チャンピオンズリーグを挟んでの今節。
マンチェスターシティvsウルブスの試合を見ていきます。
シティらしくないミスも目立ちウルブスにチャンスが迎えるも…攻めて攻めるシティ。耐え凌ぐウルブス。ウルブスのヌーノ監督の采配もバッチリ。ウルブスの5バックの鉄壁。明確なハーフスペース塞ぎに対して、シティはチームとしての狙いはあったはずです…が…見えなかった?使えなかった?
スタメンです。

それではゲームを見ていきましょう。
らしくないシティ!?
シティは前半キックオフから20分ごろまでにらしくないミスでウルブスに決定的なシーンを3つプレゼントした形となりました。ある意味ゲームを面白くさせた要因だったかもしれませんね。
シティの技術力を考えたら本当に不用意なミスばかりでした。それ以外にも少しのボールのズレがありウルブスにボールを渡してしまうシーンも多くありました。
何か噛み合わない要因でも?何かウルブスの不気味なプレッシャー?があったのかもしれませんが、どうしてもチームの勢いがトップギアまで入らなかった印象でした。シティが創り出す本来の「勢い」が出なかったのかもしれません。
Embed from Getty Imagesいつものようにボール保持を高めながら相手を押し込み攻めてはいたのですが、最後のクオリティの質が上がらずに、合わずに得点を奪えなかったです。ラストパスが少し長かったり、ボールが浮いてしまったり、タイミングが合わなかったり、パスをぶつけてしまったり、何か嫌な雰囲気がシティに漂っていました。
攻めているんだけど、どこかやられそうな雰囲気もある90分でした。
やはりサッカーにはリズムやテンポがあるスポーツ。チームの「勢い」を創り出す為に非常に大切な要因です。サッカーには「勢い」というものは勝敗を左右する大きな要因です。シティは何本ものショートパスを繋いで「勢い」を創り出します。対するウルブスは守りからの早いカウンターで「勢い」を創り出しました。この試合ではウルブスが集中してシティの攻撃を跳ね返し続けました。耐えて耐えてだんだんとウルブスの「勢い」が増していき、耐えることで生まれる数少ないカウンターのチャンスを虎視眈々と不気味に狙っていました。
シティにとっては小さなパスのミス、トラップミスはチームの「勢い」を殺してしまう生命線なのかもしれません。
シティの攻撃
Embed from Getty Images3つのシティのプレゼントを決め切ることの出来なかったウルブス。当然流れはシティに傾きました。
ウルブスはボール非保持の時は5-3-2ブロックを作ってシティの攻撃を自陣で待ち構えました。守りでの一番狙いはシティのハーフスペースを塞ぐことでした。DFラインは5枚で中盤は3人で中央とハーフスペースを塞ぎボールを外へ、後ろへ誘導させました。それでもシティに当然突破されるシーンもありました。そうなったらペナルティエリア内に帰陣し、とにかく人をかけてシティの攻撃を防ぎにいきました。気持ちのこもった身体を張ったウルブスの守備は最後までシティを苦しめました。
それに対してシティは後方で数的優位を作って前進しました。シティの2CBに対して2トップでプレスにくるウルブスの守備に対して右SBのウォーカーが絞って数的優位を作りました。左SBのカンセロは高い位置をとり幅をとりました。右の幅はマフレイズがとり配置を動かしてウルブスのプレスに対応していました。フェルナンジーニョが左でボールを受けることで彼の前にスペースがあるので彼がドリブルをしたり、縦パスを付けるスペースも創り出していました。

シティは配置的な優位は創り出し、優位性を生み出していたいましたが、その優位性を十分に活かせなかったですね。ウルブスのデザインされた組織化された守備は硬かったのは確かですが、それを剥がすのがシティらしさですよね。
確かにウルブスを押し込んで攻め込むシーンが多くありました。しかし、押し込むまで?押し込み切るまでにボールを奪われてカウンターを受けるシーンも多かったですね。ウルブスにボールを奪われたり、シティの選手自身がミスをしてピンチを招くシーンもありました。
ウルブスにハメられてしまったのか?いやシティはチームでウルブスの穴を空けているシーンは確かにありました。自ら空けているのにも関わらずに使えることができなかったのかもしれません。そこもシティらしくなかったのかもしれません。
ウルブスのファーストプレスはウォーカーが絞る事で数的優位で剥がせていました。剥がした後が問題でした。ウォーカーがファーストプレスを剥がすとウルブスのモウティーニョがプレスに来ます。右WBのバイナグルはサイドに張るマフレイズにピン留めされる為に出てこれませんでした。そしてウォーカーのサポートの為にギュンドアンがサポートに入るとボリーがマークに来ます。すると空くスペースが生まれますね。このエリアはシティがチームとして空けたスペースでした。しかしそこを使えないシーンも他にもありました。アグエロにボールが入るシーンはこの試合極端に少なく感じたのもこういった理由かもしれませんね。

ウォーカーが前半で交代した理由もここにあるかもしれませんね。このエリアを使えなかったことや、このエリアを締めるためにボリーがプレスに行かずにギュンドアンがフリーになっているのに、そこを使えずにウルブスの選手が揃っている逆サイドにボールを展開してカットされてしまうシーンもありました。
またこのギュンドアンのボールを受ける位置も低かったですね。その為ウルブスのライン間の穴を空けられなかったかもしれません。もう少しライン間や最終ラインでボールを受けるアクションを起こしても面白かったかもしれません。
この現象は左サイドにも起こっていました。

フェルナンジーニョがボールを持つと、左SBのカンセロが大外に入りトラオレをピン留めします。それに合わせてインサイドに入ったスターリングが落ちてパスを引き出します。そうするとCBベネットが釣り出されて裏のスペースが空きました。空いているのに使われなかったですね。見えなかったのかもしれません。
またシルバが開いてボールを受けた時もこうやって斜めでボール入るシーンもありましたね。
シティはチームとしてこうやってスペースを空けているシーンは確かにありました。ここを見れなかったのか、使えなかったのかは分かりませんが僕が気になった一つでした。
左サイドに関してはだからハーフタイムで左利きのジンチェンコを入れた理由の一つなのかなと思いました!
ウルブスの狙い
ウルブスの狙いはしっかりゴール前にブロックを敷いて守って強靭な2トップ目掛けてボールを放り込みゴールを奪う狙いがありました。ボールを奪うとすぐさま2トップはシティの2CBに身体を預けに行きます。すぐさま数的同数を創り出しそこへボールを放り込んで競り勝つって前進するか、セカンドボールを拾って前進しました。
Embed from Getty Imagesまたボールを保持するとWBが高い位置をとり大外でボールを待ち構えました。前半は特に右WBのトラオレにはボールがよく入りました。そこはウルブスの狙いでした。ウルブスにとって数少ない「質」でシティの選手を上回る力をもつトラオレを活かす手はありませんからね。前半だけで彼から3回ほど右サイドをえぐってチャンスシーンを創り出しました。
そしてこの攻撃を行う上で大切な選手がもう1人いました。正確な長いボールを蹴れるCBコーディーの存在です。何度も彼から正確なフィードからウルブスの攻撃が組み立てられました。
「質」の話になるとトラオレともう1人シティの選手と十分真っ向勝負できる選手がいました。それはCBのウィリー・ボリーでした。解説の川勝さんも仰っていましたがデカいのに細かい動きが出来るのが彼の一番の特徴かもしれません。身長195cmの長身。もちろん高さは滅法強いですし、速さもあり、予測も立ててシティの攻撃を何度も防いでいました。いい選手ですね。
GKで11番のルイ・パトリシオも効いていました!
前半はスコアレスのまま終了でハーフタイムへ。
ウルブスは決定機を決めてたかったですね。シティはハーフタイムでどんな修正をしてくるのでしょうか。
後半キックオフ!
後半になるとシティが攻め込む一方的なゲームとなって行きました。しかし、ウルブスのカウンターも時折ありその不気味さはまだ残っていました。
ハーフタイムで右SBのウォーカーに代わりジンチェンコが入りました。やはりという感じの印象を受けました。ウォーカーがそこまでひどかったとは思いませんが、左SBには左利きが欲しいなと思うシーンも度々あったので左利きのジンチェンコを入れたのかなと。後はSBジンチェンコを絞らせて、サイドにスターリングを張らせたかった狙いもあったかもしれませんね。でもやっぱり、ペップはウォーカーの働きに納得いかなかったのかもしれません。笑
(左サイドから左利きがボールを隠しながら斜めボールを入れればウルブスのライン間にボールが入りそう!など思って見てました!前半32分にシルバがやってました。)
60分 マフレイズ→ベルナルド投入
ベルナルドが入ってシティの攻撃はさらに加速して行きました。ベルナルドが入ることで攻撃は流れ出しました。それに合わせてシルバも右のIHに入り右サイドからの攻撃が活性化して行きました。
シルバのFKがクロスバーを叩いたり、シティの怒涛の攻撃がウルブスに襲いかかりました。これでもかと言うくらい攻め込むシティ。立ちはだかるGKルイ・パトリシオ!それでも耐え凌ぐ不気味なウルフ。
アダマ・トラオレ
前線のクトローネに変えてドハーティを投入。それに合わせてドハーティを右WBに配置し、右WBだったトラオレを前線にあげました。ここまで攻守にトラオレは爆発的なスピードとフィジカルでいい働きをしていました。後半に入ってシティに対して防戦一歩に守るしか出来なかった状況にトラオレのもつ「質」に賭けたヌーノ監督の采配だったかもしれません。残り時間僅かでトラオレが前線に残っているのはシティにとっては嫌だったでしょう。
Embed from Getty Imagesそして、それが見事にハマりました。
80分 カンセロがウルブス陣内でボールロスト。J・モウティーニョがヒメネスにパスをしカウンター発動。ヒメネスがドリブルで持ち込みオタメンディを抜き去り、快速を飛ばすトラオレに横パス。トラオレはGKエデルソンとの1対1を冷静に流し込みウルブスが先制点を奪いました。耐え忍んだ不気味なウルフがとうとうカウンターアタックを成功させました。ヒメネスのオタメンディを交わすドリブルも見事でした。
ヌーノ監督の采配バッチリ!
それでも残り10分あるシティ。チームを鼓舞するペップの姿も。しかし、またもやウルブスがカウンターを発動させます。
94分 先制点と同じようなエリアでシティのボールを奪いカウンター発動。ハーフェーラインでボールを受けたトラオレがドリブルを開始。快速を飛ばして一気にゴール前に侵入し、GKエデルソンとの1対1に。これまた冷静にゴールに沈めたトラオレ!カウンター2発。
トラオレがプレミア王者を沈める2得点の大活躍でウルブスがシティに勝利しました。
おわり
ホームシティがまさかの0-2の敗戦。リヴァプールとの勝ち点差が8になりました。止まらないリヴァプール。止められないリヴァプール。
STOP THE リヴァプール
ウルブスはなぜこの戦いが出来てこの順位にいるのか疑問な程でしたね。シティ相手だから集中していたのか。選手の能力も非常に高いですし、これからウルブスはプレミアリーグを掻き回す存在に今シーズンもなってくれそうですね。
シティはラポルテ、サネ、デ・ブライネの怪我の影響が段々とピッチに現れてきているように感じました。怪我をしてしまったことはしょうがない事でしょうがペップの頭を悩ませているでしょう。代表ウィークがある為しばしの休養に入ります。それが吉と出るのか凶と出るのか。次節のリーグ戦注目して見ていきたいと思います。
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