【選手の特徴活かすプラン変更】プレミアリーグ第34節 マンチェスター・シティ×ワトフォード【サッカー戦術・マッチレビュー】

サッカー戦術分析
この記事は約7分で読めます。

プレミアリーグ首位のマンチェスター・シティ。リヴァプールとの勝点差は僅か1。毎節の結果によって首位陥落のある、非常に緊張感ある中での残り6試合。

そんな中チャンピオンズリーグ準決勝レアル・マドリード戦も控える過密日程。DFラインにはけが人も多く、ペップの頭を悩ませているはず。そんな中でもペップは選手の特徴に合わせたゲームプランを用意するのが素晴らしい。この試合でもそんなゲームプランが詰まっていた。

それでは簡単ではありますが試合を振り返っていきましょう!

FootBall Base マガジン|inamo|note
きっと、もっと、サッカーが面白くなる秘密基地。こっそりサッカーに詳しくなりませんか?サッカー好きが集まる秘密基地。そんなフットボールメディアを目指しています。いつもより深く、マニアックにサッカーに触れてみませんか?試合分析、サッカー現場での出来事、サッカー関係者との対談がメインになります。

いつもと違う中盤編成

それでは両チームのスタメンを見ていこう。

ワトフォードは4-3-3。シティにボールを保持されるとWGは中盤まで下がって、4-5-1の中盤を分厚くしたブロックを形成した。中盤で引っ掛けてカウンター。長いボールを前線に放り込んでセカンドボールを拾って前進するといった狙いをバーンリーは持ってた。

迎えるシティ。中盤の配置がいつもと違った。ペップシティと言えば4-3-3の中盤逆三角形だが、この日は中盤の底にロドリとフェルナンジーニョの2人を並べてデ・ブライネをトップ下に配置した。3トップには燻っている3人。左のSBにはジンチェンコ。CBにはルベン・ディアスが帰ってきた。フォデン、ベルナルドはお休み。

中盤に2人を並べた狙いは?その意図が試合開始から存分に発揮された。この日先発に並んだ選手たちのストロングを引き出す、そんなゲームプランとなっていた。

攻撃大好きSBを活かすため

この日シティの両SBには攻撃大好きな2人がスタメンに入った。ジンチェンコとカンセロは言わずと知れた攻撃的なスキルの持ち主。中盤も、サイドのアタッカーも出来る超攻撃的なSBだ。

そんな2人を活かすために、シティの配置がいつもと違う4-2-3-1の形になっていた様に感じた。

シティのSBはビルドアップ時に重要な役割を担っている。相手の出方に合わせて中盤に入ったり、DFラインサイドいっぱいに広がる事も。しかしこの試合ではそんなビルドアップ局面での関与はあまり求められず、よりフィニッシュ局面での役割を与えられた。

それではビルドアップが手薄になるのでは?という事で中盤の底にフェルナンジーニョとロドリが同時起用されたという事だ。彼らに加えて、2CBの4人でビルドアップを実行する事で、SBの2人はより前へ立ち位置をとることができる様に。

4バックにぶつけた5レーンアタック

攻撃が大好きな2人を活かすためだけに、SBがより高い位置に上がれる構造を作ったわけではない。しっかりワトフォードの弱点を突く狙いもそこにはあった。

ワトフォードの最終ラインは4枚。シティは両SBが高い位置に上がることで、WGが中へ押し出される。これによりシティの前線は5トップ気味になる。ワトフォードの4バックに対して5人の数的優位を作り出し、5レーンアタックを実行した。これによりワトフォードの4バックはシティの誰かにマークに着くと誰かが開いてしまう!そんな難しい状況で守備をしなければいけない状態となった。

そすると自ずと開いてくるエリアは外になる。中央にボールを差し込まれるよりも、中央を締めてボールを外へ誘導しようという具合に。しかし、この日のシティのSBは超攻撃的な2人なのは忘れてないだろうか?

当然の様に少しの時間をこの2人に与えてしまえば、当然の様に持ち前の攻撃的センスでワトフォードを外から壊していった。特にこの日のシティの先制ゴールは両SBがワイドの高い位置で絡んだ狙い通りのゴールだった。

素早い対応の対応

ワトフォードは中盤の選手を誰か下げて5バックにすることはなかった。中盤を越されてシティの5トップにボールが入るとピンチになってしまうのは前述した通り。他の対応策で考えられるのはプレスラインを下げることや配球役を潰すことだろう。ワトフォードがとった行動は後者だった。

ワントップのキング1人ではシティの2CBにプレッシャーは中々かからない。そこで中盤のシソコが縦にスライドして配球役を潰しに出た。しかしシティの対応の対応が早く、ワトフォードの苦しい状況が変わることはなかった。

中盤のロドリが最終ラインにサリー(中盤から最終ラインに落ちる動き)する事で、シソコのプレスが定まらなくなった。シティのCBへプレスに行きたくてもいけない。行かないとCBのラポルトはシソコへ向かってドリブルで向かい、プレスを引きつけてロドリもしくはジンチェンコへボールをリリースする重ね技。

ワトフォードは押し込まれる展開をはね返すことは出来なかった。

【サッカーが上手くなる?】CBの運ぶドリブルが与える効果とは?〜CBに求められる能力の話〜|FBase マガジン #1|inamo
CBの運ぶドリブルって大切だよね! 現代サッカーにおいて、CBに求められる能力は多くなり、CBの役割は進化していっています。 デカくて強い、強靭さが求められるポジション。 それプラスα細かな動きが求められる俊敏性、速いアタッカーに対応するスピードも求められるようになってきました。 そして現代サッカーにおいてC...

弱点を覆い隠した攻撃力

両SBが高い位置上がることでのリスクは当然ある。単純にサイドにスペースが生まれ、ワトフォードはカウンターフェーズでその開いたスペースを使って前進するシーンも。シティのこの日唯一の失点シーンもワトフォードにサイド深くにボールをつけられ、SBが外へつり出されて開いてチャンネル(SBとCBの間のスペース)を見事に使われたシーンだった。

しかしそんな弱点も覆い隠すほどの攻撃力をこの日のシティは見せた。両SBを高い位置にあげるリスクよりもリターンの方が大きかった。

4G1A

この日シティの攻撃の主役は間違いなくジェズスだった。1人が圧倒的にゴールを奪わないのは今のペップシティらしさだが、この日は違った。ジェズスが1人で4G1Aとシティの5ゴール全てに絡む大車輪の活躍を見せた。

Embed from Getty Images

くすぶる男がこういう結果を出すとチームの更なる勢いになるだろう。そして得点こそなかったものの、ジェズスと3トップを形成したスターリングとグリーリッシュも決して悪いプレーぶりではなかった。ボールを引き出し続け、ラインニングを怠らず、仲間に時間とスペースを与えていた。ここに結果が伴えば嬉しいさは倍増だが、与えられたタスクを一生懸命に遂行していたことはそのプレーから伝わった。

Embed from Getty Images

おわり

プレミアリーグも残すところ残り5試合。リヴァプールとの勝点差は変わらず1と負けすら出来ない緊張感ある状況の中での5試合。リヴァプールがつまづくことを祈るのではなく、全部勝つ!強い意識でゲームを戦って欲しい!そんなこと私が言わなくても熱いプレーを残り5試合必ず見せるてくれるはずだ。

そして次の試合はチャンピオンズリーグ準決勝1st leg。こちらもビックゲーム。DFラインに多くの不安がある中、間違いなく世界最高峰の戦いが見れるはず。あの歓喜をもう一度…

Embed from Getty Images

厳しい戦いが続くが、見方を変えればこんな緊張感をシーズン終盤に味わえるチームはごく僅か。是非!のびのびとシティらしさを最後まで貫いて欲しいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました