「【ポケットへゴー!ゴー!】」Jリーグ第14節 湘南ベルマーレvs横浜F・マリノス

サッカー戦術分析

Jリーグ第14節 湘南ベルマーレvs横浜F・マリノス
フライデーナイトリーグにも関わらず、BMWスタジアムにはたくさんの観衆が集まった。チケットは完売御礼。1万4千人が集まり、「神奈川ダービー」を大いに盛り上げた。

湘南は前節ヴィッセル神戸に大敗。今節は連敗をしない為にも勝ちたかった。マリノスは2連勝中、今シーズンはじめての3連勝狙った。2試合連続4得点を奪う攻撃陣は絶好調。しかし今節の相手はベルマーレ。そう簡単に崩れる相手では無い。強度高いプレス、落ちない運動量、折れない心、それが「湘南スタイル」。そんな相手をマリノスらしく崩し勝点3が奪えるのか?マリノススタイルの真価が問われる絶好の相手とも言える一戦となった。

どちらもラインを決して下げずに前へ前へ。一歩も引かない両チーム。お互い共通して言えるのは本当に良く走る両チーム。球際も激しくプライドをかけた一戦となった。

この試合はマリノスのゴール前の崩しを中心に紐解いていく。ゴール前の『ポケット』侵入がキーワードだったり、テーマになっているんじゃないのかなって。後ほどいっぱい書いてあるのでお楽しみに!

それではスタメンから。

マリノスは前節とメンバー、配置は一緒。扇原と喜田が横並びの2ボランチ。マルコスが1.5でエジカルとの縦関係。ティーラトンと和田の両SBも試合を重ねるごとにフィットしてきた。両ワイドの遠藤、仲川も調子は良さげ。

ベルマーレは3-4-2-1のような配置。前からボールを奪いに行くスタイルは相変わらず。自陣に押し込まれた時は、WBが下がり5バックになり、2シャドーの山口と武富がサイドハーフの位置に入り5-4-1の様な形に変わる可変システムを採ってきた。

まずは簡単ではありますが、ベルマーレの戦い方から。

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ベルマーレの狙い

守り

前線からのハイプレッシャーでマリノスのボールを奪うのが最初の狙い。それが出来なかった場合は自陣に5-4-1に可変するシステムを採用した。これはいつもの湘南のスタイルだろう。5バックで5レーンを埋める。中盤も4人で守り、マリノスの横の揺さぶりと、中盤のスペースを埋めて、奪ったらカウンターを狙った。

この試合では特にWBのレレウと古林が流動的に動くマリノスの選手をマークするのは非常に難しかっただろう。マリノスと対戦するチームのSBとSHはいつも大変だろう。大外に張る選手をつくのか、上がってくる両SBをつくのか、流動的に動くマリノスの選手を捕まえるのは非常に大変だっただろう。

もう一つ。この試合で一番疲れたのは、2シャドーの山口と武富だったのではないだろうか。前線からボールを追い回し、プレスを剥がされたすぐさま戻り、2ボランチの両脇を埋め、そこも剥がされたら、自陣のペナまで戻って身体を張る。メンタル的にも肉体的にも凄いエネルギーを消耗する仕事を託された。山口は若さを活かし攻守において交代されるまで良く走り身体を張った。武富はゴールを奪うなどフルで出場し、仕事はしたと言える一方、仕事量の多さからか、流石に疲労感は隠せなかった。守備においてポジションがおかしかったり、戻れないシーンもあり、そこをマリノスに使われてゴール前に運ばれてしまったシーンも少なくなかった。2失点目は戻りきれず、マリノスの遠藤の切り返しについていけずにセンタリングをあげさせてしまった。

あれだけマリノスにボールを動かされ、それだけでなく、マリノスの選手はランニングもたくさんしてくるのでそれにしっかりついて行かなくてはいけない。流石のベルマーレの選手たちも時間が経つにつれて疲労感は隠せなかった。

攻撃

攻撃の狙いは前線で奪ってからのショートカウンターとロングカウンター。奪ってから縦に早い攻撃はまさに「湘南スタイル」。どこから攻めるかと言うと大外だ。攻撃時にはWBが駆け上がり大外のレーンでボールを受け、サイドから長身CF指宿やクロスを合わせるのが滅法強い武富目掛けてクロスをあげるのが攻撃の狙いだっただろう。

細かい繋ぎはせずに大外目掛けて大きなロングパスが効果的だった。前半は何度かそういった狙いがハマり押し込むシーンを作り出せたのではないか。指宿は前半後半とその形からセンタリングを合わせるなどチャンスがあった。古林も惜しいミドルシュートがあったりとそこを決めていればまた結果は変わったかもしれない。

同点弾はまさにこの狙いから奪ったゴールだった。大外目掛けて大きなサイドチェンジでゴール前に押し込みコーナーキックをゲット。コーナーキックのこぼれを拾いサイドから古林の高速クロスを武富が合わせ同点弾を奪った。


マリノスに責められるも、負けじと押し返せるベルマーレはやはり力はある!そう簡単には諦めない心、運動量は流石だった。

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マリノスの狙い

それでは、今回のメインの項目!
ゴール前の崩しが本当に多種多様で見事だった。全てはゴール前のポケットを取りに行く為だったのか!?5バックのぶっ壊し方。ゴール前にブロックを敷く相手を壊すお手本となるシーンが盛りだくさんだった。

ゴール前のポケット狙い

この試合のマリノスの狙い。この試合に限らず、全てはペナルティーエリアのポケットを取りに行く為!?ポケット取りに行くのが本当に上手くなってきましたね。

今回はベルマーレは5バック。大外のWBと3枚いるCBの両脇の間を狙ってゴール前に侵入した。あらゆる角度から、あらゆるパターンでポケットに侵入する攻撃は非常に面白かった。5バックを崩すお手本となるシーンが盛りだくさん。ポケットを取りに行く為にマリノスが行ったことは、①大外にボールを供給すること。②中央にいるマルコスをフリーにさせる事。マルコスにボールを渡す事。

外から、そして中からポケットに侵入するシーンがこの試合多くあった。外が空けば中から。中を締めてくれば大外から。お見事だったね。

ポケットへの侵入。この試合のマリノスの崩しは解説の柱谷さんがたくさん言っていたように、マンチェスターシティが良く見せる形。厳密に言うとまるっきり一緒ではないと思いますが、いいシーンはいっぱいあった。まあマンCがポケットをよく取りに行くのは確か。シルバ、ベルナルド、デブライネはポケット侵入するのは超絶巧い。

それではこの試合いくつかあったポケット侵入を紐解いていく。

①大外からの侵入
②マルコス経由からの侵入(中央からポケット侵入)

に分けて観ていく。

①大外からのポケット侵入

大外にボールを入れる事で、ベルマーレの5バックの大外の選手(古林とレレウ)を釣り出して、その裏を使うのが目的。マリノスの選手のインタビューでもベルマーレがここ(CBとWBの間)がよく空くと言うのはスカウティング済みで、狙っていたのは確かなようだ。

6分30秒〜

ベルマーレのハイプレスを掻い潜りGK朴からエジカエルへ。そこから喜田が中央でボールを受けて逆サイドの大外の仲川にボールが入る。SBの和田が中央へ入る事で大外のレーンを空けて仲川への大外のパスコースを開門!狙い通りベルマーレのWBを釣り出して、ポケットにSBの和田がインナーラップでパスを受け侵入に成功!

13分

再び右サイドの大外へパス。仲川がパスを受け、それに合わせて喜田が裏を取り、すかさず仲川は斜めにランニングしてポケットへ侵入。パスを要求するも出てこず少し怒るリアクション。しかしすかさずSBの和田がボールに関わりにくる。

喜田と和田が関係を築きながら再び和田がポケットへ侵入した。WBのレレウはマリノスの思惑通り釣り出された。

36分

カウンターアタック。
ティーラトンの縦パスからカウンター開始。仲川のドリブル、エジカルの相手を引きつける動き。マルコスの長いダイアゴナルのランニング。最後のスルーパスが合わなかったものの、共通した目的地。ポケットははっきりしていた。

61分

遠藤が左の大外でボールを受け、中にドリブルし、マルコスにパスをし天野へボールが渡る。天野が大外をとったSBティーラトンへパス。それに合わせてマルコスがボールサイドに寄る。それにつられてベルマーレの選手が釣り出される。僅かにスペースが空いた。天野が長いランニングでポケットへ侵入。ボールはカットされてしまったが、いい形だった。

62分

見事な大外からのポケットの侵入からの追加点!
これも見事だった。

81分

ティーラトンが遠藤へ見事な縦パスを足元へつける。一気に遠藤のマーカーを外すことに成功しそのままドリブルで前進。すかさずベルマーレはカバーに入る。それに合わせて途中交代の三好がポケットに入りボールを受ける。タメをつくり天野へ御膳たての横パス。天野が右足でミドルを放つも惜しくもポストの脇を通過。これは決めたかったが見事な崩しだった。

マルコス経由からの侵入(中央からポケット侵入)

マルコスを経由すると言うことは、このフォーメーションだったら中央を使うと言うことだ。中央からのポケット侵入。その為にマルコスをフリーにさせること、マルコスが一列後ろのポジションまで下がってボールを受けるシーンもマリノスの狙いとしてあった。前半の先制点はマルコスがベルマーレのDFラインとMFラインの間でフリーで受けて生まれたゴール。後半になるとマルコスを警戒して前半よりも中央を塞ぐベルマーレ。しかしそうなったらマリノスは上であげたように外からも侵入できる。中央を塞ぐだけではマリノスの攻撃は止まらない。

後半の半ばまでは中央のマルコスへボールが渡るシーンは少なくなったが、あれだけボールを動かされ、マリノスの選手にランニングされれば湘南に疲れが見え始める。また大外からのポケットの侵入もしてくるので意識が外の向いていたこともあり、再び中央のマルコスへボールが渡るシーンが増えた。彼が中央で前を向いてプレーすると流石のクオリティとアイディアで中央からのポケット侵入シーンも出てきた。そうなったら一層マリノスの攻撃は加速していった。

11分 先制点!

マルコスがフリーで受ける。前を向くと大外の仲川がポケットへ斜めのランニング。一気にポケット侵入。それを待っていたかのように中央でエジカルがフリーで待っている。意図も簡単にベルマーレのブロックをぶっ壊した。見事な崩し。お手本。美しい。

58分

こちらはマルコスがラストパスを出したわけではないが、中央でマルコスがボールを受けたことで生まれたシーン。喜田が縦パスをダイレクトでマルコスへスーパーフリック。喜田はマルコスのことをよく見ていて、何度もマルコスへ縦パスを供給していた。一番マルコスのことを意識していたと感じる。ここでマルコスが受けることでベルマーレの選手たちを中央に集まり、脇が空く。SB和田がすっと横に入りパスを受け、仲川へスルーパスを送りポケットへ侵入した。

75分

ここのプレーだけでなく、ここまでいく一連のプレーも見事だった。後方からビルドアップをし、左サイドから右サイドへ展開し相手を押し込んだ。仲川が喜田へパス。喜田がマルコスへパス。そのパスに合わせてエジカルが斜めへランニング。マルコスは喜田からのボールをダイレクト浮き玉フリック。見事にポケットに侵入し、エジカルが折り返す。惜しくもそれは合わなかったが、これまた見事な崩しだった。数年前のユーロでスペイン代表のセスクがゴール前でダイレクトで浮き玉フリックパスをしてゴールを奪ったのを思い出させてくれるアイディア溢れるシーンだった。

おわりです

今回はマリノスのゴール前の崩し(ポケット侵入)を中心に見てきた。他にも改善され、よくなっている部分も多くあった。ゴール前の狙い所もはっきりしてきて、崩しの形のクオリティ、バリエーションも増えてきて面白くなったきましたね。

この試合が終わった時点で得点数がJリーグ最多に。今シーズン初の3連勝で順位もジワリとあげてきた。Jリーグ屈指の強度を誇るベルマーレのプレスを掻い潜り勝ちきったことは確かな自信になるのでは?

しかし、扇原の怪我は痛い。途中で出場した天野には皆さん賛否両論あるようですが、チームとして次節どう迎えるのかも楽しみだ。また違った進化したマリノスが見れるのを楽しみに待っていましょう。

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