと、ククレジャの対人能力は健在。抜きされることはほとんどなく、しっかりマフレズのスピードをダウンさせてチームの帰陣する時間を作ってみせた。

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また初めからサイドアタッカーの選手は最終ラインに入ることはなかった。5バックになることなく、3バックで対応することで前への厚みを失わない狙いもあった。もちろんサイドアタッカーはプレスバックは怠らなかった。

また3バックがサイドにつり出されてしまえば、ポケットに広大なスペースが生まれるが、そこはマンツーマン気味の中盤がシティのランニングマンを掴まえる約束。

シティも幅を使ってボールを動かしサイドで1vs1の局面を作ることは出来たが、そこから先こういった理由からスピードアップが出来ない。ブライトンに戻り切られてしまい、フィニッシュフェーズで時間とスペースを揉み消され、決定機まで持ち込めなくなっていった。

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運ぶドリブルはやっぱり脅威

フィニッシュフェーズではストレスが溜まる前半となったが、ブライトンをしっかり押し下げることは出来ていた。ブライトンの反撃の狼煙であるカウンターをうたせないことは出来ていた。案の定ブライトンは前半シュート数は0に終わった。

ブライトンを押し下げる上でキーとなっていたのがCBの運ぶドリブルだった。シティの試合をよくみる人にとってはお馴染みのCBのプレーだろう。

【サッカーが上手くなる?】CBの運ぶドリブルが与える効果とは?〜CBに求められる能力の話〜|FBase マガジン #1|inamo
CBの運ぶドリブルって大切だよね! 現代サッカーにおいて、CBに求められる能力は多くなり、CBの役割は進化していっています。 デカくて強い、強靭さが求められるポジション。 それプラスα細かな動きが求められる俊敏性、速いアタッカーに対応するスピードも求められるようになってきました。 そして現代サッカーにおいてC...

やっぱりCBが運べることは重要だなとつくづく思わせてくれる様に、この日は左CBラポルトが機をみてグイグイ運ぶドリブルを見せる。CBの運ぶドリブルがこの日効果的だった理由は、ブライトンの配置にも要因があった。

前述した図で唯一数的不利。シティにとって数的優位で始まるポジションがある。それがCBだった。シティのCBは時間とスペースが与えられれば当然の様に正確なボールを前線に供給。それに加えて前線にスペースがあれば涼しい顔でボールを運んで前進。もしくは相手中盤を引きつけてボールをリリースし、味方をフリーにさせてしまう。

このCBの運ぶドリブルが効果的に発揮され、ブライトンを押し下げることに成功した。

弱点突いたマンチェスター・シティ

前半ブライトンの「人をベースにした守備」にシティは中々決定機を作れなかった。しかし、後半に入ると「人をベースにした守備」の弱点をシティが上手く突いていった。

その弱点とは、1vs1で負けると一気に数的優位を作られること。攻撃から守備のトランジション局面で自分の担当マークを掴まずらい(自分の持ち場を離れて攻め込む為)。

こんな弱点を突いてシティが得点に結びつけた。先制ゴールのシーン。自陣でシティはブライトンのボールを引っ掛けるとデ・ブライネにボールが入るドリブル開始。僅かにフリーとなったデ・ブライネが前を向いてドリブルを開始すると一気に3人を置き去りに。

「人をベースにした守備」の弱点である1vs1で負けはピンチ!をデ・ブライネが個人の力で作り出し、「攻撃から守備でのトランジション局面でマークが掴まえづらい!」を逃さずボールを受けたデ・ブライネ。そんな弱点を突いた見事なカウンターを炸裂させてこの試合の均衡を破った。

おわり

後半の1点を皮切りにシティが怒涛の攻撃。終わってみれば3得点を奪い、難敵ブライトンを押しのけた。初めにも話した様にポッター率いるブライトンは年々強くいいチームになっている。来季もこの戦いは非常に楽しみだ!

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この勝利でプレミアリーグ首位の座は守ったマンチェスター・シティ。プレミアリーグも残すは6試合。全部勝てば文句なしの優勝!自力で優勝を決められるのはマンチェスター・シティのみ!この緊張感をしっかり噛みしめならが残りの試合を全勝してほしい!

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