【インパクト残したザルツブルク】チャンピオンズリーグGS第6節 ザルツブルクvsリヴァプール レビュー

サッカー戦術分析
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みなさん、今シーズンヨーロッパの舞台で強豪相手に堂々と自分たちのスタイルを貫き、大きなインパクトを残しているザルツブルクをご存知ですか?もちろん今シーズンのチャンピオンズリーグでご覧になっている人も多いと思いますが、まだ見ていない人は見て欲しいですね。いいチームだと思います。応援したくなる、熱くなれるチームです。

そんな事を思わせてくれるゲームを今回も見せてくれました。このレビューを読んで頂いて、少しでもこの試合見てみたい!と試合をみてくれたら嬉しいですね。

ヨーロッパ王者リヴァプールに対して、臆する事なくチャレンジし、自分たちのスタイルを貫くザルツブルク。この90分のゲームでサッカーの楽しさ、面白さを感じることが出来る!と言える程のゲームです。

それではサクッと試合のレビューを観て頂き、このゲームを観て下さい。

スタメン

スタイル貫くザルツブルク

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CLグループリーグ最終節、ザルツブルクvsリヴァプール。ザルツブルクのホームで両者グループリーグ突破の掛かる大一番のゲーム。ザルツブルクは勝たなければ敗退。リヴァプールはこの試合に負ければ敗退の可能性も掛かるゲームということもあり、両チーム共にこの試合にかける想いも大きく、準備も十分に行ってきただろう。

キックオフからザルツブルクがエンジン全開でゲームに入る。気温1℃の寒さを一瞬で吹っ飛ばす熱気溢れるプレーを魅せつける。

ザルツブルクはとにかく前に前に。攻撃も守備も前へ前へのプレーが特徴的だ。ボールを奪えばまずは前へ。まずは裏を目掛けて前線にボールを送り込み、ボールを受ける前線の選手は一斉に前へスプリントを開始する。

若き怪物ホーランドがポストとなり、類い稀の体格を活かしボールを収める。彼は強さだけでなく、速さ、しなやかさ、巧さも兼ね備える選手。だから今、多くのビッククラブが彼を狙っていると言う噂が絶えないのだろう。

たとえホーランドにボールが入らずに、ボールを跳ね返されても、セカンドボールを2列目の選手が回収し、2次攻撃を開始する。ただホーランドに目掛けて、闇雲にボールを蹴っているのでは無く、チームとして、一本のロングボールに対して反応する。それが攻撃のスイッチになる。

縦へのロングボール

ホーランド収める or
セカンドボールを回収

レシーバーは足元ではなく、
まずは裏を狙うランニング。

ゴール前は複数の選手が関わる。スピード感あるフィニッシュワーク。

こう言ったザルツブルクの特徴的な攻撃がゲーム開始から観られた。
開始1分の中でリヴァプールの裏をとる2本のスルーパスを見せるザルツブルク。しかし、ファンダイクによって阻まれる。流石と言ったところだが、ザルツブルクの狙いがはっきり見える。日本代表南野もファンダイクを嘲笑うかのようなヒールパスで決定機を演出し、迫力ある、雪崩れるような攻撃を見せていく。

そこにもう一つ攻撃にアクセントが加わる。南野の存在だ。日本人だから南野を取り上げるわけではなく、この試合の彼の存在感は凄かった。

南野の引き出す動き

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豊富な運動量で神出鬼没に顔を出し、ボールを引き出し続けた南野。守備では前線からのプレス。アンカーのヘンダーソンの監視や、後方へのプレスバックで守備でもチームに貢献した。

攻撃では裏への抜け出しと、落ちて足元でボールを受ける引き出し方を状況に応じて選択していた。

ザルツブルクの選手が前向きでボールを持つと、前線の選手はリヴァプールの裏へスプリントを開始する。そうすると当然リヴァプールのDFラインは下がる。そのタイミングで南野はライン間(DFラインとMFの間のスペース)でボールを引き出してフリーになる。密集で難なくボールをキープし、前向きになり、ドリブルをしたり、スルーパスを出したり、捕まえずらい動きを続ける。

これとは、逆の動きもする。

味方の1人が落ちてボールを引き出そうとすることでリヴァプールの選手が釣り出される。それによって空いたスペースに流れてボールを引き出すシーンも。この試合ではリヴァプールのSBの裏へのランニングが多く、抜け出してボールをキープして味方の上がる時間を作っていた。

ボールがゴール前に入れば、常にシュートが打てる位置に動く。裏を常に狙う。味方がニアサイドに入ればわざと離れてフリーになりシュートを打つシーンもあった。

このレベルでもミス少なくプレーし90分間チームの為に貢献し続けていた。日々進化する南野選手。さらなるステップアップは近いかもしれない。

上手くいかないリヴァプール

ホームが作り出す独特な雰囲気も力になりザルツブルクがリヴァプールを苦しめていった。前半の内容はリヴァプールにとって良いものでは無かっただろう。ザルツブルクの縦に速い攻撃に押されシーンもあり、セカンドボールも回収することが出来ずに、中々自分たちのペースに持ち込めなかった。

そうなると段々FWフィルミーノが下がってボールを捌いてプレスを剥がすシーンも増えていった。ボールを失う回数は減るものの、そうなると前線の厚みが薄くなる。ワイドのサラーとマネは孤立してボールを受けるシーンが増えていく。もちろん彼らの『質』で十分に個の力で突破することは出来るだろうが、ザルツブルクの若い選手たちも対人の強さを発揮する。特にマネとマッチアップしていた右SBクリステンセはデカくて速さもある。前半1回、後半1回とマネとの縦突破をシャットアウトしたシーンは印象的だった。

リヴァプールは得意のサイドチェンジも中々出来なかった。それはザルツブルクのプレススピードが速かったからだ。ザルツブルクはボール奪われるとまずは即時奪還を試みる。速いトランジションプレスでリヴァプールのカウンターを防ぎにいく。トランジションが掛からなければ中盤まで下がって陣形を整える。2トップのどちらかがボールにアタックするとそれを合図にチームが連動してリヴァプールの選手を捕まえに行く。この時中盤の選手は逆サイドを捨てて、ボールサイドに圧縮して、リヴァプールの時間とスペースを消しにかかる。

このプレスを剥がされて逆サイドに展開されれば一気にピンチになるが、それをさせないザルツブルクの早くて連動したプレスも見事だった。しかし、リヴァプールもプレスを剥がしサイドチェンジや前のめりの守備の裏をとるフィードでチャンスを作り出す。

ザルツブルクの21歳ムウェプの守備の貢献度は大きかった。184cmと恵まれた体格とスピードもあり、守備範囲が非常に広い選手。無理が効いちゃう選手。広大な守備範囲でボールを奪い、カウンターのチャンスもよく防いでいた。ボールを持つとまだ荒々しさはあるが彼もステップアップしそうな雰囲気があった。

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ザルツブルクは前への姿勢を前面に出す為に、後ろのスペースを使われて、カウンター気味でリヴァプールに決定機を作られるシーンもあった前半。しかし、それは想定通りだっただろう。それくらいのリスクは覚悟の上で勝ちに行っていた。ホームの雰囲気もあり前半で1点奪えていたらもっと面白いゲームになったかもしれない。

配置を変える王者

後半に入るとリヴァプールが変化を加える。後半早々に左サイドからマネがドリブル。それに対してサラーが中央からCBの背後を抜け出す斜めのランでスルーパスを受けてシュートシーンを作り出す。サラーがトップに入り、フィルミーノと縦関係に。4-2-3-1に配置を変えたリヴァプール。

前半ワイドにいたサラーはトップに入ったことでボールに関わるシーンは断然増えた。フィルミーノはトップ下に入り前半見せていた様に中盤のビルドアップの助けに回る。右サイドにケイタが入る事で、フィルミーノが落ちても前線の厚みが減らない。フィルミーノがボールに触るとザルツブルクのプレスは中々掛からなくなっていく。

また、中盤の底を1枚のアンカーから2CHにしたことも大きな効果が。中盤の選手を増やすことでセカンドボールの回収にも大きな効果が。攻撃面でも、中盤の底の枚数を増やすことでザルツブルクの選手を中盤に集めて後ろとSBに時間を与えた。SBがフリーになるとリヴァプールお得意のSBからのチェンジサイドが入る。

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そしてリヴァプールの狙い通りSBからSBへのサイドチェンジから先制点が生まれる。
右SBアーノルドから左SBロバートソンへチェンジサイドが入る。フリーのロバートソンが持ち運び、それにより、マネがハーフスペースでボールを受けて前向きに。マネがCBをぶち抜くドリブルからクロス。ケイタが頭で合わせて元ザルツブルクの2人のゴールとアシストで先制したリヴァプール。

畳み掛けるリヴァプール

これで終わらない。先制して数分後サラーが2点目を奪い去る。
リヴァプール陣内へプレスを掛けに行くザルツブルク。最終ラインもハーフラインまで押し上げる。フィルミーノも落ちてボールに関わると、前線にはサラーとCB1人。1対1の局面。ザルツブルクはサラー相手にこのシーンはあまりにもリスキーだった。

横パスを受けたヘンダーソンがダイレクトでザルツブルク陣内へ大きなボールを蹴り込む。広大なスペースがあればサラーの得意な土俵に。一気に裏に抜け出し、出てきたGKを交わして無人のゴールに流し込みあっという間に2点を奪いさったリヴァプール。流石王者。一気に突き放す。

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前半よりも配置を変える事でバランスが良くなったリヴァプール。

ザルツブルクにとってこの2点目は大きなダメージになってしまった。それでも3点目は奪われず、ゲームを立て直したのは良かったが、攻め急いでしまうシーンも増えていった。雑になってしまい、ミスも目立つ様に…

スコアはこのまま動かずフィニッシュ。リヴァプールが2-0で勝利を掴みグループリーグ突破を決めた。

終わりに。

2点を奪われてからも、後方の選手を変えて前線の選手を投入し、最後まで攻める姿勢を貫いたザルツブルク。しかしリヴァプールもしっかりゲームを絞めてくる。ミルナーを投入し、ゲームを終わらせる。2点目を奪ってからボールの支配率を上げていったのも流石王者という戦い方だった。難しいゲームだったに違いないがしっかり勝ち切る強さがリヴァプールにはある。CLトーナメントに入り、王者を止めるクラブはどのチームになるのか楽しみだ。

ザルツブルクが王者と戦った2試合。アンフィールドでの3-4の壮絶な打ち合い。そして今節の試合共に、ザルツブルクは王者相手に対しても高いレベルのサッカーを見せてくれた。本当にいつの間にか、応援したくなる様なスタイルで見ている側は力が入る。そんな熱くさせてくれる戦いを見せてくれた。若い選手が多い中でそのフレッシュさも前面に出しながらも、チームの為に一人一人がプレーする姿も素晴らしかった。

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これで今シーズンのCLの舞台からは去ってしまうが、間違いなく世界中にインパクトを与えたチームだった。

やっぱり、こういう個性があるチームは面白い。「らしさ」や「スタイル」を貫くチームは見ていて面白いし、やっぱりこういうチームが好きな様だ。

是非ともこのゲームを90分見てほしい。
いつの間にか手に汗握るゲームを体験する事になる。

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