【CBが蹴れるって大切】〜CBに求められる能力の話〜

サッカー戦術分析
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私のtwitter で、
CBが蹴れるって大切
という項目で、PART4までTweetしたところ多くの反響がありました。そこで、「CBが蹴れるって大切」と言うことをより深掘りしようと思いました。現代サッカーにおいて、CBに求められる能力は多くなり、CBの役割は進化していっています。デカくて強い、強靭さが求められるポジション。それプラスα細かな動きが求められる俊敏性、速いアタッカーに対応するスピードも求められるようになってきました。そして現代サッカーにおいてCBには守備だけではなく、攻撃の起点となる能力も求められるようになってきています。世界トップレベルのCBは高い攻撃的要素も標準装備しているようになってきましたね。

CBのビルドアップ能力はチームに与える戦略や戦術に大きな影響を与えます。その中でも今回は【CBの蹴れる力】に焦点を当てたいと思います。【CBが蹴れる】力はチームに大きな利点を与えてくれます。現代CBには必要な能力の一つかもしれません。

【CBが蹴れる】とは?

言葉の通り、CBがボールを蹴ることです。
それだけでは説明不十分ですよね。

  • より遠くに蹴れる(50m以上)
  • 早いボールが蹴れる。
  • 対角線に蹴れる。直線に蹴れる。
  • 正確にスペースに、人に蹴れる

これに加えて両足蹴れたらもっと最高ですね。
この4点を今回の内容では、【CBが蹴れる】と定義します。

なぜ?50メートル以上?
それはボール保持時にボールがサイドにある時に、そのボールをCBが受けた時に逆サイドにサイドチェンジをパスする距離、CBがボール保持した時に、相手の最終ライン裏のスペースまでの距離を考えた時に、だいたい50メートル以上は必要かなと推測した結果です。試合の中でCB蹴る最も長い距離を想定して、50m以上は必要だと思いました。もちろん、その距離より短いパスのスキルも重要です。

なぜ?早いボール?
それは、例え正確な50メートル以上のボールがサイドや相手の背後に通ったとしても、ボールがフワリとスピードが遅い場合には相手のアプローチを受けやすくなる為。また、ボールのスピードが遅い為にパスが通らないこともある為(長いボールの移動中に、相手に寄せられてボールを奪われたり)。なので、出来るだけ早いボールが蹴れた方がいいよね!となりました。

対角線に蹴れる、直線に蹴れる。これも重要ですね。対角線には蹴れるけど、直線は苦手って選手も少なくないはず。単純に遠くに蹴れれば言い訳ではない。それは最後の項目の正確に蹴れることにも繋がります。どんなに遠くに、早いボールが蹴れても狙ったスペースに、人に蹴れなければ、ボールは相手のボールになってしまう確率は上がってしまいます。

これらをまとめると、

スペースや人に正確かつ早いボールを、対角線、直線的に50メートル以上の距離を出して蹴れること。

このように定義します。

【CBが蹴れる】が与える効果

①ボールを前進できる

単純な話かもしれませんが、ボールを前進することが出来ます。先ほど定義したボールを蹴ることが出来て味方にパスが通れば、自陣の守るゴールから離れ、敵陣の狙うゴールに近づける事ができます。ゴールを奪ってゴールを守ると言うサッカーの目的において極めて重要な事です。

相手の最終ラインの裏へ一本長いボールを通すことが出来れば、一気にゴールチャンスにも繋がります。斜めの対角線のボールも同じですね。またビルドアップ時のリスクの軽減にも繋がります。50mの前進を10本ショートパス繋ぐのと50mの前進を1本のパスで繋ぐことが出来ればそれだけでビルドアップ時のリスクの軽減にも繋がります。

②味方に時間とスペースを与える

CBがより遠くに正確なボールが蹴れることで味方に時間とスペースを与えることにも繋がります。CBからボールを受ける味方の選手のプレーエリアが広がります。それにより、チームに与えるスペースが広くなります。相手の最終ラインの裏まで正確な直線的なボールが蹴れれば、もしくは逆サイドに対角線の鋭く早いボールを蹴れれば、味方はそこを使うスペースが生まれることにも。そこまでボールを蹴られない場合は、味方はそこでボールを受けられないということでもあります。CBがボールを蹴れる距離で味方が使えるスペースの大きさも変わってくるのです。

ショートパスを繋いで繋いで、相手を集めて、CBが一気に逆サイドに対角線の鋭く大きなボールを正確に蹴れたり、相手の裏のスペースまで正確な直線的なボールを蹴れれば、味方に時間を与えることにも繋がります。

【CBが蹴れる】とボールを受けた味方に時間とスペースを与えることにもなるのです。

③相手の陣形を崩せる

【CBが蹴れる】と相手の陣形を崩す効果にもなる。

①相手の深さを変える

相手の最終ラインの裏へ直線的な長いボールを蹴り込めれば、相手のDFラインは下がります。下がらなければ、味方とタイミングを合わせて裏を一本取ってしまえばいいです。それは相手は一番やられたくないことなので、当然下がっていくでしょう。それか、【蹴れるCB】へ相手の前線の選手がプレスに来るでしょう。これが相手の陣形を崩すことにどんなことが繋がるのか?と言いますと、間延び相手を下げさせる裏のスペースを空けさせることに繋がります。

最終ラインへの裏のスペースを埋めるために最終ラインは下がります。そうなるとDFラインと中盤にはスペースが開く場合があります。DFラインが下がっただけでは、【CBが蹴れる】チームの攻撃は防げません。セカンドボールを拾う仕事もセットの為に中盤も一緒に下がらなければなりません。その時、DFラインが下がっても中盤が下がるのが遅れてしまえば、セカンドボールを回収されてしまい、二次攻撃を受けてしまう。DFラインと中盤の間延びを引き起こすし、ライン間を使える機会が増えていきます。

今度はDFラインと中盤は下がったけど最前線が【蹴れるCB】にアプローチに行ってしまえば、中盤と最前線の間延びを引き起こし、そこのスペースを活かせるようになります。最終的に相手はチーム全体で下がっていきます。これにより、相手陣形に簡単に侵入できる状況を作り出します。

一方で下がるチームがあれば、前に出るチームもあるでしょう。側近の試合では、チャンピオンズリーグのレアル・マドリードvsマンチェスター・シティの試合でのレアルが見せたボール非保持での振る舞いでした。相手陣形に全員が入り、超がつくほどのハイプレスをしてシティを苦しめました。その内容を思い出したい方は、こちらをよかったらどうぞ!

【蹴れるCB】に蹴られたくないから前線がその選手にプレスにいく。その動きに合わせて最前線と中盤のスペースを空けさせない為に中盤が押し上げ、この度は中盤と最終ラインの裏を使わせない為にDFラインが押し上げて、チーム全体で前がかりになるチームもあります。そうすると今度は自然と空いてくる広大なスペースがあります。それは最終ラインの裏のスペースが空きます。そうなった時に【CBが蹴れる】とそこのスペースを一撃でき、一気にチャンスを演出することが出来ます。

参考動画はこちらです。
相手のプレスを逆手に両サイドにガンガン長いボールを蹴り込むウルブスのコーナー・コーディーのプレーです。3つ目のプレーは特に圧巻ですね。前からくるトッテナムのプレスに対して臆することなく、バックステップを踏んでワンタッチでワイドに張るトラオレにボールを送り届け、前進に成功するシーン。こんだけ【蹴れるCB】がいると助かりますね。素晴らしいです。

このように相手の深さ(縦の幅)を操り、相手の陣形を崩すことが出来ます。

②相手の幅を変える

対角線の正確な鋭い大きなボールが蹴れると相手の幅を操れます。アイソレーション横に広げさせることが出来ます。

アイソレーションとは一方のサイドに密集を作り出し、相手を片側のサイドに集めて、空いたもう一方のサイドに一気に長いボールを入れて攻撃をすることです。【CBが蹴れる】とアイソレーションという攻撃戦術の選択がチームに1つ増えることにもなります。サイドに強力な個の力を持つチームにとっては強力な戦術にもなります。

そしてもう一つが相手を横に広げさせることです。

対角線の大きなボールを蹴ることで相手を横に広げさせることが出来ます。中央を固める相手を横に広げさせて、チャンネル(CBとSBの間のスペース)やハーフスペースを空けさせる効果にもなります。参考動画はこちらです。

ラポルテが綺麗な左足のサイドチェンジをベルナルドに。それにより空いたハーフスペースにデ・ブライネがワンタッチでボールを受けて前を向く。そして彼の必殺高速クロスを送り込み、最後はジェズスが合わせてゴールを奪い去った。CBのラポルテからの綺麗な正確なキックから始まった攻撃です。

このように相手の幅(横の幅)を操り、相手の陣形を崩すことが出来ます。

【CBが蹴れる】上での注意点

【CBが蹴れる】は一見個人戦術だと思われるかもしれませんが、周りの選手の関わり方も非常に大事になってきます。また、スペースに蹴るのか?人に蹴るのかの判断も大切になってきます。そして忘れがちなポイントも抑えて説明していきたいと思います。

①周りの選手たちの立ち位置が重要

【CBが蹴れる】ということはチームと相手に与える影響が大きいことはこれまで説明してきました。しかし、それにはボールを受ける味方の選手も非常に大切になってきます。どこで受けるか?が非常に大切です。CBが裏へ非常に精度の良いボールを蹴れてもそこに走り込む味方がいなければ絶対にパスは繋がりません。また対角線のサイドチェンジも同じです。どんなに鋭い早いサイドチェンジがCBが蹴れてもそこに待つ味方がいなければいけません。

周りの選手たちには、どこへ走る?どこで待っている?認知する力も大切になってくるということです。2つの関係性がマッチして初めて、【CBが蹴れる】力は発揮されるのです。

②スペースに蹴るの?人に蹴るの?

相手を観る、味方を観るという認知の力は【蹴れるCB】にも必要な力です。どこへ?蹴るのか?人に向かってなのかスペースに向かって蹴るのかはその状況に応じて蹴り分けなければいけません。

状況によって、裏のスペースへ向かって蹴った方が良い時もあるでしょう。時にはサイドに張る選手の足下に、人に向かって蹴った方が良い時もあるでしょう。サイドに張る選手に相手がべったりマークに着けば、今度はその相手の選手の裏のスペースへ蹴ってあげて裏をとる選択が必要になってきます。

③ボールを運ぶことを忘れずに!

そして【蹴れるCB】だからこそ忘れがちになってしまうのが、ボールを運ぶことです。相手がチーム全体で下がった裏のスペースをケアしたり、5バックの陣形を組んで幅をケアした時など、相手がゴール前にブロックを敷いてきた時には、CBがボールを保持した時に前にスペースが空きます。そこのスペースへ持ち運ぶことを忘れがちになってしまうことが少なくないと思います。少しの距離でもでもドリブルで持ち運べれば、相手の強固なブロックを崩すキッカケになることもあります。

相手の奥のスペースがケアされた時には必ず手前が空きますよね。蹴れて、プラスα運ぶドリブルをCBが出来ればチームに与える影響は更に増すことになります。

運ぶドリブルの詳しい内容はこちらでどうぞ!

最後に映像で見てみよう!

海外編

①ファン・ダイク

左右に難なく長いボールを前線に送り込む。対角線だけでなく、直線的なボールも送り込み一気にチャンスを演出するシーンも。【CBが蹴れる】ことはリヴァプールの強力3トップの力を一層増すことにも繋がります。アイソレーションで1対1勝負を作り出し、裏へのボールで高速アタッカーの力を発揮させる。ファンダイクは守れるだけでなく、攻撃力も非常に高く、まさに世界No. 1の選手の一人ですね。

②ラポルテ

世界最高のキックを蹴り分けるレフティーCB。マンチェスター・シティも彼が居るか、居ないかで攻撃に多大な影響を与えるほど、ペップの戦術には必要不可欠の男ですね。彼の綺麗なキックを観るだけでも惚れ惚れしますよね。

③ヴァンサン・コンパニ

RSCアンデルレヒトのヴァンサン・コンパニ。言わずと知れた、マンチェスター・シティのレジェンドですね。ペップと出会って魔改造された選手の一人でしょうね。このプレー集が一番参考になるかもしれません。正確な大きなサイドチェンジ。間延びする相手の中盤に刺す縦パス。横に広がる相手の陣形のギャップを通すパス。お手本のような【CBが蹴れる】映像になっていると思います。

Jリーグ編

畠中慎之介

Jリーグ王者である横浜F・マリノスのアタッキングフットボールを最終ラインから牽引する男。左右両足から長短正確なボールを前線の選手に送り込む。その配給力は間違いなくJリーグの中でもトップクラスだろう。相手のプレスにも臆することなく、前線にボールを渡し続ける。マリノスの攻撃は彼から始まる。

トーマス・フェルマーレン

ヴィッセル神戸にやってきて、世界屈指のCBだ。アーセナルやバルセロナといったヨーロッパのビッククラブを渡り歩いてきたその実力をJリーグで見せつけてくれている。左足からの鋭いキックは何度もJリーグファンの心を踊らせてくれている。まさにワールドクラスのキックの持ち主だ。

終わりに。

CBに求められる能力はどんどん多様化され、進化していっていますね。ただ守れる為だけの能力だけでなく、攻撃の起点にもなる能力も求められるようになってきました。その一つが【CBが蹴れる】力なのかもしれませんね。これが出来るだけで、CBの攻撃的能力は上がり、チームに与える戦術も大きく変わっていきますね。

もしこの記事が面白かった!参考になったと思いましたら、拡散の程よろしくお願いします。また、

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