【崩して整える左右非対称の変換。】プレミアリーグ第18節マンチェスターシティvsレスターシティ レビュー

サッカー戦術分析
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アルテタが去った悲しみを払拭させるかの様なアグレッシブなサッカーを今節見せてくれた。中央と外にバランスが良い配置をとる事でレスターを圧倒していった90分だった。配置を崩しながら配置を整えることでレスターのバランスを崩して、位置的優位で攻め込んでいった。

それでもヴァーディのカウンターや、レスターの選手が見せる要所要所の質の高いプレーも見ていて面白かったし、ハイレベルな戦いとなった。

前半

レスターはボール非保持の時には4-1-4-1である程度中盤まで下がってブロックを敷いてシティのボールを奪いにいった。ワントップのヴァーディ1人でシティの2CBにプレスに行くので、どちらかのCBはフリーになる。シティはここの2CBの数的優位をうまく活かしてビルドアップが出来ていた。

シティの2CBよりSBを含めた前の選手にはレスターの選手が誰にマークに付くか明確だった。シティのSBにはSHが、WGにはSBが対応。レスターの2CBでワントップのジェズスのマークと、SBのカバーに回る。中盤のギュンドアンにはマディソンが、ベルナルドにはティーレマンスが、デ・ブライネにはディディがマンマークとまではいかないが、明確なマーカーが決まっていた。

シティの2CBは比較的ボールが持てる時間が与えられるが、それ以外の選手たちにはレスターのマーカーが付く状態で、中盤、前線には窮屈さがあった。ファーストプレスは簡単に剥がせるがそれから先をどう攻略していくかがこの試合のキーとなった。

偽SBに進化したウォーカー

シティはレスターのボール非保持の対応に対して、2CBの数的優位を活かしてボールを保持していく。この試合の前半は特に右WGマフレイズが右の大外からドリブルで仕掛けてなんどもチャンスを演出していた。マフレイズが前線でフリーでボールを受けられる一つの要因だったのが、右SBウォーカーがインサイドにポジションをとる(偽SB)事だった。

ウォーカーがインサイドに入る事で、レスターの左SHバーンズをうまく釣り出していました。ボールが逆サイドにある時は結構ボールサイドに寄るシーンもあり、フリーでボールを受けて、大外のマフレイズにパスをしたり、SHとアンカーのディディの間のスペース(ハーフスペース)で待つデ・ブライネにパスを供給した。またボールに直接触れなくてもインサイドに入る事で、大外に張るマフレイズ、ハーフスペースに立つデ・ブライネをフリーにさせる働きも担っていた。

前半16分のシーン
CBのオタメンディがボールを持つ。
カイル・ウォーカーがインサイドに絞ってSHを釣り出す。デ・ブライネも少しインサイドに立ち位置をとる事でSBを釣り出す。そして大外のマフレイズがフリーに。2CBの数的優位を活かしてフリーになったオタメンディが大外のフリーのマフレイズにサイドチェンジのボールを送り込む。そこからカットインをしてクロスを上げてチャンスを作った。

マフレイズがサイドを抉った時には、必ずデ・ブライネがバイタル付近、もしくは少しマイナスのボールを受けらる立ち位置をとる。マフレイズからマイナスのボールを受けてダイレクトで強烈なシュートを放つシーンもあった。ここもしっかりデザインされていた。

しかし、ウォーカーサイドからレスターに一瞬の隙を突かれる。前半の20分まではシティが圧倒的に攻撃をしていったが、レスターのカウンターが炸裂する。そう、カウンター職人のあの男が。レスターのボールを右SBのウォーカーがナイスタイミングでボールアプローチするが、ボールを奪いきれずに前進をさせてしまう。前向きでレスターSHバーンズがボールを持つとワントップのヴァーディが待ってましたと言わんばかりに、フェルナンジーニョの背後から斜めにランニングしてスルーパスを受ける。ワンタッチ、ツータッチ目ではトップスピードに乗り完全にフェルナンジーニョの前に入ってGKと1対1に。最後のタッチが少し大きくなってしまったが、飛び出すGKエデルソンをしっかり見て柔らかいループシュートをゴールに送り込んだ。レスター先制!ヴァーディはこれでプレミアリーグ18試合で17得点目。驚異的な数字だ。素晴らしい。

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これがレスターの強さの一つ。ファーストシュートをしっかり先制点に繋げる。そして、今節までプレミアで最少失点を誇る鉄壁の守り。好調レスターを象徴するゴールであった。この先制点のシーン以外にも前半だけで、ヴァーディが起点となり3回ほどカウンターでチャンスを作り出していた。衰え知らずのヴァーディ。

それでも、シティが攻め込む構図は変わらなかった。そして、ウォーカーの偽SBの配置により、大外のマフレイズをフリーにさせる。

前半30分

CKのこぼれ球を回収したシティがインサイドに入ってボールを持ったSBウォーカーから左SBのメンディに横パスが入り、メンディからWGマフレイズにサイドチェンジが入る。この時デ・ブライネはハーフスペースに立つ事で相手のマークを引きつけて、大外のマフレイズをフリーにさせる。大外でフリーで受けたマフレイズがお得意のカットイン。最後は左足を振り抜き、レスターの選手に当たってディフレクションする形でレスターのゴールに吸い込まれて同点弾を奪った。

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左右非対称の変換

シティは配置を左右非対称に変換にさせる事で徐々にレスターの守備の基準点を撹乱させていった。左サイドはウォーカーが偽SBの様な内側に入る説明をしたが、左SBのメンディは幅をとり、左WGのスターリングはインサイドに入る様になっていった。最初の配置ではベルナルドはアンカーのギュンドアンの前にデ・ブライネと横並びになって2シャドーの様な配置だったが、徐々に一列下がってギュンドアンと並ぶ2CHになり、それに合わせて今度は左WGのスターリングがインサイドに入って、レスターのアンカー脇でフリーでボールを引き出すシーンも増えていった。

レスターの中盤の選手たちの、シティの中盤の3枚の選手のマーカーは明確だったはずだが、そこにインサイドに入ってくる右SBウォーカー、左WGスターリングがインサイドに入ってくる事で守備の基準点に歪みが。さらに、レスターのサイドの選手たちが中央を締めれば今度は大外に張る左SBメンディー、右WGマフレイズがフリーになってしまい、完全に後手を踏む守備になっていった。

そしてシティが中央を経由した攻撃から逆転ゴールを。
前半40分アンカーのディディの頭上を越すボールがライン間に入る。落ちるジェズスがボールを受けてボールを前進させる。中盤でプレスがかからなくなってしまったレスター。ボールを前進させて最後は左サイドからスターリングがドリブルで仕掛けてPKを獲得!ギュンドアンが冷静に決めて前半の内に逆転に成功したシティ。

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後半

前半同様にシティは前からレスターのボールを奪いに行く。デ・ブライネが一列上がって、4-4-2の配置で前から積極的にボールにアタックしていく。ボールを奪われた後のトランジションも早く、レスターは中々なボールの保持もできずに、前進も出来ない。シティのプレスに対してレスターは中盤で数的優位を作れる配置(アンカーと2シャドーの3人いる)ではあったが、シティの早くてコンパクトなプレスに中々ボールを付けられない。しっかり中央を締めているシティの守備。

それに対してレスターは外から攻撃を試みる。

時間を作るSBのワンタッチ

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右SBリカルドペレイラからのワンタッチのパスがシティのプレスを剥がしていく。プレスを引きつけてSBペレイラがワンタッチで味方にパスを送り込む事で味方の選手に時間とスペースを与える。CBからの横パスをバックステップを踏んで身体の向きを変えて前へボールを送り込む。上手いプレーだ。後半15分にはペレイラがCBからの横パスを受けると中盤に斜めのパスをダイレクトで付けて前向きにさせる。このプレーで少しの時間が中盤の選手に与えられ、前線のヴァーディがすぐさま裏をとり一気にゴールに迫る。ヴァーディがクロスを上げて決定機を演出した。レスターの選手の質も高い。そんなプレーは要所要所に見られた。

大きな重い3点目

シティは2-3-4-1の配置で完全にレスターを押し込んでいく。後方5人でボールを動かすシティに対して完全に前へのプレスがかからなくなってしまったレスター。レスターの中盤の選手もワントップのヴァーディーを助けに前に行きたいがインサイドにいる、スターリングとデ・ブライネが気になって前に出れない。大外にはメンディとマフレイズが。インサイドとワイドにバランスよく選手がいる事で配置的な優位性を持つ。後半になると大外のメンディがフリーでボールを受けるシーンが増え、彼らしいクロスも上がる様にもなっていった。

そしてシティが3点目を奪う。シティにとっては大きな、レスターにとっては重い得点となった。

後半25分 

ウォーカーが相手を引きつけてからハーフスペースで待つデ・ブライネへ斜めのパスを出す。ボールを受けるとドリブル開始。一気に相手を置き去りにする力強いドリブルで右サイドを抉ってファーサイドへクロス。最後はジェズスが押し込み3点目ゲット。見事な崩し。デ・ブライネのスーパーなドリブルだった。

このゴールで勝利を決定付けたシティ。レスターの唯一の希望はヴァーディのカウンター。切れ味は相当鋭い。コンディションも良さそうだし、得点を量産しているのも納得だな。

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終わりです。

シティがシティらしい戦いで圧倒した90分。いい時のシティって感じのゲームでしたね。レスターは最後まではっきりとした守備の基準が定まらなかった?定めさせてもらえなかったシティの強さに圧倒されてしまったのかもしれない。それでも、何回も言っていますが、ヴァーディのカウンターは破壊力抜群。

プレミア最多得点のシティvsプレミア最小失点のレスターのハイレベルな戦いは面白かったですね。マフレイズきれきれ。そしてデ・ブライネが最強だった。

あとは、怪我人が出ていないことを祈るばかりですね…

マンチェスターシティ 3ー1 レスターシティ

【得点】
シティ:マフレイズ、ギュンドアン、ジェスス
レスター:ヴァーディー
 

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